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    結梨愛

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    POIPOI 16

    結梨愛

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    普通に始まる学パロif

    #創作BL
    Original Bl

    『春人先輩へ』

    靴箱の中に入っていたのは四つ折りにされた1枚の紙。
    春人はまたかと呆れながらも周りに悟られないように開く。

    『今日の放課後、体育館裏で待っています』

    ノートを1ページ破った手紙には可愛らしい筆跡で書かれていた。

    断ろうと向かった放課後、そこにいたのは制服がぶかぶかの後輩男子。
    可愛いだの高嶺の花だの、学年が違うのに話題になっていた子だった。
    彼は裾を握りしめ、緊張している様子。

    「す、すすす好きです!付き合ってください!」

    「いいよ」

    「ですよね分かってまし……え!?」

    彼はぱちりとした瞳をさらに丸くさせ、何度も長い睫毛を瞬かせた。

    「ぼくでいいんですか……?」

    「うん、これからよろしくね」



    ***



    先輩は柔らかく笑う。
    ぼくはその笑顔にドキドキして、連絡先を交換し一緒に帰った。
    緊張で何を喋ったかなんて覚えてない。
    部屋で我に返りスマホを眺めれば、メッセージの一番上に先輩の名前が表示されていた。
    これは夢なんじゃないか、寝て起きたら先輩は他人のままなんじゃないか、と考えていたらいつもより寝る時間が遅くなって寝坊した。

    「おはよ」

    寝ぼけ眼のまま玄関を開ければ、にこりと笑う先輩が立っていた。
    ぼくは驚いてドアを閉めてしまう。
    もう一度開いても先輩はいた。「どうしたの?」と心配してくれている。

    「……おはようございます」

    「ん、おはよ」



    ***



    春人は『彼女ができた』と騒ぐ友人たちに憧れていた。
    女子から何回か告白されたことはあったが、すべて断っている。
    恋愛に興味がないからではない。むしろ恋愛したいしキスもデートも、セックスもしたい。
    恋愛対象も性的対象も男の春人は、女子からしか告白されたことがないのだ。
    自分から告白することも考えたが、誰々が好きとかどんなタイプが好きとかが分からない。
    だからといって好きでもない人に告白するのは違う、でも恋人がほしい。
    少し焦燥感も出てきたそんな時、初めて男子に告白された。

    一目見て気付いた、自分は面食いだったのかと。
    彼ほどの美人は見たことがない。
    日焼けしていない肌にさらりと指通りの良さそうな髪、そして自分を見上げる潤んだ瞳。

    ポジション被りの不安はあるが、今はそんなことどうでも良い。
    彼を逃したら次はないかもしれない。
    自分以外の選択肢を与えたくなくて翌朝から一緒に登校している。



    終わり



    告白全部断ってる先輩に告白したらOK貰えたのが疑問の後輩攻め(1年)と男子に告白されたのが嬉しい&攻めの顔が好みの先輩受け(3年)

    獣人くん×創作くん学パロ


    2024/05/18
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