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    散らかる部屋問題について

    お題「免れたロボット」
    15分トレーニング 12

    1547文字(所要時間約3分)

    ##司類

    司はガシャガシャとロボットの残骸をかき分けながら、類の部屋に入り込んできた。
     その折には「うわ」だの「いたい」だのといううめき声オプションがついている。

    「類、そろそろまずいんじゃないのか?」
    「そろそろまずい? 何がだい?」
    「……この部屋の事だ! 一体、どうやったらこの短期間でこんなに散らかるんだ?」

     司は玄関よろしくマットを敷いた入口で靴を脱いでしまった事を少しばかり後悔しているらしい。
     ぶつぶつと少しばかり小さく悪態を付きながら、それでも部屋に呼び入れた類のすぐ近くまで、しっかりと来てくれるのである。

    「あぁ。最近新しいロボットを作っていたからね。そうだ! 司くん、見るかい? 昨日キミのためにとてもいいロボットを作ったんだ……!」
    「いいやいい! 類。むしろお前はどうやってこの部屋に入ったんだ……?」

     彼は類が少し前に用意していた来客用椅子をしっかりと見つけ、何とかその場所に座り込む。どうしても気になったのか、手元の届く範囲でしっかりと、積み上げられたおもちゃのようなそれらを少しずつ片付け初めている。

    「……ああ。いつ、入ったんだったかな? 確か、部屋に入った時はこんなじゃなかったんだけどねぇ」
    「作業してるだけでこんなになるものなのか?」
    「発明、っていうのはそういうことだよ。司くん。」
    「うーむ。何だかな……俺は、たまにお前が心配になるぞ?」

     頭を抱えている様子の司を見やる。
     類は、随分前から完成したロボットを見つめる形になったまま、その場所から一切動くことができなくなっていたのだった。
     動けない。というのは何も身体的な問題があったわけじゃない。
     これまで司が言っていたのがその理由であり、詰まるところ、この部屋の荷物があまりにも溢れかえってしまったせいで、外へ出られなくなっていたのだった。

    「……ところで司くん、ちょっとお腹がすかないかい?」
    「腹? そうだな、今日はまだ昼を食べてないな」
    「そうかい! ちょうど良かった! ここにね、デリバリーサービスのチラシがあるんだよ。丁度昼時だから頼んでも一時間くらいかかるかもしれないけれど。ここのお店なら僕も食べられるメニューがたくさんあるし」

     スルリ、と一枚の紙を司に渡す。
     最近この辺りで始まった、新しいデリバリーサービスのクーポン付きチラシであった。
     先日、その話を二人でしていたので取っておいたのだ。司はそれを見つめながら、けれど少し渋い顔をする。

    「……それはいいんだが…………類。この部屋に運んでもらうのか?」
    「うーん、そうだね。困ったことに、この部屋にはたくさん物が溢れてしまったから、ここからは出られないしねぇ」
    「……配達は一時間くらいかかるのか?」
    「さっき見たら、だいたいそんな感じだったねぇ」

     類は先程出来上がったロボットに触れながら、なんともなしを装って司に言葉を投げる。一方の司はいつの間にか彼の携帯を取り出して、デリバリーのサイトをくまなく確認しはじめたようだった。

    「…………類。これ頼んだら、来るまでの間に全部片付けるぞ、いいな?」
    「ふふ、もちろんだよ司くん。司くんは、片付けるのが上手だからねぇ」

     はぁ、と司は小さくため息をついたようではあるが、彼が手伝ってくれるのは明白である。生まれ持っての世話好きなのか、類の足りない所を彼は補完してくれる。それに、こうやって罠にはめたとしても類と関係を続けてくれるのが彼の良いとろこであって、それを類はとても好んでいるのだった。

    「それで、類は何を食べたいんだ?」

     挙げ句、デリバリーの注文までしっかりと行ってくれるようである。
     類は「そうだねぇ……」と一つ間を置いてから、先日、司が食べたいと言っていたメニューを思い出しながら、それに近い料理を伝えていくのだった。


    [20210410]
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    TRAINING司の作るカリカリベーコン

    お題「嘘の夜風」
    15分トレーニング 20

    1372文字(所要時間約3分)
    妙に気だるい朝だった。目を開き、辺りを見渡すが照準が合わない。もぞもぞと動いてみるが、肩と腰が妙にぎくしゃくと軋んでいる。
     類は、元より低血圧である。だから起きがけの気分は大抵最悪なのではあるが、今日のそれはいつもの最悪ともまた違う、変な運動をした後のような気だるさがあるのだった。

    「類、起きたのか?」

     まだ起ききっていない頭の片隅を、くぐもった通る声が聞こえてくる。司の声。どこから声をかけてきているのか。それに、妙な雑音が彼の言葉に混じって聞こえ、よくよくその場所を判別できなくなった。

    「……起きてるよ、たぶんね」

     重い体を何とか起こしてみる。体に巻き付いているシーツがいつもと違う。自室にあるソファに投げ捨てられているシーツでも、家の中にあるベッドとも違う、少し手触りの良い物だ。それに、類は今、何も身につけていなかった。
     布団を通り抜け、ひやりとした風が入り込んでくる。少し回復してき思考が回り始めてからようやく、昨日、司の家に泊まったのだと思い出すのだった。

     司は、大学に入ってから一人暮らしを始めた。類はそんな彼の現状を甘んじて受け止めて、よくよく彼の家に泊まるよ 1422

    recommended works

    はぱまる

    MOURNING昔書いたのを思い出して読み返してみたのですが、これ今から続き書くの無理だな……となったのでここに置いておきます
    後悔 酒は嫌いだ。正気を失うから。ショーに気を狂わせている方がよほど楽しい。
     そう笑う彼の瞳が輝いて見えて、ああ大きな魚を逃したなと思ったのだ。惜しいことをしたと思い知らされたのだ。
     司とは逆に酔う感覚がそれなりに好きな類は口惜しさにアルコールを摂取し、摂取し、摂取し、そこからはもうダメだった。もう一度僕に演出させてほしいと、君の演出家になりたいと、ズルズルと子供のように縋ってしまったのだ。はたまた恋人に捨てられそうな哀れな男にでも見えたろうか。なんにせよ、醜い有様であったことに変わりはない。
     類は知っている。高校生の頃、嫌になるほど共に過ごしてきたため知っている。司は人が好く頼み込まれれば基本的に断れないタチだ。しかも酷く素直で単純で、その気になれば口車に乗せることなど容易い。しかしこの男、どうにも頑固で仕方がないのだ。こうと決めたことは梃子でも曲げない。どんな話術を使おうと泣き落としをしようと首を縦に振らない。そして、司はワンダーランズ×ショウタイムからキッパリと縁を切っていた。
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