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    司のセカイに咲いた花

    お題「僕が愛した薔薇」
    15分トレーニング 3

    1238文字(所要時間約3分)

    ##司類

    「おや?」

     神代類は、思いがけない光景に思わず小さな声を漏らした。
     ワンダーランズ×ショウタイム、練習時間の合間に司のセカイを散歩していた時の事だった。

     あいも変わらず派手で、にぎやかすぎるセカイ。
     けれど、それが彼らしくて本当に面白く、類は少しの暇があればその場所を散歩していたのだが。

    「……こんな所、前にはなかったはず……?」

     類が見かけたその場所は、あまりにも小さな花壇であった。
     たった一本の赤いバラの花がその中央に咲いていて、それを取り囲むようにこの世界には少しだけそぐわないようなシックな色の囲いで囲まれている。
     このセカイといえば、ぬいぐるみも花も、全てがカラフルでにぎやかで、なんなら顔や感情だって持っている者たちばかりであったのに。しかしこの場所の花ときたら、それとは全く違う、しんと静かで大人のようで、ひんやりと冷えているような印象さえあるのだった。

     一歩、その場所に歩んでみると、そこだけが少し陰っているようにも見えて、不思議な気持ちがする。
     一瞬これが、司の抱える何かしらの闇なのかもしれないとは思ったが、この場所の変わらぬ心地よさから顧みてもみると、どうやらそうではないようだ。

    「このセカイも、もしかすると成長するのだろうか? ……ん?」

     その花の目の前でひとりごちると、はたと、後ろから視線を感じたような気がする。
     その目の前には、類が想像していた司、その人がいた。
     彼は類のその様子を見つめ、何故か少し恥ずかしそうにしながらそこで佇んでいる。

    「……るい、それ、見つけてしまったのか」
    「この花かい? そうだね、今初めて見た気がするよ」

     言うなりすぐ隣まで歩み寄ってきた彼を目で追った。
     司は、少しだけ頬を赤らめたままその花を見つめている。
     どうして頬を赤らめているんだい?
     このセカイは、君の作ったものだから、君の好きなものしかない存在しないはずなのに。

    「この花は……」

     思いがけず、いつもよりも少し小さな声色で彼は話し始めたのでドキリとする。
     司は、ハイテンションなその時とは別に、妙に冷静な一面も持っている。
     そんな、彼の静かで知己的な面を見せられて、不意をつかれたような形になったのだ。

    「この花は、前、お前が持っていたものだとだろうと思う。演出の際にな、何度か使っただろう。それが、似合っていたとオレは思っていたんだが……いつの間にか、セカイの中にも咲いてしまったみたいでな」

     へぇ? と予想外の声が出る。

    「……では、僕が使っていた花がこちらに来てしまったという事なのかい?」
    「そのようだな」
    「……不思議なこともあるものだねぇ」

     二人、その花を見つめていたが、類にはその真意はよくわかる。
     そして、それが彼のセカイに入り込んでいたことがたまらなく嬉しく、ひっそりと浮かび上がってしまうような気分になった。

     けれど、まだその真意を言う時期ではないだろう。
     彼が、そして自分がもう少し彼を知ってから、それから二人の世界を広げて行きたいと思うのだ。
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    TRAINING司の作るカリカリベーコン

    お題「嘘の夜風」
    15分トレーニング 20

    1372文字(所要時間約3分)
    妙に気だるい朝だった。目を開き、辺りを見渡すが照準が合わない。もぞもぞと動いてみるが、肩と腰が妙にぎくしゃくと軋んでいる。
     類は、元より低血圧である。だから起きがけの気分は大抵最悪なのではあるが、今日のそれはいつもの最悪ともまた違う、変な運動をした後のような気だるさがあるのだった。

    「類、起きたのか?」

     まだ起ききっていない頭の片隅を、くぐもった通る声が聞こえてくる。司の声。どこから声をかけてきているのか。それに、妙な雑音が彼の言葉に混じって聞こえ、よくよくその場所を判別できなくなった。

    「……起きてるよ、たぶんね」

     重い体を何とか起こしてみる。体に巻き付いているシーツがいつもと違う。自室にあるソファに投げ捨てられているシーツでも、家の中にあるベッドとも違う、少し手触りの良い物だ。それに、類は今、何も身につけていなかった。
     布団を通り抜け、ひやりとした風が入り込んでくる。少し回復してき思考が回り始めてからようやく、昨日、司の家に泊まったのだと思い出すのだった。

     司は、大学に入ってから一人暮らしを始めた。類はそんな彼の現状を甘んじて受け止めて、よくよく彼の家に泊まるよ 1422

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