それはまるで毒のように「ドクター、ちょっといいか」
「っ!!!お、おはようソーンズ!今ちょっと忙しいんだごめんね!」
そう言って慌ただしく去っていくドクターの後ろ姿をソーンズはぽかんと見つめていた。
(…これは完全に避けられている)
ソーンズは胸中で独りごちる。あの様子だと二人で話すというだけでも骨が折れそうだと。
そもそも何故ドクターがソーンズを避けるのか。それは一週間程前に遡る。詳細は省くが、ドクターへの恋情を自覚したソーンズが彼に猛烈なアタックを始めたことに起因する。
ソーンズだって勝率の低い勝負に賭けたりはしない。出会ってから今日に至るまで、ある時は指揮官と戦闘員、ある時は上司とその秘書、ある時は友人として共に過ごす中でこれは脈があると判断してのことだった。
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