まつりのおもいでギラとカメリアは児童養護園では年長だ。カメリアは二年前には児童養護園を出ていてたびたび顔を出しているが、二人でいて、なおかつ子供たちがいると兄や姉のように振る舞うが、場合によっては二人の間でも序列が出来る。
「このコーンドッグ、シュゴッダムでも食べた」
「花火まつりの時だったね」
「そんな祭りあるのか」
ンコソパにてゲーム大会があって屋台が出ていて、ヤンマ・ガストが二人を連れて行き、話を聞いていた。コーンドッグとはソーセージを串に突き刺してホットケーキの生地をつけて焼いたものだ。
飲み物はコーラである。
「だいぶ前のシュゴッダムの王が爆発で殺されそうになったのだけれども助かったことを記念して犯人をつるし上げる祭りでした」
「えぐいな」
「ラクレスが中止にしちゃったけど。爆竹を爆発させたり花火をあげたりしてあちこちで火を燃やしたりするんだ」
「タールの樽を担いでリレーしたり」
「派手なお祭りだよね」
――ラクレスも中止にするな。それは。
あぶねえだろ、とヤンマはなる。
「地味な祭りはないのか」
「……四王が来た時の」
「それに比べたら地味だけどよ!!」
デスナラクで大変なことにはなったが花火まつりと比べてはいけない。
「カメリア。これ美味しいよね」
「美味しいよね。ギラ」
「しゃあねえな。もう一本奢ってやるから」
なんだかんだで優しいヤンマである。
「カメリアさん、パズルゲーム大会出てみません? 参加者が急遽病気で」
「やりたい。シオカラさんがすすめてくれたゲームですね」
シオカラがカメリアを参加者に誘ってきた。カメリアは受けるとコーラの入った紙コップをギラに預ける。
食べきったコーンドッグの櫛を彼女はごみ箱に捨てていた。
「良かった。カメリアが楽しんでくれて。子供たちと一緒だと。そっちの方に気を取られるから」
「お前もだろ」
「僕と一緒に居てもたまに姉みたくなるし」
「それはお前だからだろう」
頼りにしているようで守りたいというところがあるのだろう。複雑そうなギラの背中をヤンマは叩いた。