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    遊兎屋

    @AsobiusagiS

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    遊兎屋

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    【宿伏】

    #宿伏
    sleepVolt

    宿伏ワンライお題:嫉妬/傷跡
    宿が呪術師
    未来捏造
    猫に嫉妬する宿







    「なんだ…これは」
    「…ん?ぅ、ん?」

    するりと服を脱がせて現れた腕に赤く引かれた爪痕の様なものを見付けて眉間に皺が寄る。
    キスで惚けた恵がベッドに身体を横たえながら首を傾げるのが視界の端に見える。

    少しミミズ腫れのように膨れ、赤みを帯びている肌を指先でツーとなぞる。そこに残穢は見て取れない。
    誰がつけたのか分からないその跡を睨み付けて唇を寄せる。
    仕置きを兼ねて、舌で傷口を抉るように舐めれば痛むのか息を飲んだ恵と目が合う。
    綺麗な翡翠が涙で揺れて俺の行動を咎める様に見つめてくる。

    「これはなんだと聞いている」
    「っ、、猫に引っかかれたんだよ…家入さんに治してもらうほどじゃねぇだろ」
    「…猫」




    ベッドに押し倒されて、これでもかとキスをされてぼんやりとする頭を少し持ち上げる。
    珍しく唖然とする宿儺の様子を見ながら傷に目を向ける。
    昨日の任務の帰り、茂みに黒猫がいたのを見つけて誰もいないのを良い事に少し撫でさせて貰おうと近寄ったのが原因。
    しゃがみこんで少しだけ手を伸ばし匂いを嗅ぐのを待っていれば、匂いを嗅いだ後戯れついてきた。
    ただ、暫く遊んでいたところで力加減を誤ったのか爪が立ってしまい綺麗に赤く線が入ってしまった。
    痛みがあって傷が付いたのだと気付いた時、あの時の黒猫の驚いたようなまん丸い目が忘れられない。
    きっと猫自身もそんなつもりじゃ無かったんだろう。
    おずおずと傷口に顔を寄せる猫に苦笑したのを思い出す。

    可愛らしいその様子と、今、目の前で仇でも見るようなジト目で俺の腕を睨み付けている宿儺の違いに思わず笑いそうになる。

    「あの人だって忙しいだろ…こんな傷、放っておいても治るだろ」

    不満そうに眉を寄せる宿儺が何を思ったのか、また傷に舌を這わせ始める。
    流石に傷口は洗ったし消毒もしたけれど、皮膚が裂けた場所はぢりぢりと痛むし熱ももつ。
    微かに宿儺の呪力を感じる腕に目を向ければわざと痛むように舐める宿儺の舌が這う都度に傷が治っていくのが見える。

    「っ、おい」
    「黙ってろ…、全く…容易に傷なんぞつけられおって」

    本当に小さな傷だ。
    宿儺は大袈裟に言うけれどわざわざ反転術式を使ってまでも…と考えなくはない。
    ただ、少し拗ねたような、不機嫌な宿儺の様子にため息を吐いて好きにさせる。

    「治ったぞ」
    「ん、ありがとう」

    最後に綺麗になった肌をべろりと舐め上げられてふんっと息を吐く宿儺に礼を言う。
    綺麗になった肌をじっと見て大口を開いた宿儺にまさかと思った瞬間、腕に噛み付かれる。

    「ッ」

    まさにがぶっと音がする様に歯が肌に食い込んで顎に力が入るのを感じる。
    ギリギリと強まる噛み締めに慌てて宿儺の頭を押せばゆっくりと歯が外れる。

    「お前っ」
    「ふん、猫につけられた傷を残すぐらいならこれでも付けておけ」

    少し尖っている宿儺の歯が食い込んだせいで綺麗な歯形が腕に表れていて頭を抱える。

    「はぁ…猫に嫉妬でもしてんのかよ」
    「悪いか」

    猫相手に嫉妬なんて可愛らしいなぁと少し揶揄う気持ちで言った言葉に当たり前だと言う様にキッパリと言葉が返ってくる。
    それから服を脱がす手を再開した宿儺がありとあらゆる所に吸い付き噛み付かれる。
    そうかと思えば頬を寄せてきて優しいキスが落とされて、柔らかい髪の毛を撫でてみれば存外に嬉しそうな顔をするものだから心地の良い手触りを楽しみながら何度か頭を撫でてやる。

    目を伏せて、小さく口角を上げる宿儺の表情にきゅんっと心臓が締め付けられて、ガタイも良くて強面で反則的な強さをもつ問題児の柔らかな一面が可愛くて堪らない。きっと俺だけが知ってる一面。
    猫に嫉妬して頭を撫でられるのが好きで、意地になって痕をつけたがる可愛い恋人。

    「宿儺」

    名前を呼べば紅い瞳が俺を捉えて促す様に目を細められる。
    そののっそりとした動きにでかい猫みたいだなと思いながら髪や肌を撫でてくる大きな手を掬い取って口元に持ってきて出来るだけ大口を開いて太い腕に噛み付いてやる。
    顎が外れそうな気がして直ぐに口を離してみれば、薄らと俺の歯形が付いていてしてやったりと少し得意げになる。

    「恵、もう少し強く噛め、これだと直ぐに消えるだろう」
    「はぁ、傷がつくだろ」
    「分からん奴だなぁ、それが良いんだろう」
    「んぅ…もう良いだろ」

    少し変態っぽく聞こえる言葉に気が削がれてため息を吐き行為の続きを促す様に宿儺の腰に足を絡ませてみせる。

    「…まぁ、良い。せいぜい懸命に爪を立てろ」

    宿儺の中で完結させたのか悪戯げな表情を浮かべてちゅっと目元に唇を当てられ低く下半身に響く様な声色が耳に吹き込まれる。
    それから中途半端だったズボンが脚から抜かれる。







    次の日、洗面台に立った俺の身体に気持ち悪いほどに広がる歯形とキスマークに気付いて宿儺を怒鳴るまで後数時間…。




    end.
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