苦手なものカメリアは児童養護園で育ったせいもあり、食べられるものは食べるのだが、食べたくないものは存在した。
「ギラ」
「ん。分かった」
トウフ国、タキタテ城にギラとカメリアは世話になっていた。トウフ国はご飯が美味しい。
朝食には白米とみそ汁、ニラ玉が出ていたがカメリアはそのままニラ玉の皿をギラに渡す。
食事はタキタテ城の従者が作ってくれていた。
「嫌いなのか。卵」
「どうしてそっちになるのよ。ニラでしょう」
「美味しいのに」
――何で私、王の皆さんと朝ご飯を食べているんですかねー? 一般人なのに。
なんて思いつつもカメリアは味噌汁を飲んだ。トウフと葱となめこだ。きのこは好きである。
ヤンマ・ガストが気が付いて聞き、ヒメノ・ランがヤンマをたしなめ、リタ・カニスカがニラ玉を食べていた。
ニラ玉と卵をいためたものだ。
「昔は食べられたんですが」
児童養護園に来た頃は食べられた。美味しかった。
「カメリア、食堂で働いていたことがあったんだけど、そこでニラのスープが出て」
「スープにもなるよな。ニラって」
「……ニラじゃなくて食べた人達が食中毒になって倒れちゃってそれ以降食べられなくなったんだ」
「ニラのスープなのにニラじゃない……?」
ニラは炒め物にも使えるしスープにもなる。
ギラが代わりに説明をしてくれた。
リタがニラ玉を食べ終わる。
「スイセンとニラを間違えたのですな」
「それです。それ」
城主であるカグラギが来る。公務で遅れると言っていた。
カメリアが分かってくれたといった表情をした。
「そんなに似てるのか」
「うちでもあったわね。スイセンとニラを間違えるの。スイセンを食べると食中毒が起きるのよ」
「ばったばたと倒れて行きまして。私は無事だったんですけど。ギラが慌ててお医者さんを呼びに行って」
食堂で出されたニラのスープのニラが、ニラではなくスイセンであり、食べた者たちが食中毒を起こして倒れてしまったのだ。
シュゴッダムも多少は、多少は農業をしていて野菜も手に入るのだが、ニラとスイセンが混ざってしまい、それが食堂で使われた。
あの時のことは今も覚えている。まかないで出されたスープを飲もうとしたらお客が倒れていった。
ギラが様子を見に来てくれていて、慌てて医者を呼んで、食堂のシェフが見習いだったとかもあったりで、カメリアは食べずに済んだものの、あの苦しみ方を見たせいでニラが苦手となっていた。
「園でも気を付けているもんね。食材」
「子供たちは……なんでも口に入れることがあるから」
思い出してカメリアがため息をついていた。児童養護園を出てはいるが、定期的に顔は出しているし寄付もしているし子供たちの世話もしている。
「何か変わりを。カメリア殿は何がお好みで」
「甘いもの?」
「カメリア。それは疲れてるときとかの食べ物じゃ」
「お任せします」
好みは何かと聞かれると甘いものと答えるのは癖だ。ギラに言われてカグラギに任せておくことにする。
「では、何か作りましょう」
「……自分で料理をする王ってのもなんですけど、作ってもらうと楽ですよね」
カグラギは料理がうまい。
料理は出来るが、作ってもらえれば楽だ。カメリアとギラは頷きあっている。他の王たちは料理はしないがこの二人は料理が出来たし、
し続けていた。ギラはカメリアが譲ったニラ玉を食べている。
「ご飯美味しいしね。カグラギ」
「飯は美味いよな」
「解る」
「腹黒だけど」
「飯は美味い」
王たちやカメリアの見解はカグラギは腹黒いが作るご飯は美味しいは共通していた。