Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    そいそい

    @soi_07

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 54

    そいそい

    ☆quiet follow

    今月も参加させていただきます🙏
    「ジューンブライド」と「カラス」で、タツリュウです。
    素敵企画ありがとうございます😊

    夜烏「いや〜。いい式だった」
    ホテルの部屋に戻るなり俺がしみじみ呟くと、そうだなと兄貴も頷く。
    今日はミユの結婚式だった。梅雨の時期ではあったが奇跡的に快晴で、最高のガーデンパーティーであった。
    大学進学と共にミユは東京へ出た。そこで出会った新郎と今日ゴールインしたのだ。もちろん結婚式も東京で行われた。午後からの式であったから、俺たちはホテルで一泊してから帰ることになっている。
    首元の蝶ネクタイをとり、ボタンを緩める。かしこまった格好は苦手だ。チラリと兄貴に視線を寄せれば、ベッドへ腰を降ろし、俺と同じく蝶ネクタイを外しているところだった。スラっとした細マッチョの兄貴はタキシードがよく似合う。それが見納めかと思うとなんだかもったいない。
    「どうした?」
    俺の視線に気づいた兄貴が、顔を向けてくる。
    「よく似合ってるからもったいないなと思って」
    素直にそう口にすれば、兄貴はふわりと笑う。
    「タツミもタキシードよく似合っているぞ」
    「そうかな?」
    「あぁ、惚れ直した」
    珍しく冗談を言う兄貴に面食らう。披露宴でお酒も出たから、酔っぱらっているのかもしれない。
    俺たちは早くに他界した父さんのか代わりに、ミユとバージンロードを歩いた。見栄えがするようにと、二人で黒のタキシードで揃えていたのだ。
    「母さん、嬉しそうだったな」
    「そうだね」
    父さんの写真を持った母さんは、ずっと嬉しそうにしていた。時折見せる涙が印象的だった。
    「親父にも見せてやりたかった」
    兄貴はそんなこと言うが、ほとんど父さんの記憶のない俺にはちょっとよくわからなかった。どんな反応をするか想像ができなかったから。
    母さんと父さんの話をしていると、兄貴の顔がどんどん浮かないものになっていく。そんな兄貴が考えていることなんて、俺には簡単に予想ができてしまう。それだけ俺は兄貴のそばにいる。
    「兄貴が今考えてること当ててやろうか?」
    そうけしかければ、兄貴が俺へ視線を向けてくる。
    「母さんに俺たちの結婚式を見せてやれないことに後ろめたさを感じてるんだろ?」
    俺の一言に兄貴の瞳は瞬く。ほら、やっぱりだ。そんなことを考えているんだと思った。
    「結婚式だけじゃない。孫の顔も見せてやれない」
    兄貴はさらにそう付け加える。それもまた事実である。
    「じゃあ、別れる?」
    あっけらかんにそう言えば、それが出来ないから困っているんだろと兄貴は小さく笑う。それもそうだなと、俺は兄貴の隣にどかりと座った。そしたら、ベットが大きく揺れた。
    「なぁ、兄貴」
    俺は兄貴に顔を寄せる。
    「シたい」
    そして、そう呟けば、よく妹の結婚式の直後で盛れるなと呆れられた。
    「ミユが新郎とイチャイチャしてるの見てたら、俺も兄貴とイチャイチャしたくなった」
    「単純だな」
    「それに二人っきりなんて久々だろ?」
    抱きついて、さっきよりも近くで囁く。そうすれば、まったくと満更でもなさそうに兄貴は笑う。それを承諾と受け取って、ベッドへ押し倒す。しかし、おいと予想外に非難の声が上がった。
    「せめてジャケットを脱いでからにしてくれ。シワになる」
    俺たちはまだ真っ黒なタキシード姿のままだった。
    「いいじゃん。レンタルなんだし。あと、もう待てない」
    兄貴に触れてしまったのだ。もう待てなど出来ない。それに、タキシードでビシッとキメる兄貴を乱すなんて、想像するだけで興奮する。
    「いっぱい鳴かせてあげるから」
    兄貴が抱える後ろめたさやら罪悪感やら、そんなもの全部吹き飛ばすくらいに、俺がたくさん愛してあげよう。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💯😊💕💕💕💒💘💖💖💘🌋🌋🌋💒💒💞💞💞💒
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    そいそい

    DONEはっぴーリュウシマ真ん中バースデー🥳

    真ん中バースデーとはあまり関係ない話になってしまいました。あと、ひっちゃかめっちゃかしてます。すみません🙏

    ※注意
    かっこいいリュウジさんはいません。
    社会人リュウジさんと大学生シマカゼくんの話です。
    ヤマクラ前に考えた話だったので、シマカゼくんの進路は捏造しています。
    かっこいいリュウジさんはいません←ここ重要
    あの部屋 大学の最寄駅から地下鉄に乗って一駅。単身者向けのマンションの三階の一番奥の部屋。鍵を出そうとしたが、中に人の気配を感じてやめた。そのままドアノブをひねると、予想通りすんなりと回る。そして玄関の扉を開けば、小さなキッチンのある廊下の向こうで、メガネをかけて、デスクに向かっていたあの人がちらりとこちらに視線をくれた。
    「また来たのか」
     呆れながら言うあの人に、ここからの方が学校が近いのでといつも通りの答えを返す。そうすると、少しだけだろといつも通りにあしらわれた。
     ここは僕の下宿先というわけではない。超進化研究所名古屋支部に正式に入所したリュウジさんが一人暮らしをしているマンションだ。もう少し超進化研究所の近くに住めばいいのに、何故か程遠い名古屋の中心部に部屋を借りている。そのおかげで僕は大学帰りに寄ることができているのだ。
    11087

    そいそい

    DONEフォロワーさんからいただいたリクを元にして書きました。あんまりリクに添えた話にならなくて、本当にすみません🙇‍♀️
    リクありがとうございました🙌
    安城家に子守り行くリュさんの話です。
    「こんなことまで面倒かけちゃってごめんなさいね。ほらうち、お父さんが仕事でいつも家空けてるし、おじいちゃんおばあちゃんも遠くに住んでるから、こういうときに困るのよ。だから、リュウジくんが来てくれることになって本当に助かるわ。お土産買ってくるからね。苦手なものとかない? あっ! あと……」
     リュウジさんが持つスマートフォンから母さんの声が漏れ出ている。母さんの声は大きく、よく喋る。それは電話だろうが変わらない。そんな母さんの大音量のマシンガントークをリュウジさんはたじたじとしながら聞いてくれていた。
     母さんは大学の友人の結婚式に出るため、東京にいる。しかし、帰りの新幹線が大雨で止まってしまったらしい。それで今日は帰れないかもしれないと超進化研究所で訓練中の僕に電話がかかってきたのだ。このまま超進化研究所の仮眠室を借りて一晩明かしてもよかったが、あいにくナガラはフルコンタクトの稽古で不在で、家には帰らなければならない。しかし、家に帰ったら帰ったで、僕たち子供しか家にいないことになる。それは母さん的には心配なようで、どうしようかと頭を悩ませていると、俺が面倒見ましょうかとリュウジさんが申し出てくれたのだ。それでいつ運転再開になるかわからないからと、母さんは東京で一泊してくることになった。
    6343

    recommended works