ライハルでdom/sub(セーフワードの話’)「んっ…。あ…っ」
「……俺から言わせることもできるんだぞ。ハルマ、ちゃんと言ってくれ」
「…っ!……、」
言葉が詰まって出てこない。何より、セーフワードは不用意に使えない。いざという時に使うのは、使われたdomにもダメージがあるからだ。
「っ!や…っ!」
ライトにされて嫌なことはない、と思う。だけど、こうして触れ合っていてもライトから何も言って貰えないのは…少し、嫌かもしれない。何か言ってほしい。言葉を交わしてほしい。
……俺のこと、見てほしい。
「ま、-待って-!!」
「っ!」
弾かれたようにライトが、離れる。
「俺は…お前にされて嫌なこと、ない…!恥ずかしくても、できる…!でも、そうやって何も話してくれなかったり、何も言ってくれないのは嫌、っしょ。」
「そ、そうか。それはすまない…。でも、今ちゃんと…言えたな。」
あれ…?今俺…セーフワード、言ったか…?
無理に言わせたことに詫びを入れられたが、完全に無意識だった。
「お前、大丈夫なのか?セーフワード……」
「うん?…そうだな、衝撃はあったが…。案外、大丈夫そうだ」
(…見た感じは、特に何も無い…か?)
「お前の気持ちはわかった。でも、spaceに入るのは我慢しないでくれ。俺はお前が嬉しいって、しあわせだって、そう感じてくれた方が嬉しいからな。」
《それだけは約束してほしい。》
それは結局前と同じことだ。与えられるだけの存在になるのはごめんだ。
「なら、お前もある程度はコマンド使えっしょ。」
そう伝えると、ライトは黙り込んでしまう。それは不服なようだ。やっぱり使いたくはないんだろう。…お前らしい。
「セーフワードは、俺もできれば使いたくねぇ。今度は我慢も、無理もしねぇっしょ。でも、お前の言葉だったら、恥ずかしくても応えてやってもいい。お前だから許した。」
「うむ。確かにお前の恥ずかしがっているところは、かわいいと思うが。」
「……それはそれで意地が悪すぎんだろ。」
「すまん。だが、さっきも言ったが俺は、お前が嬉しいと幸せだと、感じてくれる方が嬉しい。俺はハルマの笑った顔が一番好きなんだ。」
――お前のそういうとこ。本当にムカつく。感情の行き場がなくなるのだって、元はと言えばこいつのせい。こんなに悩んで悶々てしてるのも、全部お前のせいだ…!
「ハルマ?」
「俺はお前と、ライトと一緒にいると……いつも、くすぐってぇっしょ」
そう。こいつと一緒だといつだってくすぐったい。言葉が出てこなくて苦しい。自分の気持ちを表現する言葉がなくて、一言でいうならくすぐったい。
今、何となくわかった。これを何と言えばいいのか。(いや、きっともっと前から気付いてた)
触り方の話なのかと、ライトがぱっと手を離す。…そうじゃない、そうじゃなくて!
「俺も…、幸せだって言ってるっしょ!馬鹿!!」
俺達のパートナー(恋人)としての在り方は、きっとこうなんだろう。