Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    niesugiyasio

    @niesugiyasio

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 20

    niesugiyasio

    ☆quiet follow

    原作軸エルリ連作短編集『花』から再録15『空』
    終尾の巨人の骨から姿を表したジーク。

    体が軽い。解放されたみたいだ。俺はこれまで何かに囚われていたのか? 空はこんなに青かっただろうか?
    殺されてやるよ、リヴァイ。
    意図はきっと伝わっただろう。
    地鳴らしは、止めなくてはならない。もとより望んだことはなく、地鳴らしは威嚇の手段のつもりだった。媒介となる王家の血を引く巨人がいなくなれば、行進は止まるはずだ。これは俺にしかできないことだ。
    エレン、とんだことをやらかしてくれたもんだ。すっかり信じ切っていたよ。俺も甘いな。
    また生まれてきたら、何よりクサヴァーさんとキャッチボールをしたいけれど、エレンとも遊びたいな。子どもの頃、弟が欲しかったんだよ。もし弟ができたら、いっぱい一緒に遊ぶんだ。おじいちゃんとおばあちゃんが俺達を可愛がってくれる。そんなことを思っていた。これ以上エレンに人殺しをさせたくないよ。俺も、親父も、お袋も、クサヴァーさんも、生まれてこなきゃよかったのにって思う。だけどエレン、お前が生まれてきてくれて良かったなって思うんだ。いい友達を持ったね。きっとお前がいい子だからだろう。お前のことを、ものすごく好きみたいな女の子がいるという話だったよな。ちゃんと紹介して貰わず終いだ。残念だな。
    ガビとリヴァイを乗せた巨鳥は旋回をして、俺の背後に回っている。俺の裏切りを知ったガビとファルコは、どんなにか俺を恨んだことだろうな。ピークも、アニも、ライナーも。謝る資格もないけれど。
    どうして今になって、色々浮かぶんだろう。
    もはや叶わぬ望みだ。
    みんな、もっと生きていたかったんだろうか。
    みんな、死にたくなかったんだろうか。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    niesugiyasio

    PAST原作軸エルリ連作短編集『花』から再録15『空』
    終尾の巨人の骨から姿を表したジーク。
    体が軽い。解放されたみたいだ。俺はこれまで何かに囚われていたのか? 空はこんなに青かっただろうか?
    殺されてやるよ、リヴァイ。
    意図はきっと伝わっただろう。
    地鳴らしは、止めなくてはならない。もとより望んだことはなく、地鳴らしは威嚇の手段のつもりだった。媒介となる王家の血を引く巨人がいなくなれば、行進は止まるはずだ。これは俺にしかできないことだ。
    エレン、とんだことをやらかしてくれたもんだ。すっかり信じ切っていたよ。俺も甘いな。
    また生まれてきたら、何よりクサヴァーさんとキャッチボールをしたいけれど、エレンとも遊びたいな。子どもの頃、弟が欲しかったんだよ。もし弟ができたら、いっぱい一緒に遊ぶんだ。おじいちゃんとおばあちゃんが俺達を可愛がってくれる。そんなことを思っていた。これ以上エレンに人殺しをさせたくないよ。俺も、親父も、お袋も、クサヴァーさんも、生まれてこなきゃよかったのにって思う。だけどエレン、お前が生まれてきてくれて良かったなって思うんだ。いい友達を持ったね。きっとお前がいい子だからだろう。お前のことを、ものすごく好きみたいな女の子がいるという話だったよな。ちゃんと紹介して貰わず終いだ。残念だな。
    677

    recommended works

    niesugiyasio

    INFO原作軸の冬のエルリエルヴィンはシガンシナでの冬のある日を思い出していた。あの年はなかなか冬らしくならなかったところに、急な冷え込みが訪れたのだった。エルヴィンは寒がりな方ではないが、突然の寒さにいくらかおののいた。
    凍てつくような空気に、思わず身を縮こまらせる。吐く息が白い。桶の水に氷が張っている。空はすでに明るいが、まだ日は差し始めていない。早朝の道を、ウォール・マリアの農地に向かう人々と、シガンシナ区の市中に向かう人々が行き交っている。
    エルヴィンは道の向こうにちいさな背中を見つけた。自由の翼のついた外套に、ちいさな頭。彼が何をしているのか、すぐには分からなかった。その場で足踏みをしては一歩動き、また足踏みをしている。足踏みといっても行進の訓練のような規則的なものではなく、地面を見下ろしながら無心に、かつ不規則に土を踏んでいる。しばらく見ていれば分かった。霜柱を踏んでいるのだ。音や感触が小気味よいのだろうか、背中が楽しそうだ。子どもみたいだ、と思ってしまう。鉄面皮と言われるほど表情の変わらぬエルヴィンの頬が綻ぶ。地下街は年間を通してさほど気温が変わらないと聞く。つまり、彼にとって、初めての冬だ。これ 2574