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    そいそい

    @soi_07

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    そいそい

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    秋頃から書いてるのハヤリュウ。
    行き詰まってるので、尻叩きにプロローグだけ。
    まだハヤトくんは出てきてませんが…
    かなり特殊設定なハヤリュウになる予定です
    きっといつか完成するはず

    風呂から上がり自室に戻ると、机に置いたままにしていたスマートフォンが静かに振動していた。こんな時間に電話をかけてくるのは、一人しかいない。名前も確認しないで左手でスマートフォンを取り電話に出ると、起こしちゃったかなと申し訳なさそうなホクトの声が聞こえてきた。それにまだ寝てないですとリュウジが返せば、よかったとホクトは安堵の息をつく。
    『身体の調子はどう?』
    「足のほうは生活には問題ないです。右手は相変わらずで、左手で生活するのは未だに慣れないです」
    ホクトから電話がかかってくると、いの一番にされる質問だった。それに定型文と化した答えを口にする。そのたびに特に進捗のない自分の身体の状態にリュウジはため息が出た。
    『そういえば聞いたよ。名古屋支部で臨時指導代理になるんだってね』
    「不穏な動きがあるようなので……」
    超進化研究所によると、職員が不自然な失踪をしただとか、そのご子息に不思議なメッセージが送られてくるだとか、不穏な動きがあるという。それは、また巨大怪物体が現れる兆候かもしれない。杞憂で済むならそれでいいが、万が一に備えるのも超進化研究所の仕事だった。現に新たな脅威の出現に備えて、次世代のシンカリオンの開発も進んでいる。その為に新たな運転士の選任と育成は急務だった。それに協力して欲しいと、名古屋支部の羽島指令長からリュウジは打診されたのだ。
    「もうシンカリオンには乗れませんが、俺の経験が後進の指導に活かせるなら光栄です」
    『無理してない?』
    努めて前向きに言ったつもりだった。しかし、ホクトの問いかけに、リュウジは思わず言葉が詰まる。無理をしているつもりは毛頭なかった。だが、臨時指導代理として久々に名古屋支部に訪れ、シンカリオンを目の当たりにしたとき、あの出来事が頭に過ぎったのは確かだった。あれは自業自得だ。その代償が自分だけならよかったが、思わぬ結果にリュウジはひどく後悔していた。そんな過去を抱えたまま、またあの場所に戻るのだ。無理などしていないはずがない。それでも、あんな後悔を次世代の運転士たちがしないように戻るのだ。それは自分にしかできないと、リュウジは考えていた。いや、言い聞かせていたと言ったほうがいいかもしれない。
    リュウジが自身をそう言い含めていると、そうそうとホクトが次の話題を振ってくる。
    『ハヤトが大学に合格したよ』
    久々に聞く名前に、リュウジの心がチクリとする。ホクトが気を遣って、リュウジの前でその名前を出はなかったのだ。それなのになぜこのタイミングで、その名を口にするのか。
    『名古屋の大学。リュウジくんと同じところだよ』
    「えっ?」
    続くホクトの言葉に、リュウジはスマートフォンを落としそうになる。
    ハヤトは新幹線の運転士を目指していた。わざわざ名古屋の、リュウジと同じ大学に進学しなくても、関東には同等のレベルの大学が五万とあるはずだ。
    「俺のこと、ハヤトに話してたんですか?」
    自分にはハヤトのハの字も出さないくせにとリュウジが毒づけば、言ってないよとホクトは必死に否定する。
    『リュウジくんのことは本当にハヤトに言ってないんだって。だいたい、リュウジくんの話をしたって、今のハヤトにはわからないし。だから、たまたまかな』
    そんなたまたまあってたまるかと、リュウジは心の中でさらに毒吐く。
    「止めてくれればよかったのに」
    『だって、どうしてもリュウジくんの大学に行きたいって言うから』
    「だとしてもっ!」
    スマートフォンを握るリュウジの手に力が篭もる。
    『会うのが怖い?』
    「っ……」
    ホクトの問いかけに、リュウジは答えられない。
    『俺はね、あの出来事に蓋をしたままでいいとは思っていないんだ。ハヤトも大人になった。そろそろ向き合うべきだと思うんだ』
    ホクトの言うことは一理ある。しかし、それがハヤトのためになるかは、リュウジにはわからない。
    『リュウジくんもね』
    続くホクトの言葉が、リュウジを貫くようであった。
    あの出来事から次の春で五年だ。ハヤトは十八歳になっており、リュウジにいたっては成人済みである。社会人の一歩手前。モラトリアムを謳歌できる最期の青春。それは、パンドラの箱を開ける最期の機会とも言えた。
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    😭🙏🙏🙏🙏🙏
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    そいそい

    DONEはっぴーリュウシマ真ん中バースデー🥳

    真ん中バースデーとはあまり関係ない話になってしまいました。あと、ひっちゃかめっちゃかしてます。すみません🙏

    ※注意
    かっこいいリュウジさんはいません。
    社会人リュウジさんと大学生シマカゼくんの話です。
    ヤマクラ前に考えた話だったので、シマカゼくんの進路は捏造しています。
    かっこいいリュウジさんはいません←ここ重要
    あの部屋 大学の最寄駅から地下鉄に乗って一駅。単身者向けのマンションの三階の一番奥の部屋。鍵を出そうとしたが、中に人の気配を感じてやめた。そのままドアノブをひねると、予想通りすんなりと回る。そして玄関の扉を開けば、小さなキッチンのある廊下の向こうで、メガネをかけて、デスクに向かっていたあの人がちらりとこちらに視線をくれた。
    「また来たのか」
     呆れながら言うあの人に、ここからの方が学校が近いのでといつも通りの答えを返す。そうすると、少しだけだろといつも通りにあしらわれた。
     ここは僕の下宿先というわけではない。超進化研究所名古屋支部に正式に入所したリュウジさんが一人暮らしをしているマンションだ。もう少し超進化研究所の近くに住めばいいのに、何故か程遠い名古屋の中心部に部屋を借りている。そのおかげで僕は大学帰りに寄ることができているのだ。
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    そいそい

    DONEフォロワーさんからいただいたリクを元にして書きました。あんまりリクに添えた話にならなくて、本当にすみません🙇‍♀️
    リクありがとうございました🙌
    安城家に子守り行くリュさんの話です。
    「こんなことまで面倒かけちゃってごめんなさいね。ほらうち、お父さんが仕事でいつも家空けてるし、おじいちゃんおばあちゃんも遠くに住んでるから、こういうときに困るのよ。だから、リュウジくんが来てくれることになって本当に助かるわ。お土産買ってくるからね。苦手なものとかない? あっ! あと……」
     リュウジさんが持つスマートフォンから母さんの声が漏れ出ている。母さんの声は大きく、よく喋る。それは電話だろうが変わらない。そんな母さんの大音量のマシンガントークをリュウジさんはたじたじとしながら聞いてくれていた。
     母さんは大学の友人の結婚式に出るため、東京にいる。しかし、帰りの新幹線が大雨で止まってしまったらしい。それで今日は帰れないかもしれないと超進化研究所で訓練中の僕に電話がかかってきたのだ。このまま超進化研究所の仮眠室を借りて一晩明かしてもよかったが、あいにくナガラはフルコンタクトの稽古で不在で、家には帰らなければならない。しかし、家に帰ったら帰ったで、僕たち子供しか家にいないことになる。それは母さん的には心配なようで、どうしようかと頭を悩ませていると、俺が面倒見ましょうかとリュウジさんが申し出てくれたのだ。それでいつ運転再開になるかわからないからと、母さんは東京で一泊してくることになった。
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