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    nbymk02

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    TRAININGフォロワーさんから再びお題をお借りしました!今回は1000字以内に短くまとめる目標を達せたのでよかったです。
    紅茶 ふと、戸棚の中に銀色をみつけた。ようやく重い腰を上げ、身の回りの整理をしようとした矢先だった。厚さニセンチ程度、大きさ十センチ程度の、小さな丸い缶だった。シックなイラストの描かれたパッケージに「Darjeeling」の文字。どうやら紅茶の缶らしい。おもむろに裏返して、書かれた文字を流し読む。成分やら生産国やらの表記の下に、記された半年前の日付。消費期限はとうの昔に切れていた。
     同じ戸棚の中に、一式の紅茶器具がそろっていた。どうしようか、少し考えて思い至る。それらをすべてテーブルに並べて、電気ケトルのスイッチを入れる。最新式の家電は便利だ。しゅんしゅんと音を立てて、すぐに湯がわき上がる。
     蓋を軽くひねると、茶と緑が混じったようなくすんだ色彩。反して鮮やかな香りが鼻孔をくすぐった。期限切れの割に、澄み切った芳香は心地よく、新鮮さすら感じる。ティースプーンですくって、ポットの中へ。沸き上がった湯をすぐにそこへ注いだ。勢いよく流れ込む水流に、透明なティーポットの中で茶葉が跳ねる。砂時計をひっくり返して、それを眺める。細く縮まった身体をゆっくりと広げながら、たゆたい踊るそいつらは対流のままにくるりと舞い上がり、やがて底へと沈んでいく。
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    DOODLE七夕的なものが書きたかったのでヒーロー組で考えたけど、なんか陰気な感じになってしまった。
    七夕文「そういや、今日は七夕じゃん」
     誰かがそう言い出したのがきっかけだった。なぜか定番になりつつある、戦いの後の俺の部屋での勉強会の時だった。シャーペンを動かす手を止めて、皆がスマホの日付を確認する。
    「七夕かあ、今日は天気がいいから、ひょっとしたら天の川みれるかもしれないね」
    「おっまじ? じゃあさっそく見に行かねえ?」
    「この時間じゃまだ早いでしょう」
     夏も近くなり日も伸びた、梅雨明けを待つ今日この頃。現時刻は六時をまわった今でも、カーテンで仕切られた向こう側はまだほんのりと明るかった。
    「七時をすぎた位になれば日も沈むんじゃないか? テスト前だしもう少し勉強していこうか」
    「オッケー!」
     若干一名を除いて、高校生たちはやる気満々だ。しかしながら、居場所の提供者である俺は全く大丈夫ではない。今日は八時からは愛好しているネットゲーム内で、バーチャルアイドルによる七夕限定ライブがあるのだ。アーカイブで視聴可能とはいえ、リアルタイムで楽しむことこそファンの務めと言うもの。回線の混み具合も考えて、早めに待機しておきたいので、皆には早いところおうちに帰ってもらいたいところなのだ。とはいえ、そんなことを言えるほどのコミュ力は俺には存在していない。ぐっと心の中で「早く帰れ」と唱えながら、パソコンの画面へと意識を戻す。
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    nbymk02

    DOODLE書き初め?感覚で久しぶりに戦闘描写練習〜
    ディルとおライト先輩のバトルを書きたかった。
    ひゅ、空を切り裂く音を伴い、投擲された二本のナイフが迫る。
     一つは目を、一つは喉を。人体の急所を確実にねらったそれは、弾丸と見紛う速度で一直線に走り来る。
     
     ――風よ!

     明確な殺意をもって放たれた狩人の牙。ディルは腕を横に振るい迎撃する。動きに伴って生じた空気のうねり。圧縮された大気が風の障壁となって攻撃の威力を削ぐ。そうして速度を弛めた二つの刃を身を捻って掻い潜ると、ディルは再び振るった腕を十字に切る。生じた十字の二つの風牙が、こちらも弾丸の勢いでライトへと迫る。

    「おっと」

     周囲の空気を取り込み、迫るほどに大きくなる風の刃。それをライトは身を翻してふわりと躱す。と、同時に再びの投擲。今度は先程の倍以上。五つのナイフを同時に放った。

    「くっ」

     五つの刃は回避行動の最中に放たれたにもかかわらず脅威の精度をもって、今度はディルの機動を削ぐべく脚を、それも腱を狙ってくる。
     無限の再生能力を有しているディルであっても、肉体の損傷が起きてからそれを再生し、再び行動を開始できるまでには在る程度の時間を有する。脚をやられてしまえば、再び行動できるほどに再生をするまで、しばら 4250