死別だとは夢にも思っていないよくある二級任務に向かった恋人が泣き腫らした顔で帰ってきた。それだけで大事件なのに、抱きしめることも触れることも許されず、極めつけには"七海だけが入れない帳"を下ろして自室に引きこもってしまった。手も足も出ない状況に、渋々頼り甲斐だけはある先輩たちを召喚したのだった。
***
「失恋しました」
「は?」
先輩たちの説得で天岩戸から出てきた灰原の第一声。信じられない内容に思わず声が出た。
「灰原の恋人は私だよな?」
「うん」
「…フった覚えはないし、フラれた覚えもないんだが?」
「…」
口を真一文字に結んだかと思うと目元が潤む。なんで泣くんだ、泣きたいのはこっちなのに。
「今日の任務で何かあった?」
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