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    彰冬/🍁❄

    『その言葉のその先を』

    ❄誕小説

    ⚠同棲設定&年齢操作

    #彰冬
    akitoya

    ご飯の匂いで気が付いた。

    今日のバイトは朝の六時からラストまでだった。冬弥に言っていたっけ。シフトが決まるとメッセージ送っているし、冷蔵庫に貼ってるから大丈夫だろうと思っていたのに。

    エプロンの紐が動いた。

    「彰人」

    一口サイズのおかずをつまみ食いしようとした手が掴まれる。でももう掴んだ(おかずを)のだ。

    「彰人、つまみ食いは駄目だろう」
    「分かってるって」

    小言がくる前に飲み込もうとしてもそうはいかない。

    「冷蔵庫に牛乳とおかずも、少しある」
    「……あぁ」  

    つまみ食いしたことを冬弥は怒っているかと思えどそうでもない。おかしそうに笑って、また卵焼きを巻いていく。

    「お前、オレが教えたらそればっかり」
    「彰人から教わったから、俺は料理を作ることが出来た」
    「ちげーな。オレはきっかけを作っただけだ。そっから作り続けるかどうかはお前次第だろ」
    「彰人から知ることはいつも楽しいし、喜ぶ顔を見るのは俺も嬉しい」

    最近冬弥はこんな笑い方をする。真っ赤な夕日のキッチンで、白いエプロンで彰人から教わった卵焼きを焼いている。

    昨日と同じことの繰り返しで、当たり前の光景なのに、なんだか胸がいっぱいになる。

    冬弥の誕生日だからという特別感じゃなく、この何気ない日常のひとつひとつを大切にしていかなきゃならないという焦りみたいなのが彰人からわき上がっていた。

    ーーたまに、こういう気持ちになる

    「彰人、バイトの時間だ」
    「は?……あああっ?!」

    いつのまにか彰人のそばに来ていた冬弥に頬をなぞられて我に返る。シャワーを浴びて戻ると、冬弥も風呂敷を結んでいるところだった。

    「出るぞ。ってか、メシ随分作ったな」
    「ああ。沢山作った」
    「そうか」

    いつから、ではなく出会った頃から冬弥が嬉しいと彰人も嬉しい。

    「行くぞ」
    「……あ、」  

    手を繋ぐことに、冬弥はまだ慣れない。
    赤くなってうつむく。そうやっていつまでも慣れない冬弥にも慣れた。

    本当はずっと彰人と手を繋ぎたかったみたいなクセに、いざ繋いだら驚いて動けなくなる冬弥が可愛いかった。

    ーー思いがあふれ過ぎて、どうしたらいいか分からなくなってしまう結果だ

    冬弥のことも、彰人自身のことも時間や経験の積み重ねが必要なんだって、お互いのことを知るたびにそう思えるようになった。

    「鍵、」

    そう呟いた冬弥は繋いだ手を離して鍵を掛ける。その時に見えたキーホルダーに、こいつは何年使っているのだろうと思った。ゲーセンのガチャガチャ回して出たおもちゃを、冬弥は大事に持っている。

    ーーそれくらい前からオレのことを、と考える

    来年の誕生日にはキーケースをプレゼントしてやりたいと、元がなんのキャラだったか分からない塊を見ていたら、鍵を締め終わった冬弥が手を繋ぎ直した。  

    冬弥のごく自然なその行動に驚いた。

    ーーでも、だけど

    これも一昨日買い物に行った時と同じだと思い出したら、この瞬間を大事にしなきゃならないと思えて、彰人の方から握り直した。

    「手、冷たいな。冬弥」

    それに冬弥は彰人を見て不思議そうに首を傾げた。

    「温めておくから。だから彰人ーー」
    「おう」
    「待っている」

    ーーずっと、この言葉を求めていた気がする

    彰人と冬弥は常に行動を共にする。それも信頼の形だけど、逆にも思えていた。

    冬弥に送り出されて、なぜか急に安心したような、満足したような、温かい気持ちが湧いてきたのだから。

    「誕生日おめでとう。冬弥。続きは夜でな」

    人は何かを求めて生まれてくるらしい。
    それなら彰人は、次の言葉を待っているのかもしれない。

    ーーその言葉をくれるのは同じだといい
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    juzi

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