和製ホラーが苦手なリッパー 長身の紳士然とした男がフードを被った小柄な男の腕に抱きついて、幼子の如く後をついて回る。傍から見れば、異様な光景だろう。
しかし、抱きつかれている方の男は慣れているようだった。
しばらくの間は好きなようにさせていたが、流石にいつまで続くのか、とひとつため息を落としてから呟く。
「……ロンドンを震撼させた殺人鬼が聞いて呆れるな」
「日本のホラーはまた別物でしょう!? むしろ、どうしてナワーブくんは平気なんですか……?」
二人は様々なホラー映画を観る、共通の趣味があった。見終わるとお茶会を開き、感想を語り合うのがいつもの常である。
だが、今回は違った。なんと、リッパーは殺人鬼なのに和製ホラーがてんでダメであった。
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