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    遊兎屋

    @AsobiusagiS

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    遊兎屋

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    宿伏+裏梅

    宿伏ワンライ
    (雪だるま、おみくじ)
     宿×ショタ伏+裏梅



    ぎゅむぎゅむと音を立てて雪をふむ。
    中がふわふわしている靴はすくなが買ってくれたもので全然冷たくない。
    雪を触ってみたくて手を伸ばせば、両手にしている手袋にあ、と声が出る。
    「玉犬をイメージして作りました。」とうらうめさんが作ってくれたそれを汚すのはかなしくて、少し考えて手袋を外しかわいそうだけどポケットに入れてから積もった雪に手を伸ばす。

    つめたい
    手のひらを押し付けたところからゆっくりと溶けていって手の形がくっきりと残る。
    ふわふわな雪をギュッと両手で握ればちょっと形がわるいまるが出来る。
    それをころころと綺麗な雪の上に転がして4つ作り、近くのベンチに置いていく。
    まるを2つ重ねればかたちが出来て、顔を作ってあげようとまわりをみる。

    「恵」
    「…すくな」

    周りも真っ白で何もないなと困っていればすくながコップを3つ持って帰ってくきた。
    転ばないように少し走って近づけばすくなの目がすっと細くなる。

    「手袋はどうした?」
    「ん、ちゃんとある。濡れちゃうから…」

    怒られるのかと思ってポケットに入れていた手ぶくろをひっぱりだせばすくながベンチを見ていて、まだできてないものを見られてなんだか少し恥ずかしくなる。

    「雪だるまか」
    「うん…すくなとうらうめさん」
    「そうか、1人足りないな」

    すくながコップを片手に持ちなおして、俺に片手を伸ばしてくる。
    俺を抱っこしてくれる時の動きにいつも通りすくなの首に手を回して抱きつけばすくなに抱き上げられる。

    「顔作ってあげたかったけど、なかった」
    「こうまで雪が積もっていればな」

    すくなの腕の中は暖かくて冬の冷たい風がやむ。
    俺を抱いたまま、ベンチまで歩いたすくながしゃがみこみ、俺を太ももの上に座らせる。
    何をするのだろうかとすくなをみれば、持っていたコップをベンチに置いて手袋を外して渡される。

    「持っていてくれ」
    「うん」

    渡された手袋は俺のより大きくて、さっきまですくながつけていたからかあったかかった。
    それから俺の前ですくなが雪をすくってぎゅっと握る。
    すくなの手は大きいから、雪のまるも大きくて、俺の作った2つの雪だるまの横に大きな雪だるまができる。
    それから上の丸をツンツンとしたかたちになおしていく。
    雪を触ったときの冷たさを思いだしてきっとすくなも冷たいだろうなと思っていれば、雪だるまが出来たのか名前を呼ばれる。

    「なに」
    「俺と裏梅と恵だ」

    一つずつ指差しながら言われた名前に、すくなよりもうらうめさんよりも大きな俺はなんだかおかしくて思わず笑ってしまう。

    「おれの方がおっきい」
    「ああ、そうさな。俺の中でお前は何よりも大きい存在だからな…。」
    「…?俺、小さいのに?」
    「ふ、いつか分かる」

    時々すくなが言うことは難しくて分からない。
    小さいのに大きいなんておかしな話だ。
    首を傾けた俺にすくなは小さく笑ってニット帽の上から大きな手で頭をなでられて、頬をつままれる。

    「冷えたな…。裏梅の所へ行くぞ。」
    「ん」
    「手袋をしてやれ、あいつが喜ぶ」
    「うらうめさんにありがとうって言う」

    立ち上がったすくなにあわせて見える景色が広がって、たくさんいる人が少し小さく見える。
    そこからうらうめさんを探すのは大変で、はぁっとはいた息が白くなる。

    「手も冷たいな」
    「ん、すくなも」
    「ああ」

    大きな手で俺の両手をにぎにぎと握ってきて、冷たいと言うすくなの手もいつもよりつめたい。
    ぎょくけんの手袋を両手にはめれば、宿儺の手袋を渡してあげて、ベンチに置いていたコップを持ったすくながすいすいとたくさんいる人たちを避けて歩き始める。

    「まだ掛かる、これでも飲んでおけ」 
    「…ん、これなに?」
    「甘酒と言ってな、邪気を祓い無病息災を願うものだが、まぁ、飲んでみろ…何事も経験だ」

    渡されたコップを1つとれば、温かくてとろとろとしている白い飲み物が入っていておそるおそる飲んでみる。
    口に入った瞬間、どろっとした食感と甘い味がしてギュッと顔に力が入る。

    「…っ、、、すくな」
    「ケヒッ、やはりだめか!」

    うぇっ、と舌をだしてすくなの言葉にうなずいてみればくつくつとおもしろそうに笑うすくなにからかわれたのだと気付く。
    きっとすくなは俺が飲めないだろうと知ってたんだ。
    すくなは凄く優しいし良くしてくれるけど、こういうところがある。
    むっとしてすくなを睨めばいまだに笑っていて、まだまだだなぁ…なんて言われる。

    「すくなっ!」
    「くく、悪い悪い、ほれ…裏梅だ」

    いっぱい文句はあったけど、すくなにうながされてみた先に雪みたいに真っ白な髪の毛が見えて、直ぐに近くなる。

    「宿儺様、恵様、今年もよろしくお願い致します。」
    「うらうめさん、よろしくお願いします。手袋、ありがとうございました」

    丁寧に頭をさげたうらうめさんに、俺も頭を下げて手袋を見せるように手を出せばうらうめさんの目が大きくなる。

    「ああ、っ、恵様!なんと可愛らしいっ」
    「ぎょくけんもよろこんでる。」

    嬉しそうなうらうめさんに少し恥ずかしくなって、影に感じる2匹の式神のよろこびも伝えてあげればうらうめさんが凄く嬉しそうでなんだか俺も嬉しくて、すくなを見ればすくなも嬉しそうだった。
    すくなとうらうめさんはコップに入ってるあまざけを美味しそうに飲んでいて、すくなは俺の分も飲み干してしまった。

    それからみんなでおみくじを引いて、凄く悪いおみくじを引いたすくなはそのままキンッと音を立てて粉々にしてしまう。
    それを俺とうらうめさんで笑って、俺はすごく良いおみくじだったから、すくなと一緒にいてあげようと思う。

    「すくなが悪くても俺が一緒にいるからだいじょうぶ。」
    「離れることは許さんぞ」
    「うん」

    ぎゅっと抱きしめてきたすくなはもしかしたらこわかったのかもしれない。
    しかたないから俺もすくなをぎゅっとしてあげた。



    end.
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