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    アルパカを着ている類

    お題「アルパカの本」
    15分トレーニング 18

    1071文字(所要時間約2分)

    ##司類

    「司くん、こういうのはどうだい?」
    「…………類、よくそんな物見つけてきたな?」

     類が今、着こなしているのはもこもことした綿つきのコスプレ衣装。ただしコスプレ、とは言っても何も性的な魅力のあるタイプのそれでなく、どことなくチープで、いわゆる宴会衣装に相当するような形の物ではあるのだが。
     類の着るそれに呆れているような表情で司は見つめ返してくる。
     それが、何となく楽しくなって、衣装の装飾品として備え付けられていたもこもこの手袋で彼の頬に触れてやる。

    「……っ、おい! やめろ!」
    「ふふふ、まぁこの感触は良いんじゃあないかな? 子どもたちも、喜んでくれそうだしね」
    「しかしだな……!」

     彼にちょっかいをかけるために、類が動くと頭の先が少しぐらぐらとした。
     この衣装には、類の頭の上に当たる場所から上に生えるようにして、何とも滑稽なアルパカの顔がくっついているのであった。

    「司くん。アルパカという生き物を見たことはあるかい? アルパカってね、結構シビアないきものなんだ。餌を持ってるとすごいスピードで近寄ってくる。でも、愛嬌を振りまくタイプではないから、食べ終わったらすぐにいなくなってしまうんだ。元は穏やかな動物だからね。少し警戒されたのかもしれない。……でも、遠くで穏やかに仲間たちと生活している様子は、見ていてとても興味深いんだよ」
    「へぇ……で、お前はオレに餌をくれって言ってるのか?」
    「うーん、どうだろう。僕、何か欲しがってる顔してるかい?」

     グリグリと彼にふわふわを押し付けている手を止める。
     類が引いてしまうと、今度は逆に司の方からそのもこもこに触れ返してきた。
     類は先に彼に言われた言葉に返答を返さない。何ともなしに答えにつまり、さり気なく話を変えることにした。

    「……ついでにね、この格好でバルーンアートを渡すと面白いかなとおもってね」
    「まぁ、な……」

     今、二人で話していたのはワンダーランズ×ショウタイムの新しい演目の話であった。
     彼らのショーも、少しばかり人々に認知されてくるようになっていた。その中で、ある日、幼稚園の団体様からの予約が入ったものだから、そこへ少し変わった趣向をしようと案を差し出していたのであった。

    「アルパカ、な……?」

     司はひとりごち、類の手のひらに備え付けられたふわふわを触りながら言う。少しくすぐったい。が、意外と強情な司のことだから、類が逃げようとしても話してくれないのだろう。
     何かを考えている彼の表情を少し上から見つめつつ、類は彼が何かしら新しい企画を思いついているであろうことを想像するのだった。



    [20210414]
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    TRAINING司の作るカリカリベーコン

    お題「嘘の夜風」
    15分トレーニング 20

    1372文字(所要時間約3分)
    妙に気だるい朝だった。目を開き、辺りを見渡すが照準が合わない。もぞもぞと動いてみるが、肩と腰が妙にぎくしゃくと軋んでいる。
     類は、元より低血圧である。だから起きがけの気分は大抵最悪なのではあるが、今日のそれはいつもの最悪ともまた違う、変な運動をした後のような気だるさがあるのだった。

    「類、起きたのか?」

     まだ起ききっていない頭の片隅を、くぐもった通る声が聞こえてくる。司の声。どこから声をかけてきているのか。それに、妙な雑音が彼の言葉に混じって聞こえ、よくよくその場所を判別できなくなった。

    「……起きてるよ、たぶんね」

     重い体を何とか起こしてみる。体に巻き付いているシーツがいつもと違う。自室にあるソファに投げ捨てられているシーツでも、家の中にあるベッドとも違う、少し手触りの良い物だ。それに、類は今、何も身につけていなかった。
     布団を通り抜け、ひやりとした風が入り込んでくる。少し回復してき思考が回り始めてからようやく、昨日、司の家に泊まったのだと思い出すのだった。

     司は、大学に入ってから一人暮らしを始めた。類はそんな彼の現状を甘んじて受け止めて、よくよく彼の家に泊まるよ 1422

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