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    陸遜のお兄ちゃんしてるかたわら、呂蒙殿のセ〇ム(無許可)やってる甘寧と凌統が、私は好きです

    成功報酬:肉の辛煮込み(一級) やった。ついにやったぞ。
     故郷を離れ、間諜として建業に潜伏してから幾星霜。月日にして二月弱。
     孫呉の都督・呂蒙の懐に入り込む機会が、ついに巡ってきた。
     潜入するにあたり、わざわざ呂蒙邸付近に居を構え、初日に挨拶に伺い、手土産を持参したことがようやく功を奏したか。



    成功報酬:肉の辛煮込み(一級)



     彼は生来の世話焼きだ。
     この国で知り合った者は、口を揃えて皆そう言った。
     作りすぎた飯を分け与えられたり、切らした調味料を貸してきたり、ほつれた衣服を直されたり、寝坊する前に起こしてくれたり、等々。
     もちろん、この習性を利用しない手はなかった。
     うだつの上がらぬ商家生まれの書生という設定をでっちあげ、存分に世話を焼かせてやったのだ。案の定奴は、作りすぎた飯を分け与えてきたり、切らした調味料を……等々。
     今は亡き母の面影に咽び泣いてしまったこともあったが、それも役に没入しすぎたせいだろう。全く、己の感受性の豊かさが恐ろしい。
     だが、あの男はただのお節介焼きではない。
     つい忘れがちになっていたが、奴はこの国の重鎮。度量が広くすぐ人を受け入れるくせ、自らの深い部分は決して他者に気取らせなかった。
     これといった情報を手にすることも出来ず、二月が経った。何とか聞き出せた呂家秘伝の調理法を国へ送っていたところ、性急な上層部から『荷物を纏めて戻ってこい』との指示が入った。やれやれ、ここからが埋伏の毒の本領発揮だというのに。
     ご近所の気安さで書物片手に訪ねてきた呂蒙へ、掻い摘んで故郷へ帰る話をした。
     本当は帰りたくない、あなたのそばで学びたい、と少し思わせぶりな態度を取ってやっただけで、自宅での食事に誘ってくるとは。貴様がなかなかボロを出さなかったことが原因だというのに……まあいい。最後の最後で気を緩めたな、この心配性め。
     ようやく巡ってきた好機だ。情報を引き出せるだけ引き出し、あわよくば一番の好物となってしまったとある料理の調理法を盗み、"呂蒙の飯なしでは生きていけない体"にされる前に、おさらばしてやる。

     決意を固めている内に夜になり、呂蒙邸へと向かった。
     近づくにつれ、あまりの美味さに五度はおかわりを要求したあの香りが漂ってくる。
     やはり奴は危険な男だ。
     思考に同意するように、腹の虫がぐうと鳴いた。
    「よぉ、呂蒙のおっさんに何か用か?」
     うっ。
    「先約があるからって言ってたけど……もしかして、あんたかい?」
     出た。
     呂蒙邸まであと少しというところで、声をかけてきたのは呉将・甘寧、凌統の二人だった。
     呂蒙をして『料理よりも手がかかる』と言わしめたこの二人は、事ある事に問題を起こす。その都度呂蒙が裸足で駆け出すものだから、より密な関係を築くことも、ましてや情報を引き出す暇もなかったのだ。
     最後の最後までなんと間の悪い。
     こいつらのせいで何度、何度呂蒙飯を食い逃したことか。
     煮えくり返りそうになる腸を労わるように腹を摩る。ここまできたのだ。やり遂げなくては。
     作り笑いをべったり貼り付け、自宅に呼ばれた旨を説明する。
    「へぇ、お前がなぁ……」
     人を値踏みするかのような視線。正直、この目は未だに慣れない。
     『遠慮』という概念がないのであろう賊上がりのこの男。会う度に頭のてっぺんから爪の先まで観察されているようで、大層居心地が悪い。知らず知らずの内に、足が距離を取りたがる。
    「おい、誰彼構わず喧嘩売るなっての」
     長身の優男が遮るように立ち塞がった。悪かったねと優しく微笑まれ、一瞬毒気を抜かれるが、この男が一番信用ならない。
     何せ、女にもてる。
     そこかしこで、女官が凌統様が云々かんぬんと噂しているのを知っている。ゆえに、信用ならない。
     呂蒙邸から遠ざかる足を叱咤して、なんとか踏みとどまった。
     その間に二人は『喧嘩を売ったか売ってないか』で揉めている。そんなことはどうでもいいから、早く道を譲って欲しい。
     それにこのまま騒ぎになれば、保護者が裸足で飛び出してくることは経験上明白。意を決し、零距離で睨み合う二人に声を掛けた。
    「ああ、悪かったね。引き留めちまって。……ほら、甘寧」
     二人はぴたりといがみ合いを止め、遮っていた道をあけた。
    「ちっ……ま、いいか。せいぜい頑張れよ」
     肩をぽんと叩かれた。痛い。軽く叩いたつもりだろうに、すこぶる痛い。これだから、頭まで筋肉な奴は。
    「あいつ、ああ見えてすげぇから」
     すれ違いざまだった。左の耳元で低く囁かれたのは。
     色を含んだ声音にぞっとする。今の魔性は、本当に傍若無人なあの男か?ごくりと喉が鳴る。
     確かめようとさっと後ろを振り向いたが、無様にも足がもつれて転びそうになる。
    「おっと……緊張してるのかい?」
     くすくすと笑う声が頭上から聞こえる。顔に似合わず太く厚い手に、両肩を支えられていた。
    「大丈夫、任せればあっという間に天上だよ」
     今度は右耳だった。後ろから小声で耳打ちされる。鼓膜に響く甘い声の持ち主は、流し目でこちらを一瞥するとふっと笑った。長い髪から放たれる品の良さそうな香りに、目眩さえ覚えた。
     い、一体何の相手をさせられると思われて。ままままさか、その、よ、夜の…?ばかな、そんな趣味がある素振りは……そ、そそそそれなら余計に都合がいいではないか!元より退路はないのだ。なんだって、なんだってやってやる!しかしなぜ、この二人はそんなことまで知って……まさか、さ、三人……
     引き攣る顔を無理に綻ばせ、ひくつく口角を限界まで吊り上げ、口から絞り出した言葉は『光栄でひゅ』だった。挨拶もそこそこに呂蒙邸へ急ぐ。

     強く香る香辛料が、異常なまでに目にしみた。










    「……光栄、ねぇ」
     凌統は慌てて駆け出した男の背を眺め、呟いた。
     先程、隙をついて男の胸元から拝借した小刀の意匠を見聞する。鞘には、見たこともない模様が彫られていた。
     隣で手元を覗き込んでいた甘寧も、凌統の視線に気づき首を横に振った。
    「にしてもお前、手癖悪ぃな」
    「あんたにだけは言われたくないっつの」
     漂う好物の香りに誘われ呂蒙邸を訪ねた二人だったが、家主に珍しく追い返された。
    『外で訪ねてきた者を見かけても放っておけ』
     訳あり顔でそう言い含められて。
     ぴんときた二人が役目を買って出ようとしたものの、
    『自分で始末を付ける』
     呂蒙はそう言って聞かなかった。
    「余計なことしちゃったかな」
     独り言のように呟いた凌統を横目に、甘寧は頭の後ろで手を組んでゆったりと歩き出した。
    「いいんじゃねぇの?いつも勝手に世話焼いてくんだからよ」
    「……それ、あんたが一番言っちゃいけないやつだと思うんだけど」
     凌統は肩を竦め、そうか?ととぼける甘寧の後を追った。横並びになったところで、思い出したように甘寧が口を開いた。
    「共寝の相手が、こんなもん持ってちゃまずいだろ」
     凌統から受け取った小刀を手元で遊ばせ、甘寧はにやりと笑った。
     呂蒙に悪いと思いつつ、半ばつられるような形で凌統は笑みをこぼした。
    「確かに」










    おまけ

    凌「口の中が完全に辛煮込みになってる……食べたかったな……」
    甘「よっしゃ!戦功第一位の凌統には、この俺が直々に作ってや」
    凌「あんたの手料理大味すぎて嫌」
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    k_r_r_r_n2

    DONEこの後事情を知った権に「おま、お前たち……このっ………馬鹿者ーーーーー!!!!!!!」ってめちゃくちゃ泣かれる

    7月7日の蒙甘というか、蒙と甘
    ※ピクブラ掲載作品→一時的にポイピク避難中
    ミルキーウェイにはほど遠い 酒盛りを終えた二人は悪童よろしく、隠れ処の屋根へとよじ登った。大の男が二人屋根に腰を下ろすと、ぎしりと嫌な音を立てて木材が軋む。したたかに酔いが回った頭は、その音がなにやら愉快なものだと判断したらしく、揃ってけたけたと笑いあった。
    「一年、か」
     一息ついた呂蒙が、名残惜しそうに呟いた。寝そべっていた甘寧は、隣に座る呂蒙を横目でちらと見る。
    「なんだよ。頼んできたそばから惜しくなっちまったか」
     呂蒙はふむ、と顎を摩る。しばし考えて、そうかもしれんと肯定した。
    「彼の地は要所中の要所だ。お前ほどの適任者はいないという殿のお考えに俺も賛同したからこそ、こうして話しにきたわけだが」
     頼みがあると隠れ処に呼び出され、なにかと思えば川向こうの要所を一年間守りきれという。上官からの、ましてや他でもない呂蒙の頼みだ。断る理由などないというのに、このお人好しの上官殿は面目ないという風体で頭を下げた。
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