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    ろどな

    左右相手非固定の国

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    ろどな

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    9/8 ブラネロ
    新しい関係を築いた二人がいちゃつく話

    #ブラネロ
    branello
    ##rd_9月ひとり創作フェスタ

    ぬくもり 夜の独り寝が寂しいと思うようになったのはいつからだろうか。いつから、彼の体温を求めるようになったのだろうか。
     少なくとも『ボス』と慕っていた時代ではない。離れて、再会して、関係を隠すために画策してそして、すべてをやめて求めてから、か。
     想う心に蓋はできず、閉じても閉じても溢れるばかり。彼を手元においておくことなど不可能なのに、不可能なはずだったのに、今はそれをできている。体温を触れ合わせて、心穏やかに過ごせるようになった。
     ネロはひざ掛けを一枚手にして、自室を出た。音を立てぬように階段を上がり、それから目的地へと向かう。ノックの音は静かな最上階では響いてしまうかもしれない。まあ、いまさらか。魔法舎の中で自分たちの関係を知らぬものなどいないから、開き直ったように扉を叩いた。
     するとすぐに扉は開く。聞こえた指を鳴らす音に、やはりこの男にかかればそれくらい、声もなくできてしまうのだ。ネロは部屋に入り、後ろ手に鍵を閉める。
    「起こした?」
    「いや、ちょうど寝ようとしてたとこ」
     こうして周囲を気にせず睡眠を取れることも、魔法舎という特殊な環境なればこそ。昔のことをふと思い出してしまうのは、彼を目の当たりにしているからに他ならない。
    「少し、ここにいてもいいか」
    「少し?」
    「……いや、……できれば、朝まで……」
     素直に声を上げなくては、と心に定めたのはこの男とこうして、触れ合うようになってからだ。決して昔の関係を引きずっているわけではない。あれはあれ、今は今。同郷の魔法使いとしてではなく、この場所で出会った二人として、関係を築いた結果なのだ。
    「来いよ」
     この部屋には寝台が置かれていない。眠るのは革張りのソファーで、男二人で眠るには狭い。だからこそちょうどよかった。服の上からでも肌を触れ合わせれば、心が落ち着いていく。
     ネロは彼、ブラッドリーの腕の中へ収まった。そのまま横に寝転がれば、落ちそうになる体をより一層抱きしめられる。甘えたいわけではないのに、こうしていると甘えたくなってしまう。
    「なにかあったのか?」
    「……特には」
    「それなのに甘えに来たのか? 可愛いことするじゃねえか」
     揶揄されても事実なのだから否定のしようがなかった。人肌が恋しくなって、求めて来た。それだけなのだから。
    「俺はてめえがここにいるだけでいいと思える」
    「……そうかよ」
    「もっといい顔してくれよ。俺様に多少なりとも我慢させてるんだぜ」
    「だからこうして来てるんだろ」
     それでもやはり、言葉で素直を表し切るのは難しいものだった。そもそも、ブラッドリーが上から物を言うのがいけない。責任転嫁も甚だしいと思いつつ、言葉にするのは難しいのだ。
    「ま、いいけど」
     ブラッドリーへ我慢を強いたつもりはない。だが、そうしてまでそばにいたいと、いていいと言ってくれている。
    「……あったけぇな」
     その想いが、その感情が。北の国ではそれを感じることができなかったが、関係を変えた今、なら。
     ネロはそっと、ブラッドリーのくちびるに触れた。今ならつかめる、そのぬくもりを求めるために。
     それは東の国の魔法使いとして、一人の、男として。どうしても愛してしまった相手を、決して離さないように。
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    SPOILERイベスト読了!ブラネロ妄想込み感想!最高でした。スカーフのエピソードからの今回の…クロエの大きな一歩、そしてクロエを見守り、そっと支えるラスティカの気配。優しくて繊細なヒースと、元気で前向きなルチルがクロエに寄り添うような、素敵なお話でした。

    そして何より、特筆したいのはリケの腕を振り解けないボスですよね…なんだかんだ言いつつ、ちっちゃいの、に甘いボスとても好きです。
    リケが、お勤めを最後まで果たさせるために、なのかもしれませんがブラと最後まで一緒にいたみたいなのがとてもニコニコしました。
    「帰ったらネロにもチョコをあげるんです!」と目をキラキラさせて言っているリケを眩しそうにみて、無造作に頭を撫でて「そうかよ」ってほんの少し柔らかい微笑みを浮かべるブラ。
    そんな表情をみて少し考えてから、きらきら真っ直ぐな目でリケが「ブラッドリーも一緒に渡しましょう!」て言うよね…どきっとしつつ、なんで俺様が、っていうブラに「きっとネロも喜びます。日頃たくさんおいしいものを作ってもらっているのだから、お祭りの夜くらい感謝を伝えてもいいでしょう?」って正論を突きつけるリケいませんか?
    ボス、リケの言葉に背中を押されて、深夜、ネロの部屋に 523

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    DONEタケミっちが千冬くんに告白して、その告白の返事に悩んだ千冬くんがマイキーに相談する話。
    キーワードは「嫉妬」と「覆水盆に返らず」です。
    二部作の予定で今作は第一部です。
    第一部:千冬くん視点、第二部:マイキー視点を予定しています。

    ※この作品では誰も救われません。
    ※添え野菜程度に事後描写があります。
    『愚人どもの恋罪』 --「恋は曲者」-- 『嫉妬とは、愛の保証への要求である。』
    《レフ・トルストイ著『アンナ・カレーニナ』の一節より》


    卍卍卍


    「オレ、千冬のことが好きなんだ」

    そう言った相棒、もといタケミっちの顔は熟れすぎた苺みたいに真っ赤だった。多くの犠牲を出した関東事変も終焉を迎え、マイキーくんの妹や横浜天竺の総長である黒川イザナ、場地さんの仇である稀咲の死を目の当たりしてもしかしたら自分やオレが死んでてもおかしくなかったと感じ、この気持ちを伝えようと思い至ったらしい。
    オレのどこに惚れたのか訊くと、「ありすぎて一つずつ挙げると日が暮れる」とタケミっちははにかみながらある未来でタケミっちとオレが反社をしていて、その時命を張って自分のことを守ってくれたことがきっかけだったと思うと言った。それから未来から来たという傍からすれば戯言を馬鹿にすることなく信じてくれたこと。場地さんの未来を知ってて救うことが出来なかったことに対してタケミっちを責めることなく、誰からも褒められることもねえのに一人で戦ってすげえともっと胸を張れと背中を押してくれたこと。全てを受け止めた上で相棒でいてくれたこと。…など穴があれば出来るだけここから一番遠い場所まで潜って逃げちまいてえと思える自分でも小っ恥ずかしいエピソードをタケミっちは嬉しそうに、まるでずっと大切にしてきた宝物の包装を一つ一つ解いて開いていくかのように丁寧に優しく語って聞かせてくれた。
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