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    niesugiyasio

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    niesugiyasio

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    原作軸エルリ連作短編集『花』から再録15『空』
    終尾の巨人の骨から姿を表したジーク。

    体が軽い。解放されたみたいだ。俺はこれまで何かに囚われていたのか? 空はこんなに青かっただろうか?
    殺されてやるよ、リヴァイ。
    意図はきっと伝わっただろう。
    地鳴らしは、止めなくてはならない。もとより望んだことはなく、地鳴らしは威嚇の手段のつもりだった。媒介となる王家の血を引く巨人がいなくなれば、行進は止まるはずだ。これは俺にしかできないことだ。
    エレン、とんだことをやらかしてくれたもんだ。すっかり信じ切っていたよ。俺も甘いな。
    また生まれてきたら、何よりクサヴァーさんとキャッチボールをしたいけれど、エレンとも遊びたいな。子どもの頃、弟が欲しかったんだよ。もし弟ができたら、いっぱい一緒に遊ぶんだ。おじいちゃんとおばあちゃんが俺達を可愛がってくれる。そんなことを思っていた。これ以上エレンに人殺しをさせたくないよ。俺も、親父も、お袋も、クサヴァーさんも、生まれてこなきゃよかったのにって思う。だけどエレン、お前が生まれてきてくれて良かったなって思うんだ。いい友達を持ったね。きっとお前がいい子だからだろう。お前のことを、ものすごく好きみたいな女の子がいるという話だったよな。ちゃんと紹介して貰わず終いだ。残念だな。
    ガビとリヴァイを乗せた巨鳥は旋回をして、俺の背後に回っている。俺の裏切りを知ったガビとファルコは、どんなにか俺を恨んだことだろうな。ピークも、アニも、ライナーも。謝る資格もないけれど。
    どうして今になって、色々浮かぶんだろう。
    もはや叶わぬ望みだ。
    みんな、もっと生きていたかったんだろうか。
    みんな、死にたくなかったんだろうか。
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    niesugiyasio

    DONE無配(2025/2/9)の再録です。既刊の音楽家パロ『ヴィルトゥオーゾ』後日談と原作軸のクロスオーバーとなります。指揮者のエルヴィンが道みたいなとこでエレンに遭遇して別世界のリヴァイと会います。別世界のエルリはそれぞれ別CPという想定でそのあたりはクロスオーバーしないです。長生きした兵長と104期たちの話なども含みます。
    From the New Worldそれはまったく突然の事だった。至近に雷でも落ちたかのような光に包まれ、視界からは色も形も失われた。強すぎる光に私自身もまた同化したかのようだった。束の間、すべての感覚を喪い、無に帰す。
    気づけば私は地面に倒れ伏していた。椅子に掛け、机に広げた総譜に書き込みをしていたはずだが、何もない。手にしていたペンも無くなってしまった。着の身着のまま、野外に放り出されている。
    「エルヴィン……団長?」
    団長と呼ばれることはないが、楽団長をそう呼ぶ場合もあるのだろうかと惑いつつ体を起こす。青年が一人立っている。
    「メフィストフェレス?」
    「いや、そんな名前じゃないですけど」
    「すまない。取り組んでいた仕事の影響だ。劇中の登場人物の名を口にしたまでで、決して君を悪魔のようだと言ったわけではない」
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    niesugiyasio

    PAST原作軸エルリ連作短編集『花』から再録15『空』
    終尾の巨人の骨から姿を表したジーク。
    体が軽い。解放されたみたいだ。俺はこれまで何かに囚われていたのか? 空はこんなに青かっただろうか?
    殺されてやるよ、リヴァイ。
    意図はきっと伝わっただろう。
    地鳴らしは、止めなくてはならない。もとより望んだことはなく、地鳴らしは威嚇の手段のつもりだった。媒介となる王家の血を引く巨人がいなくなれば、行進は止まるはずだ。これは俺にしかできないことだ。
    エレン、とんだことをやらかしてくれたもんだ。すっかり信じ切っていたよ。俺も甘いな。
    また生まれてきたら、何よりクサヴァーさんとキャッチボールをしたいけれど、エレンとも遊びたいな。子どもの頃、弟が欲しかったんだよ。もし弟ができたら、いっぱい一緒に遊ぶんだ。おじいちゃんとおばあちゃんが俺達を可愛がってくれる。そんなことを思っていた。これ以上エレンに人殺しをさせたくないよ。俺も、親父も、お袋も、クサヴァーさんも、生まれてこなきゃよかったのにって思う。だけどエレン、お前が生まれてきてくれて良かったなって思うんだ。いい友達を持ったね。きっとお前がいい子だからだろう。お前のことを、ものすごく好きみたいな女の子がいるという話だったよな。ちゃんと紹介して貰わず終いだ。残念だな。
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