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    エイリアン(小)

    @4Ckjyqnl9emd
    過去作品封じ込める場所です、時々供養とか進歩
    お絵描きは稀に

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    POIPOI 11

    エイリアン(小)

    PROGRESS進んでるところまで
    夏五共依存
    「さとる」
    そっと呟いても、その声に答えてくれる筈の人間はまだ目を覚まさない。
    さまざまな機械に繋がれ、死んだように眠る悟はまるで精巧な人形のようだった。
    「悟」
    もう一度、名前を呼ぶ。
    ピクリとも動くことのない瞼を見て、思わず投げ出された手を握った。
    ただでさえ冷たい悟の手がさらに温度を失っているのに気付いて、強く、強く握る。あわよくば、この感触に気付いて起きてくれる期待を抱いて。
    「悟...」
    なのに、強く握った手を持ち上げても、悟は目を瞑ったまま。
    抵抗しない。何も言わない。
    それが酷く悲しくて、私はぐっと唇を噛み締めた。

    『五条が暴走車に撥ねられた』
    そう言った硝子の震えた声を、今でも容易に思い出すことができる。
    変わらない日、いつもと同じ金曜。
    いつも通り二人で朝食を取って、悟がゴミを持って出勤する。
    ゴミを持つ悟に、いつまで経っても似合わないな、なんて思っていた。
    昨日の夕食も思い出せないくせして、悟が撥ねられたその日の過ごし方は馬鹿みたいにはっきり覚えているのだ。
    それなのに、彼がいつも通りに放った、行ってきます。その声が薄らぼんやりとしてきているのが恐ろしくて仕方ない 2408

    エイリアン(小)

    DONE乙五過去作品
    ワンドロワンライの乙五
    ちゅ、と柔いキスが頬に送られた。
    ほんのりと乾燥した唇の感触が頬に残る。
    「憂太」
    「ー嫌でしたか」
    少ししょげたように、憂太は頭を下げて視線をこちらに投げかけた。
    「別に嫌じゃないけど」
    思わずそう返す。憂太はそれを聞いて、ホッとした様に顔を綻ばせた。

    憂太は、今日から海外出張になる。
    このバス停から20分かけて都市部の最寄りに行き、更に乗り換えのバスで都市部へ、それから空港へ向かい飛行機に乗る。
    そこそこ遠い道のりになるため、出発は平日の真昼間になる。真希やパンダ、棘は残念ながら見送りが出来ないから僕一人でのお見送りだ。
    ぽかぽかした春の陽光が木の影から差し込んでいるのを二人で眺める。
    高専よりかは都市部によっているものの、それでもまだ田舎のこの場所では通りがかる人も少ない。
    真昼間だと言うのに、バス停には人っ子一人寄ってこなかった。
    「あったかいねぇ、もうすっかり春だ」
    「そうですね...あっという間でした」
    感慨深げに、憂太はそう返す。
    ーーこの一年は、酷く短かった。
    「寂しくなるね」
    「...そうですね。それに、少し不安です」
    少し、目に影を落として憂太は呟く。
    当然だ、憂 2196

    エイリアン(小)

    DONE夏五過去作品
    多分ポッキーの日に書いた
    「悟、ポッキーゲームしよう」
    「...なんだそれ」
    袋を開けて、取り出したポッキーを傑はゆらゆらと揺らす。
    「二人で一本のポッキーを食べるんだよ、先にポッキーを折った方が負けになる。悟とやりたいんだ...駄目か?」
    チョコの部分はやるから、いいだろ?そう付け足して傑はポッキーをこちらに向けた。
    「それってキスと同義じゃねーの?わざわざそれする必要ある?」
    意味のわからないゲーム内容に顔を顰める。キスならいつでも出来るはずだ、そんなゲームをわざわざする必要なんて無い癖に。
    「キス一つでもシチュエーション一つで大分変わるものさ、やる価値はあるよ」
    ...どれだけやって欲しいんだ、こいつ。
    でもまぁ、俺に頼み事をする傑も珍しいしやってやってもいいかもしれない。そんな一抹の考えを抱いたのを察したのか、傑は手に持っていたポッキーを差し出してきた。
    「ほら、悟そっち咥えて」
    あくどい顔だ。どうせ意地悪な事を考えてるんだろうな、傑はそう言う節がある。今までの経験上把握済みだ。
    ....ただやられっぱなしは性に合わない、傑が何を仕掛けてくるか分からないならこっちから仕掛けるまでだ。
    「こっちから食って 1060

    エイリアン(小)

    DONE夏五、じゅにおける処女作(多分)
    短いです
    「ほんっと人使い荒いよなぁあの年寄りども」
    「それ、悟にだけだと思うけどね」
    ぐでんと我が物顔で私のベットに寝転がり、しれっとチョコの包み紙にも手を伸ばしていた悟はその一言に顔を顰めてべっと舌を出す。
    「だって気に食わないし、思ったことは素直に言うべきだろ?」
    「違いない」
    皮を被ってる私とは違い、悟は自分に正直だった。例え上層部の者を前にしても怯むことも媚びることもなく至極真面目に自分の考えを浴びせる、勿論非難や不満も隠さずに、だ。
    そんな悟を上層部は気に入らないらしく、最近は細々とした三級術師でも相手取れる呪霊の排除すら悟に任せている始末。その所為でここ二週間ほど悟は各地を飛び回っていた。
    「あちこち行くのほんと面倒臭い。俺じゃなくても別に良いじゃん」
    「嫌がらせのつもりなんだろうね、悟は強いから」
    「傑もだろ。俺たち最強なんだから」
    サングラスの隙間から悟の青空のような目が私を写す。真白な肌に映えるその瞳はいつも私を真っ直ぐに見据えるのだ。この男がこの目を見せるのは私だけで良いと、何度思っただろう。この美しく澄み切った目を独り占めできたならどれだけよかったか。
    「ねぇ悟、この二週 683

    エイリアン(小)

    DONE七五(過去作品)
    第0回お題「料理」
    ...労働はクソだ。
    体全体を包み込む倦怠感、目の奥がジンとして熱い上、吹き付ける風は冷たく、指先から体温が奪われていくのを感じる。ひどく眠い。
    少し早足気味に入ったエレベーターホール、ボタンを押して、やってきたエレベーターに乗り込んだ。
    ゆっくりと上がっていくエレベーターの中でこめかみをほぐすように押す。
    別に呪霊に手こずったわけではない。全ての任務において呪霊の級は二級が殆どであり、幾つかの任務では一級討伐のものもあったものの、そのどれもが一級でも下、どちらかと言えば二級に近い程度の呪霊だった。
    問題なのは、その量。
    呪術高専を規として2、3時間の移動を必要とする任務が多数あり、全てこなすのに丸四日。
    柔らかいとは言えない車内のシートで短時間睡眠のみを取り続け、食事は冷たいコンビニ食ばかり。
    決して車のシートやコンビニ食を卑下しているわけではないのだが、やはり体は柔らかい布団や温かい食事を求めてしまう。
    時刻は0時、深夜帯に差し掛かるこの時刻に外を出歩くような住民なんてこのマンションには少ない。
    静まり返った廊下に自分の足音のみが響く。
    部屋の前、鍵を取り出して差し込み、回した。
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