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    3iiRo27

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    ritk版深夜の60分一発勝負
    第六十三回 お題:「つぼみ」「知らん振り」
    類は「司のことが好き」だと知った司が、知らん振りをする話。
    司視点 ?想い

    #類司
    Ruikasa
    #ワンドロ

    優先なんて、しなくていい背中には、フェンス。

    左右には、細身だけど、しっかりと筋肉がついた、腕。




    ……そして、目の前には。






    「……もう、逃げられないよ。司くん。」



    真剣な顔でオレを見つめる、類。













    ……どうして。


    どうして、こうなってしまったんだ……。






    -----------------------------




    それを知ったきっかけは、まだルカがセカイに現れてから、間もない頃。
    ルカを探していた時だった。


    ルカを探していた時に、よく昼寝をしている場所だと教えてもらった、草原。

    そこには、セカイでは珍しく、生花。……しかも、大半が蕾の状態で。咲き誇っていた。

    探し当てたルカと共に戻る時に、蕾である理由を、聞いたら。






    「あそこの花は、強いオモイで咲くのよぉ」

    「強い……オモイで?」

    「そう。そして蕾なのは、願った人がまだ自覚してないのねえ」



    そんなものがあるのかと半信半疑だったオレに、ルカはそこで摘んだ花だと、細長い黄色い花弁の、一輪の花をくれた。


    「これは、パボニアという花。花言葉は「安堵」」

    「安堵?」

    「ええ。そして葉の色は、その人を表しているみたいなの。……司くんは、心当たりないかしら?」



    分からずに首を傾げ、そして考えて……ハッとした。

    オレが、安堵するようなこと。
    ……咲希と、ひな祭りで起こったすれ違いを、解決した時だ。



    気づいたオレに、ルカはそっと微笑みかけてくれて。

    他の花も、気づくといいわねえ。なんて言って、笑っていた。






    -----------------------------





    それからというものの。

    毎日ではないが、時折草原を訪れては、新しい花が生えてないか、確認するようになった。

    そして、確認しているうちに、気づいた。
    どうやら、オレのオモイだけでなく、他の皆のオモイも、ここには反映されるらしい。



    アメリカに行く前に蕾になっていて、行った日の後に花が咲いたものは、葉がピンク色の、赤いガーベラだったのだ。

    ルカに聞くと、花言葉は「チャレンジ」「限りなき挑戦」と教えてくれた。
    そして、ピンクと言えば。

    夢も現実も、といっていた、あいつらしいなと、思わず笑みが溢れたものだ。















    でも、それが微笑ましいものじゃなくなったのは。

    それから、数ヶ月が経った、ある日のことだった。




    「……ん……??なんだ、この花……?」


    ある日増えていた花が、オレのいつも知っている姿とは、別のものだった。



    恐らく小さい花がいくつもあるものなのだろうと思われる、複数の蕾。

    そして……紫色で、先っぽだけが黄色の、2色の葉。



    葉っぱが2色なんて珍しい、なんて思いながら、ルカを呼んで、花と花言葉を確認してもらった。

    本来は蕾であるうちはそれを調べないようにしていたが、2色もあって、そのうち片方がオレの色となると流石に気になる。



    快く引き受けてくれたルカから発せられた花言葉に。







    オレは、思わず呼吸を止めてしまった。












    「紫のライラックね。……花言葉は、「恋の芽生え」」















    オレじゃない。オレじゃないとしたら。
    紫なのは、あいつしかいないんだ。









    (類が、オレのことを、)









    背筋が、ぞっとする。



    嫌悪ではない。

    ただ純粋な……恐怖だ。








    オレは、ルカにお礼も言えないまま、セカイを後にした。

    不安げに見つめる、ルカを残して。





    -----------------------------









    『司くん、今日は一緒に行けそうかい?』

    「……すまん。一緒に行けない。……っと」



    スマホにきた類からの連絡にそう返すと、目の前のプリントの山に向き合う。


    本来であれば、もう1人の委員長に言えば、引き取ってもらえるであろう、この仕事。

    でもオレは、今日はそれを自ら引き取って、やっていた。



    少しでも、類との時間を、減らすために。








    類の気持ちを知ってしまった後。



    自室に戻ったオレは、ゆっくりと考え。そして、決めた。


    蕾であるということは、まだ類はその気持ちに気づいていないということだ。
    つまり、知らん振りをしていれば、そのうち類も気持ちを忘れるかもしれない。

    オレが類にあまり接触しなくなれば、尚更忘れてくれることだろう。



    オレはその日から、類との時間を極力減らすよう、動くようになった。

    急に減らしたら怪訝な顔をされるだろうから、少しずつ、少しずつ。


    ほぼ毎日、顔を合わせていたものが、2日に1回、3日に1回となり。
    今では、1週間に2回まで減らせるようになった。


    ショーの話もあるからそこはノーカウントで進めていたが、それでも大分減らせた。

    むしろ今までが多すぎたんだなと、プリントを捌きながら思った。







    類に、悪いことをしてしまったとは、思わなくもない。

    オレが勝手に、類のオモイを見てしまったのが、悪いわけだから。

    別に、同性愛に偏見があるわけでもないし、仮に類が男性と付き合っていても、類は類だと、胸を張って言える。







    悪いのは、オレ。

    ……昔のことを、ずっと引きずっている、オレのせいだ。








    -----------------------------






    ぼんやりと考えながら作業をしていたら、あっという間に作業は終わって。

    先生に提出し、ぐっと伸びをする。




    「さて、急いでワンダーステージに向かう、か……?」



    早足で下駄箱に向かうと、見慣れた紫色が見える。

    思わず止まってしまうと、オレの声が聞こえたのか、スマホに落としていた視線を此方に向けた。




    「ああ。待っていたよ、司くん」

    「待っていたって……一緒にいけないと言っただろう」


    驚きながらもそう声をかけると、類はにっこりと笑いながらスマホを指さした。



    「僕は「わかった」とも、「先にいってる」とも言ってないよ。ちなみに、既に2人には僕も遅れることは連絡済みさ」

    「は?なんで、」







    「こうでもしないと、司くんが捕まらないと思ってね」










    「……な、んの、ことだ」

    「惚けても無駄だよ。もう気づいているんだ。」



    じわじわと近寄ってくる類に、思わず後退りをしてしまう。
    ダメだ。これ以上、聞いたら。






    「司くん。君は一体何を、」

    「っすまん!!!!!」

    「ちょ、司くん!?」






    類が口を開いた隙をついて、背を向けて走り出す。

    そんなオレを、類は驚きながらも追いかけてきた。



    走るなと怒鳴る先生の声をBGMに。

    オレと類の鬼ごっこが、幕を開けた。







    -----------------------------







    「……司くん、聞いてる?」

    「う、ぐ……」




    類の声に、意識が戻ってくる。

    あの後。
    闇雲に走っていたオレに対し、類は作戦をたて、オレを追い詰めた。

    オレの逃げる方向や反応を覚え、屋上に行くよう誘導してきたんだ。



    オレが気づいたのは屋上に向かう階段の途中で。

    それでも諦めきれずに逃げ回るオレを掴み、所詮壁ドンと言われる体勢になって、今に至る。


    類の顔は近いしもう逃げられないしで、オレはもう、オーバーフロー寸前だった。






    「……司くん。ちょっと聞いてくれるかい?」




    捕まっても一向に話そうとしないオレに、類が口を開いた。




    「僕はね、司くんが気づいたら、避け始めていて。本気で、嫌われたのかと思っていたんだよ」

    「っそ、そんなことないだろう!?」

    「うん、ありがとう。でも、実際ショーでは普通に会話してくれるから、僕も嫌われたんじゃないとは、思ってたんだ」

    「…………」







    「でも、ならなんで避けているのか。それが、わからなかった」





    その言葉と共に、両端にあった腕で、強く身体を引き寄せられる。

    オレは、類に抱きしめられていた。




    「る、」

    「ずっとね、変だったんだ」



    遮られるように、言われた言葉。

    その言葉は、いつもの類からは想像ができないくらい……震えて、いた。




    「理由がわからないまま、避けられていて。でも、えむくんも寧々も、他の子も皆いつも通りなのに、僕だけで」

    「…………」

    「今まで1人でも、大丈夫だって、そう思えていたのに。……君が離れるのは、ダメだったんだ」

    「それは、」

    「ごめん、司くん」




    ぎゅ、と抱きしめる力を強められて。








    「今だけは、逃げないで。拒否しないで。……僕は、君が好きなんだ……!」











    ああ。結局、ダメだった。
    気づかせないように立ち回っていたのに、気づかせるきっかけになってしまったなんて。


    ……オレに、そんな資格はないのに。






    でも、拒否されることを怖がって、一切力を緩めないそれを。

    オレが沢山、傷つけてしまったのは、謝りたいし、どうにかしたい。

    そう、思えた。








    「知ってた」

    「…………え?」

    「すまない。前から、知っていたんだ。お前が、オレのことを好きだってこと」



    ぽかんとしたような声が、耳元で聞こえる。

    顔が見れないのが残念だ。類がしっかりホールドしているから、見ることが叶わない。



    「なん、で……。僕だって、自覚したのはつい最近なのに、」

    「その理由は、また後で話す。……知っていたから、避けるようになったんだ。類が、それに気づかないように」

    「っ、それは」

    「類の気持ちに答えられないから、じゃない」




    オレの言葉に驚いたのか、抱きしめていた力が緩む。

    そっと腕を抜け出し、類の正面に立つ。



    驚いた表情のままの類と、目が合う。

    繋いだままの手は。……オレの手だけが、カタカタと、震えていた。






    「……司、くん?」























    「オレ、は。……類を、最優先に、できないから」



    「……え?」



    ぽかんとする類に、オレは続けた。




    「昔、な。女子と、付き合ったことがあったんだ。好きではなかったけれど、付き合っているうちに好きになるからって」

    「うん」

    「……でも、1月も経たないうちに、別れた」

    「……それは、どうして」



















    「『彼女を、一番にできないから』だそうだ」





    「は?」


    「当時、咲希のお見舞いによく行っていたし、空いている時間はショーの脚本に当てかわれていた。……それが、気に食わなかったらしくてな」

    「…………」

    「今思えば、自分から「好きになるから」と言っておきながら、何を言っているんだとは思うんだが。……その時にな、言われたんだ」

    「……なんて?」



















    「『好きな人を一番にできない人が、恋なんてしないで』って」



    「…………」

    「それから、怖くなったんだ。好意を持つことが。優先度をつけないといけないことが。
    ……オレを好きになった人を、最優先にできない、笑顔にできないことが」



    今でも、忘れることができない。
    憎悪にまみれた顔で、言われたその言葉を。

    好意を寄せられる、伝えられる度に、あの言葉がリフレインして。





    「……今でも、家族やショー以上に、優先することなんてできない。だから、オレに好きになられる資格なんて、」

    「もういい。もう、いいよ。」







    ぐっと手を握られ、そっと頬に手を添えられる。

    ……いつしか、オレの顔は、ずっと俯いたままだった。









    「ねえ。司くんはさ、家族やショー以上にすることができないって、言ったよね」


    「…………ああ」




    「でもね、司くん?僕を誰だと思ってるんだい?」


    手を広げて、類が不敵に笑う。

    その姿は。












    「……変人ツー?」

    「そういう回答がくると思わなかったよ変人ワンくん。……そうじゃなくてね」





    「僕も、君と同じショーバカなんだ。好きな人を最優先には、できないんだよ」


    「…………ぁ」




    ハッとする。

    そうだ。オレも類も、ショーバカで。
    ショー以外を、最優先にすることなんて、できないんだ。



    「というかね。僕はそれらに優先度なんてつけたくないんだよ」

    「は?」

    「ショーも、ロボットも、ワンダーランズ×ショウタイムも、司くんも。……全部、全部大切だからね」




    そっと、オレの手を取る。

    震えは、いつの間にか、収まっていた。



    「優先度なんて、気にしなくていい。問題なのは、司くんが、僕へのオモイを、どこに置くかだけなんだ」


    「…………」


    「……さて、改めて、言わせてもらうよ。……僕は、天馬司くんが好きです。付き合って、くれませんか?」





    類の真剣な眼差しに、目が逸らせない。顔が、熱くなるのを感じる。


    ゆっくりと、息を吸い、吐いて。……口を、開いた。





















    「……わからん。」






    「……えっ」

    「今まで、自分のオモイも、人の好意も、知らん振りしていたから……自分の気持ちが、わからなくて、な」

    「そう、かい」

    「だから、その。考えさえてほしい。しっかり考えて、それで、答えるから」

    「……!うん。待っているよ」





    類が、嬉しそうに、ふわりと微笑む。




    ドキン。

    「…………?」



    一瞬、高鳴った胸に、思わず手を当てて、首を傾げる。

    今のは、一体……?




    「……司くん?」

    「はっ!な、何でもない!そうだ!そろそろワンダーステージに行こう!待たせてしまっているしな!」

    「ふふ、そうだね」





    類と連れ立って、屋上を後にする。



    ……ちゃんと、オレ自身で、考えて。
    類への感情に、答えが出せると、いいな。


































    「あらぁ~。ふふ。アツアツねえ」


    微笑む、ルカの視線の先。



    綺麗に開花した、紫で先が黄色の葉がついた、ライラックの隣に。

    黄色で先が紫の葉がついた、全く同じ花が、鎮座していた。
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    サンプル内含め🎈🌟共に汚喘ぎや🎈が🌟にお○ほで攻められるといった表現なども含まれますので、いつもより🌟優位🎈よわよわ要素が強めになっております。
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