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    炎さんハピバ!!!

    #炎博
    yanbo

    プレゼント考えておいて「あ、日付変わった。誕生日おめでとう」
    「お前はそれが今発言すべき内容だと本気で思っているのか?」

     ドクターの乗った車両が襲撃を受けたのは、作戦を無事とは言えずともなんとか終え、臨時に築いた拠点から引き揚げるまさにさなかであった。負傷者を先に帰還させるために大型車両で出発させ、警備が手薄であったところを狙われたのだ。相手は漁夫の利を狙うために敵陣営を見殺しにした地元の武装組織である。というところまでわかっている通り、現在は危機的状況であるとはいえ、おおむねドクターの想定の範囲内のトラブルではあった。かと言って油断が出来るかというと勿論そんなわけではなく、移動都市外縁部スラムの廃墟の一角で、ドクターはPRTSの端末を片手にエンカクと二人きりでクリスマスを迎えているのである。
    「念のためドローン上げたままにしておいて正解だった」
    「合流までどのくらいかかる」
    「距離としては近いんだけど、そもそもこのあたり彼らの庭だからね、慎重に動くに越したことはないよ」
     彼のこぼす舌打ちとて、普段と比べればずいぶんと小さなもの。嫌なことに、夜の静けさは音をよく通す。ましてや人の住んでいないはずの廃墟からの物音など、逆に罠かと怪しまれてしまうレベルだ。彼の本音としては、さっさと私を別部隊に引き渡して迎撃に出たいところだろう。だが、突然の襲撃にエンカクがドクターの襟首を引っ掴んで飛び出してくれなければ、ドクターは今頃ターキーの代わりに丸焼けになって彼らのアジトのテーブルに並んでいたはずなので、感謝も兼ねて誕生日を祝ってみたのだがどうもまた失敗したらしい。
    「うーん、合流予定の部隊が足止めされている。気付かれたか、医療班のメンバーにやってもらってる囮が逆効果になってしまったか」
    「人数は」
    「こちらが十一人、だからその倍はいるものと見たほうが良い。時間をかけるとさらに集まって来てしまうだろうな」
    「お前の首はよほど魅力的らしい」
    「そんなの、あんな奴らより君のほうが良く知ってるだろう? じゃあ今から指揮を執るから、周囲の警戒をよろしく」
     不幸中の幸いとでもいうべきか、この距離ならば十分に通信は繋がる。だからヘッドセットの周波数を調整してひとこと、震える声でかえってきた各々の返答から素早く情報を組み立てつつ、刀を抱えた隣の男の腕をとん、とつつく。相変わらず刺し貫くような眼差しにホッとしながら唇の動きだけで伝えた言葉を、彼は正確に読み取ってくれたらしい。その証拠であるしかめっ面ににっこりと微笑みながら、ドクターは反撃のための最初の一手をその舌にのせたのだった。


    「だからって本当に好きなだけ飲むとかやる!!??」
    「誕生日プレゼントなんだろう?」
    「そうだけど!! あらためてお誕生日おめでとう!!」
    「上司の金で飲む酒は美味い」
    「それはその通りこの世の真理ではあるんだけど畜生」
     すっからかんになった財布を手にとぼとぼと移動速度-五十%で歩くドクターの後ろを、上機嫌に(しかも尾まで振りながら!)続くエンカクは、じっとりと睨みつけてくるドクターのことなど意にも介さずに悠々と歩みを進めている。あれだけ飲んだはずなのに足取りにはブレもなく、対するドクターはといえば付き合いで飲んだ数杯でもう千鳥足である。ずるい。顔も良ければお酒も強くて足も長いとかどうなってるんだこの男。自身の思考がふらふらなのは一応自覚できているので、ドクターは大人しく口を閉ざして自室への通路を突き進んだ。どうせ背後には有能な護衛だっているんだ、少々自分が前後不覚であったとしても問題はないだろう。
     そうして自室の面倒なセキュリティを解除して扉を開けると、何故だか彼まで入って来た。珍しい、いつもはねだってもゆすっても頑として来てくれないのに、どういった心境の変化だろうか。それともそんなに今にも倒れそうに見えるのだろうかとちょっとだけ不安になったドクターは、大丈夫だということをアピールしようと男の顔を見上げた。正確には見上げようとした。
    「――――え」
     ぐい、と押し付けられたぶ厚い胸板はいつもより体温が高くて、あんな見た目でも酔っ払ってはいたのかと感心する。と同時に彼がこんな挙動をとった理由がわからなくて、ドクターは、ねえ、と彼の名前を呼んだ。
    「お酒、美味しかった?」
    「あぁ」
    「眠くなった?」
    「あぁ」
    「じゃあさ、一緒に寝る?」
     これでも、だいぶん勇気を振り絞ったのだけれど、彼はといえばくつくつと人の悪い笑みを浮かべながら、いいやと返してきた。なんだよ、まったくもう。ひとがどんな気持ちでと憤慨を露わにして酔っ払いの耳元で喚いてやろうと息を吸い込んだ途端、エンカクの大きくて熱い手のひらが、明確な意図でドクターの臀部に触れた。
    「大人しく寝かせてやれるとでも?」
    「……君さぁ、あれだけ飲んでおいて使い物になる? イイところで一人で放り出されるのなんてまっぴらごめんなんだけど、って、え、嘘。なんであんなに飲んでたのに元気なの」
     ぐ、と腰に押し付けられたエンカクのそこは通常と変わらずというかむしろその凶悪さを増しているくらいにはご立派様で、流石のドクターも酔いが醒め始めるくらいには動揺した。
    「なんだ、くれないのか」
    「~~~~ッ! 私がプレゼントなんて死んでも言わないからな!」
     なおもぎゃあぎゃあと顔を真っ赤にしてわめくドクターにうるさいと眉間にしわを寄せつつ、エンカクは黙らせるための実力行使としてまずは最初にそのよく動くくちびるを奪いに来たのだった。

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    nbsk_pk

    DOODLE岳博ギャグ、自分のもちもちロングぬいぐるみに嫉妬する重岳さんの話。博さんずっと寝てます。絶対もちもちロングおにい抱き枕寝心地最高なんだよな…
    180センチのライバル 重岳は破顔した。必ず、この眼前の愛おしいつがいを抱きしめてやらねばならぬと決意した。重岳は人という生き物が好きだ。重岳は武人である。拳を鍛え、千年もの年月を人の中で過ごしてきた。けれども、おのれのつがいが重岳を模したもちもちロングぬいぐるみを抱きかかえて、すやすやと寝台の上で丸くなっていることについては人一倍に敏感であった。


    「失礼、ドクターはどちらに」
    「ドクターでしたら、仮眠をとると私室へ」
     あと一時間くらいでお戻りになると思いますが、と教えてくれた事務オペレーターに礼を伝え、重岳はくるりと踵を返した。向かう先はもちろん、先ほど教えてもらった通り、ドクターの私室である。
     この一か月ばかり、重岳とドクターはすれ違いの生活が続いていた。ドクターが出張から戻ってきたかと思えば重岳が艦外訓練へと発ち、短い訓練ののちに帰艦すれば今度はドクターが緊急の呼び出しですでに艦を離れた後という始末で、顔を見ることはおろか声を聞くことすら難しかったここ最近の状況に、流石の重岳であっても堪えるものがあったのだ。いや流石のなどと見栄を張ったところで虚しいだけだろう、なにせ二人は恋仲になってまだ幾ばくも無い、出来立てほやほやのカップルであったので。
    2835

    nbsk_pk

    DOODLE岳博、いちゃいちゃギャグ。寒い日に一緒に寝る姿勢の話。岳さんが拗ねてるのは半分本気で半分はやりとりを楽しんでいる。恋に浮かれている長命種かわいいね!うちの博さんは岳さんの例の顔に弱い。
    「貴公もまた……」
     などと重岳に例の表情で言われて動揺しない人間はまずいないだろう。たとえそれが、冬になって寒くなってきたから寝ているときに尻尾を抱きしめてくれないと拗ねているだけであったとしても。


     彼と私が寝台をともにし始めてから季節が三つほど巡った。彼と初めて枕を交わしたのはまだ春の雷光が尾を引く暗い夜のことで、翌朝いつものように鍛錬に向かおうとする背中に赤い跡を見つけ慌てたことをまだおぼえている。それからほどなくして私の部屋には彼のための夜着がまず置かれ、タオルに歯ブラシにひとつまたひとつと互いの部屋に私物が増えていき、そして重ねる肌にじっとりと汗がにじむような暑さをおぼえる頃には、私たちはすっかりとひとかたまりになって眠るようになったのだった。彼の鱗に覆われた尾にまだ情欲の残る肌を押し当てるとひんやりと優しく熱を奪ってくれて、それがたいそう心地よかったものだからついついあの大きな尾を抱き寄せて眠る癖がついてしまった。ロドスの居住区画は空調完備ではあるが、荒野の暑さ寒さというのは容易にこの陸上艦の鋼鉄の壁を貫通してくる。ようやく一の月が眠そうに頭をもたげ、月見に程よい高さにのぼるようになってきた頃、私は名残惜しくもあのすばらしいひんやりと涼しげな尾を手放して使い古した毛布を手繰り寄せることにしたのだった。だが。
    2030

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    nbsk_pk

    DOODLEおじ炎博、あんまり美味しくなかったのど飴の話。おじ炎さんが考えすぎている。庭園メンバーいつまでも仲良しだととても嬉しい。
    おじ炎さん一人称にした結果、おじ炎さんの認識がだいぶずれてるのでスズちゃんたちがめちゃ小さかったことになってたり鉱石病があんまり脅威じゃなかったりしてるのに博さんの体調にはすこぶる敏感で、自分で書いてて愛じゃん…て勝手にニコニコしていた。
    「だから置いていっていいよって言ったのに」
     何のことを言われているのかと尋ねられたところで、俺に返せるのは無言だけである。だが目の前の人間はといえばその無言からですら情報を引き出しあっさりと真相へとたどり着いてしまうほどの脳みその持ち主であるため、つまるところこれはただの意味のない抵抗でしかないのだった。

     鉱石病というのはそれなりに厄介な病気で、時間をかけて徐々に内臓の機能を奪っていく。そのスピードや広がりやすい箇所には個人差が大きいとされているが、やはり感染した元凶である部分、俺に取っては左肩から喉元にかけての不調が最近とみに目立つようになってきた。そもそもこんな年齢まで生きるつもりもなかったのだと言えば、目の前の妙なところで繊細な男はわかりやすく気落ちして、挙句の果てに食事量まで減らして回りまわって俺が怒られる羽目になるため口にするつもりはない。たかがサルカズ傭兵というそこらじゅうで使い捨てにされる命ひとつにまで心を割く余裕など持ち合わせてもいないくせに、固く握り込まれるその小さな拳をそこまで悪いものとは思わなくなったのは、まさしく病状の悪化のせいに違いない。決してこの男に感化されたわけではない。決して。
    1956

    nbsk_pk

    DOODLE転生現パロ記憶あり。博が黒猫で花屋の炎さんに飼われている。博猫さんは毛づくろいが下手すぎてもしゃもしゃにされたのを自力で戻せないので、原因にブラッシングを要求しました
    ねことのせいかつ いくら朝から店を閉めているとはいえ、生花という生き物相手の職業であるためやらなければならない作業は多い。ましてや今回の臨時休業の理由は台風、取引先各所への連絡から店舗周辺の点検と補強までひと通り終わらせたときには、すでに窓の外にはどんよりとした黒い雲が広がり始めていた。


    「ドクター?」
     店の奥にある居住スペースの扉を開けても、いつものようにのたのたと走り来る小さな姿はない。しん、とした家の気配に嫌な予感を募らせたエンカクがやや乱暴な足取りでリビングへと駆け込んだとして、一体誰が笑うというのだろう。なにせあのちっぽけな黒猫はその運動神経の悪さに反して脱走だけは得手ときている。植物や薬剤をかじらないだけの聡明さはあるというのに、頑として水仕事で荒れた手のひらで撫でられねば一歩も動かないと主張する小さな生き物に、どれだけエンカクが手を焼いたことか。だがエンカクの心配をよそに、雨戸を閉めた仄暗い部屋の中で黒猫はあっさりと見つかった。キッチンの出窓、はめ殺しの小さな窓には雨戸もカーテンもないため、今にも落ちてきそうなほどの暗雲がよく見て取れた。自身が抱いているものを安堵とは決して認めないものの、やや歩調を緩めたエンカクは窓の外をじっと見つめたまま動かない黒猫の背にそっと立つ。
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