酒熱一人で飲むには少々量や種類がありすぎて。
いくつかお裾分けで譲渡したというのに。
だから、美味しそうな数本を棚にしまって、ドクターは残りを入れたバッグを肩に一人のオペレーターの部屋にきていた。
来訪を告げるボタンを押して、部屋の主がその扉を開けてくれるのを待つ。
扉の傍らに座り込み、端末を覗き込んでいれば、小さな音を立ててその扉が開いた。
「・・・・・・なんの用だ」
明日は別に休日ではないだろう。
そう言外に含んだ問いに、肩に提げたバッグの中身を見せた。
「酒豪たちにお裾分けしてもよかったのだけど、もっと寄越せと言われそうで。今回は他の人にちょっと分けたんだ」
「・・・・・・」
「それでも少し余ってしまって。それで、君の口に合うのがあればいいのだけど」
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