古城傀博 緞帳が降ろされた舞台。その一角に眩いばかりのスポットライトが当てられる。それと同時に劇場の扉は大きな音を立てて閉じてしまう。まるで、この舞台からは逃さないとでも言うように。
《時計が周り、赤い月が上りました》
煌々と照らされたその場所で、奇妙な被り物をした存在が朗々と口上を述べている。気がつけば、誰もいなかった筈の客席は多くの観客たちが詰めかけている。皆、今か今かと期待の眼差しで舞台を見上げていた。
《操り人形が今、舞い踊っております。至高無上の芸術のため》
ドローンで観客席の様子を見ていたドクターの指がぴくりと動いた。
「………誰が操り人形だって?…これが至高無上の芸術?」
ぽつりと零されたそれは、静かな怒気に満ちている。
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