RELIEFもう一度、お前と話をしたい。
彼は……いや、悟はそう言って、私をその場から連れ出した。
そう言えばあれから10年の月日が流れたのかと、今更ながらに思う。
10年ぶりに悟の部屋に来たが、相変わらず物は少ないし、家に帰っているのかと思うくらい生活感がまるでなかった。
「あまり動き回るなよ」
「動いた所で何もできないから大丈夫さ」
「腕もなけりゃ呪力もないし呪霊も居ないからな。じっとしてな」
乙骨との戦いから2週間。殺されたと思ったこの命は、目の前にいる“最強の術師の気まぐれ”で拾われた。その気まぐれが終わる時、再び殺されるのだろう。現にこの身体は病院に搬送され、しかし満足な治療を受ける事も出来ずに出る事になった。別に理由を聞く事はしない。既に死んだ命。その延長線だ。悟の気が済んだ時に殺されるだけ。
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