想いを寄せ合う関係になってから、3ヶ月。
その間に手は繋いだしキスもした。初めての口付けはふわふわと柔らかい感覚だけが残って、あとは緊張してよく覚えてない。
そんな相手――清澄の家で、初めてのお泊り。
そりゃ、ちょっとは期待しちゃうのが男ってもんだ。
2つ並べられたお布団はぴったりくっついていて、まるでカップルで旅館に来たらこんな感じなのかな、なんて思いを馳せてみた。いつか俺たちもオフを合わせたりして温泉デートなんて行ってみたい。
「それでは、おやすみなさい」
「うん、おやすみ」
二人で布団に入って電気を消す。
俺の心臓はどきどきと高鳴っていた。
どんな風に始めるのがいいのかな、それとなくキス、とかしたらいいんだろうか。
そわそわして何度も寝返りを繰り返す。やっぱこういうときは俺から、だよな…!?
「き、きよすみ、起きてる…?」
思い切って勇気を出して声をかけた。想定より震えて裏返ってしまったのが恥ずかしい。
しかし、隣の布団からは何の返事もない。
「清澄…?」
もしかして、と思って掛け布団を捲り身体を起こして清澄を確認する。
すう…すう…
健やかな寝息が客間に響く。
ゆっくりと肩が上下していて、呼吸の深さを感じる。
き、清澄、寝ちゃったの!?ほんとに!?寝る、って、ほんとに寝るだけだった!?
めちゃくちゃ緊張してばくばくだった俺は拍子抜けしてしまって思わず布団に倒れ込んだ。
な、なんだ…期待してたの、俺だけだった…?
暗闇に慣れた目で隣の清澄をちらりと覗く。
清澄の睫毛は長くて肌も白くてきれいで、薄い唇が少しだけ開いていて、まるでお人形さんみたいだ。
そう、だよな、まだ3ヶ月だもんな、俺の気が早かったんだよな、うん!そうに決まってる!
そう言い聞かせて、俺は思いっきり掛け布団を頭まで被った。
悶々とした感情を抱えながら、俺はなんとか寝付こうと必死になるのであった。
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