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    niesugiyasio

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    niesugiyasio

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    原作軸エルリ連作短編集『花』から再録16『希望』
    再び仲間達の巨人化を目の当たりにすることになったリヴァイ。

    希望ジークさえ討てば終わる。そんな思いがリヴァイにはあった。だが願望に過ぎなかった。
    確かに地鳴らしは止まった。超大型の爆発により巨大な骨巨人も消え去った。しかしまだ終わってはいないと、思い知らされている。
    また、奪われた。仲間を皆、奪われた。
    目を覆いたくなるようなスラトア要塞の光景をリヴァイは冷静に受け止める。ラガコ村と同じやり方。コニーのそのひと言で迅速に行動することができたのは、巨大樹の森でジークに部下を奪われた経験が効いているからだろう。
    要塞全体が煙に取り巻かれた。全員が、足の多い虫のような光る生き物が発した煙を吸ったはずだ。だがマーレの軍人達に変化はない。エルディア人だけが巨人化した。九つの巨人の力を有する者とアッカーマンだけが例外だ。
    あっさりと、奪われた。なんて無力なんだろう。どうしてこう易々と支配されてしまうんだ?
    巨人化した者は自らの意思を失ってしまった。ジャンも、コニーも、ガビも、その親も、ピークの父親も、ファルコの親も、ことごとくだ。うごめく光る虫の声なき命令に従い要塞から飛び降り、ライナーに襲いかかる。あの日、巨大樹の森で、ジークに奪われたリヴァイの部下と同じだ。支配者の意のままに動かされる奴隷のようだ。
    なんて、不自由なんだ。エルディア人は、ユミルの民は、生まれながらに不自由なのか? 従うよう、定められているのか? まるで鎖にがれてるみたいだ。どうしたら解放される? この鎖を断ち切ることはできないのか? お前達が生命を賭して戦わねばならなかったのは、この不自由のせいか?
    リヴァイは前を向く。
    アルミンの超大型巨人とほぼ同じ大きさに巨人化したエレンが殴り合いを始めている。
    なあ、エルヴィン、俺の思いつく、残された俺達ができることといったら、エレンを殺すことくらいだ。エルド、グンタ、オルオ、ペトラ。特別班を組成したあいつらが命懸けで守ったあいつを。エルヴィン、お前がその右腕と、駐屯兵や憲兵も含めた多くの仲間の命と引き替えに取り戻してきたあいつを。お前達が捧げた心臓を無駄にしないために。お前達の死には意味があったと証明するために。
    矛盾しているか? 俺だってやりきれねぇよ。皆、そうだろう。お前も、あいつらも、必死で守ってきたっていうのに。こんな事態は避けたかった。だが避けられなかった。
    話し合いという選択肢はないようだ。エレンはそう言い渡してきやがったし、実際、その余地を与えねぇ。
    「オレを止めたいのなら、オレの息の根を止めてみろ」
    だとよ。
    どうやら本気らしい。俺達が息の根を止めてやらなきゃならねぇらしい。
    ミカサが腹を括った。俺も覚悟を決める。俺達がどれだけ仲間を殺してきたか、思い出す。ミカサと共に、ファルコの背から飛び降りる。狙いを定めて雷槍を放つ。こうすることで、道を切り拓けるはずだ。俺達が夢見た巨人のいない世界、呆れるほどおめでたい理想の世界に至れるはずだ。支配から解放されるはずだ。そう、信じよう。
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    niesugiyasio

    PAST原作軸エルリ連作短編集『花』から再録15『空』
    終尾の巨人の骨から姿を表したジーク。
    体が軽い。解放されたみたいだ。俺はこれまで何かに囚われていたのか? 空はこんなに青かっただろうか?
    殺されてやるよ、リヴァイ。
    意図はきっと伝わっただろう。
    地鳴らしは、止めなくてはならない。もとより望んだことはなく、地鳴らしは威嚇の手段のつもりだった。媒介となる王家の血を引く巨人がいなくなれば、行進は止まるはずだ。これは俺にしかできないことだ。
    エレン、とんだことをやらかしてくれたもんだ。すっかり信じ切っていたよ。俺も甘いな。
    また生まれてきたら、何よりクサヴァーさんとキャッチボールをしたいけれど、エレンとも遊びたいな。子どもの頃、弟が欲しかったんだよ。もし弟ができたら、いっぱい一緒に遊ぶんだ。おじいちゃんとおばあちゃんが俺達を可愛がってくれる。そんなことを思っていた。これ以上エレンに人殺しをさせたくないよ。俺も、親父も、お袋も、クサヴァーさんも、生まれてこなきゃよかったのにって思う。だけどエレン、お前が生まれてきてくれて良かったなって思うんだ。いい友達を持ったね。きっとお前がいい子だからだろう。お前のことを、ものすごく好きみたいな女の子がいるという話だったよな。ちゃんと紹介して貰わず終いだ。残念だな。
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