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    エイリアン(小)

    @4Ckjyqnl9emd
    過去作品封じ込める場所です、時々供養とか進歩
    お絵描きは稀に

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    POIPOI 11

    夏五過去作品
    多分ポッキーの日に書いた

    「悟、ポッキーゲームしよう」
    「...なんだそれ」
    袋を開けて、取り出したポッキーを傑はゆらゆらと揺らす。
    「二人で一本のポッキーを食べるんだよ、先にポッキーを折った方が負けになる。悟とやりたいんだ...駄目か?」
    チョコの部分はやるから、いいだろ?そう付け足して傑はポッキーをこちらに向けた。
    「それってキスと同義じゃねーの?わざわざそれする必要ある?」
    意味のわからないゲーム内容に顔を顰める。キスならいつでも出来るはずだ、そんなゲームをわざわざする必要なんて無い癖に。
    「キス一つでもシチュエーション一つで大分変わるものさ、やる価値はあるよ」
    ...どれだけやって欲しいんだ、こいつ。
    でもまぁ、俺に頼み事をする傑も珍しいしやってやってもいいかもしれない。そんな一抹の考えを抱いたのを察したのか、傑は手に持っていたポッキーを差し出してきた。
    「ほら、悟そっち咥えて」
    あくどい顔だ。どうせ意地悪な事を考えてるんだろうな、傑はそう言う節がある。今までの経験上把握済みだ。
    ....ただやられっぱなしは性に合わない、傑が何を仕掛けてくるか分からないならこっちから仕掛けるまでだ。
    「こっちから食ってけばいいんだろ?」
    にっこり傑が笑って頷く。お互いにポッキーの端を咥えて準備は満タン。
    .....スタートのスも言わせないように、噛み付く勢いでポッキーを食べる。流石にキスって距離まで近付くことは出来なかったが上々だろう。目を丸くした傑に追い討ちをかけるためもうひと齧り、今度は小さめに。
    今度こそ唇が触れ合いそうなほど近付く、勿論恥ずかしいし心臓は不整脈を起こしているがそれよりも傑に一泡吹かせたかった。
    止まっていた傑が動き出す。仕方ないなと言った風に俺の唇へ噛みつこうとして、“止まった”
    また目を丸くした傑に笑って俺は自分からポッキーを折ってやる。溢れ出んばかりに開かれた瞳に、優越感たっぷりの笑みを見せる。
    「....ポッキーゲームで無下限呪術って....悟、そう言うとこだよ」
    「ダメなんて言ってねーだろ!」
    ニマニマ笑って傑の周りをぐるぐる回る。いつもやられてばっかだったからかなり嬉しい。
    「な、傑。してやられる側の気分はどーだよ!」
    「...まぁ悪くはないね」
    ぐるりんと視界が一周まわった。無駄に回転の速い頭が、ベットに転がされた事を報告してくる。
    「す、傑?待てよ、まだ昼ーーー」
    「煽ったのは悟だろう?責任持ちなよ」

    にっこにっこ、楽しそうにこちらを眺める傑を前に、今後絶対煽らない事を誓った。
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    Replies from the creator

    エイリアン(小)

    PROGRESS進んでるところまで
    夏五共依存
    「さとる」
    そっと呟いても、その声に答えてくれる筈の人間はまだ目を覚まさない。
    さまざまな機械に繋がれ、死んだように眠る悟はまるで精巧な人形のようだった。
    「悟」
    もう一度、名前を呼ぶ。
    ピクリとも動くことのない瞼を見て、思わず投げ出された手を握った。
    ただでさえ冷たい悟の手がさらに温度を失っているのに気付いて、強く、強く握る。あわよくば、この感触に気付いて起きてくれる期待を抱いて。
    「悟...」
    なのに、強く握った手を持ち上げても、悟は目を瞑ったまま。
    抵抗しない。何も言わない。
    それが酷く悲しくて、私はぐっと唇を噛み締めた。

    『五条が暴走車に撥ねられた』
    そう言った硝子の震えた声を、今でも容易に思い出すことができる。
    変わらない日、いつもと同じ金曜。
    いつも通り二人で朝食を取って、悟がゴミを持って出勤する。
    ゴミを持つ悟に、いつまで経っても似合わないな、なんて思っていた。
    昨日の夕食も思い出せないくせして、悟が撥ねられたその日の過ごし方は馬鹿みたいにはっきり覚えているのだ。
    それなのに、彼がいつも通りに放った、行ってきます。その声が薄らぼんやりとしてきているのが恐ろしくて仕方ない 2408