『春人先輩へ』
靴箱の中に入っていたのは四つ折りにされた1枚の紙。
春人はまたかと呆れながらも周りに悟られないように開く。
『今日の放課後、体育館裏で待っています』
ノートを1ページ破った手紙には可愛らしい筆跡で書かれていた。
断ろうと向かった放課後、そこにいたのは制服がぶかぶかの後輩男子。
可愛いだの高嶺の花だの、学年が違うのに話題になっていた子だった。
彼は裾を握りしめ、緊張している様子。
「す、すすす好きです!付き合ってください!」
「いいよ」
「ですよね分かってまし……え!?」
彼はぱちりとした瞳をさらに丸くさせ、何度も長い睫毛を瞬かせた。
「ぼくでいいんですか……?」
「うん、これからよろしくね」
***
先輩は柔らかく笑う。
ぼくはその笑顔にドキドキして、連絡先を交換し一緒に帰った。
緊張で何を喋ったかなんて覚えてない。
部屋で我に返りスマホを眺めれば、メッセージの一番上に先輩の名前が表示されていた。
これは夢なんじゃないか、寝て起きたら先輩は他人のままなんじゃないか、と考えていたらいつもより寝る時間が遅くなって寝坊した。
「おはよ」
寝ぼけ眼のまま玄関を開ければ、にこりと笑う先輩が立っていた。
ぼくは驚いてドアを閉めてしまう。
もう一度開いても先輩はいた。「どうしたの?」と心配してくれている。
「……おはようございます」
「ん、おはよ」
***
春人は『彼女ができた』と騒ぐ友人たちに憧れていた。
女子から何回か告白されたことはあったが、すべて断っている。
恋愛に興味がないからではない。むしろ恋愛したいしキスもデートも、セックスもしたい。
恋愛対象も性的対象も男の春人は、女子からしか告白されたことがないのだ。
自分から告白することも考えたが、誰々が好きとかどんなタイプが好きとかが分からない。
だからといって好きでもない人に告白するのは違う、でも恋人がほしい。
少し焦燥感も出てきたそんな時、初めて男子に告白された。
一目見て気付いた、自分は面食いだったのかと。
彼ほどの美人は見たことがない。
日焼けしていない肌にさらりと指通りの良さそうな髪、そして自分を見上げる潤んだ瞳。
ポジション被りの不安はあるが、今はそんなことどうでも良い。
彼を逃したら次はないかもしれない。
自分以外の選択肢を与えたくなくて翌朝から一緒に登校している。
終わり
告白全部断ってる先輩に告白したらOK貰えたのが疑問の後輩攻め(1年)と男子に告白されたのが嬉しい&攻めの顔が好みの先輩受け(3年)
獣人くん×創作くん学パロ
2024/05/18