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    narehate42

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    遠い昔に書きかけにした新ゲ隼竜

    #隼竜
    hayaryo

    持続する下心の話「……なんだ」
     じろり、と睨めつけてくる視線は並みの人間ならもしかして泡吹いて倒れるかもしれない、というのは大袈裟だが少なくとも動けなくなりそうなくらいには厳しい。そのはずなのだが。
     なんだかなあ、どうにも自分はこれが嬉しいらしいのだ。
     こんなんなのに、何だか可愛いかもとか思ってしまうらしいのだ。何だよこれと肩を落とす。というか可愛いってどうなのだ。ちょっと頭が良いからって口を開けばむかつくことばかり、いつでも見下した視線の自分よりでかい男の何がどう可愛いんだ。
     というか何が可愛いって、こいつがゲッター線の研究をしている時の(明らかに危ない目付きをしている)嬉しそうな顔が可愛いとか、ちょっと豆腐の角にでも頭ぶつけた方がいいんじゃないかと思うのだが、残念ながらあるものはそう簡単になくならない。
     つまりどういうことかと言うと、竜馬はこの神隼人という男のことが好きだった。自分でもそんなアホなとは思うのだがどうしようもない、何だか知らんがすごくすごく好きらしいのだった。で。ついでに言うと、竜馬はそんなにおツムのよろしい類の人間ではなかった。というか割とその真逆だった。なので。
     おーそっか、とそれはもう非常に軽ーく出てきたその内容を受け止めて、非常に軽ーいノリでそれをそのまま口にしたのであった。
    「いやな、なんか俺、お前のこと好きらしいぜ」
     場所は食堂で、時間は昼時であった。
     だから隼人の返答も当然といえば当然だったが、もっともそんな理屈は竜馬には通用しない。
    「まさかそこまでおめでたい頭の持ち主だったとはな。馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、ますます馬鹿になったか?」
    「ああ? お前知らねーのか馬鹿っつー方が馬鹿なんだぞ!」
    「いや、元から驚異的な馬鹿だったか。すまんな、今度はお前にも理解できるように言ってやろう。いいか、まずここは食堂で飯時だ。次に俺は男でお前も男だ。最後に俺はお前が好きじゃない」
    「別にそんなのどうでもいいじゃねえか」
     俺がお前を好きなのとそれ以外と何の関係があるんだ、と竜馬は問うた。竜馬には本当に分からなかったのだ。
     隼人は何を言っているんだこいつはというような顔をして、それからわざわざ頭を押さえて瞑目した上で嘆息してみせた。これだから馬鹿は、というニュアンスだった。
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    narehate42

    MAIKINGチェンゲ隼竜
    大昔自サイトに上げてたような気がするなんのひねりもない地獄の話、の真ん中あたり
    浄火篇

     落ちていた。
     透明な筒の中をただひたすら真っ逆さまに落下していた。あるいは上昇しているのか。どちらが上でどちらが下か。だが、そのようなことはこの空間においてはまったくの些末事であると識っていた。
     不意に筒の表面にノイズが走る。そして――

     ふと気付いた。その筒は直線を描いてはいない。
     ゆるやかに絡み合う二匹の蛇を無数の触腕が繋ぐその配列は、二重らせん――正しくDNAの立体構造であった。
     落ちていく。
     落ちていく。
     昇っていく。
     昇っていく。
     ゲッター線とは何だったか。進化とは。どこへ行く。どこへ行き着く。真理。原理。摂理。インベーダー。ハ虫人類。鬼。神。ゴール。ブライ。暴走。取り込まれる。同化。神ゲッターロボ。聖ドラゴン。世界最後の夜明けとは。

     次に竜馬は反応炉の中にいた。落下あるいは上昇が極まったということだろうか。もっともそこが本当に反応炉であるかは確証がない。
     あるいはそれは箱庭の中かもしれない。
     あるいはそれはフラスコの中かもしれない。
     あるいはそれは銀紙に包まれた中かもしれない。
     あるいはそれは入れ子式のマトリョシカの中かもしれない。 1628

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    takami180

    DONE曦澄ワンドロワンライ
    第四回お題「看病」

    現代AU、友人でもない曦澄。
    大学生澄+羨はルームメイト、今回は忘羨を含みます。
     江澄は呆然とその人を見返した。
     扉を開けた先に立っていたのは藍曦臣、大学の先輩である。彼はまったく似合わないコンビニ袋を下げている。
     有料袋を買ったのか、もったいない。
     益体もないことを考える江澄に、藍曦臣は眉尻を下げて笑った。
    「弟から連絡をもらったのだけど、差し入れを持ってきました」
    「はあ、はい、ありがとうございます」
     彼の言う弟とは藍忘機である。江澄の義兄とは恋人同士で、今日は二人で温泉旅行に行っているはずだ。
    「ゼリー飲料と、栄養剤と、それから経口補水液。あとおかゆも入っているから」
     コンビニ袋を差し出され、江澄は素直にそれを受け取る。
     おかしい。何故、藍曦臣が自分の体調不良を知っている。
    「あれ? 魏無羨からなにも聞いてない?」
    「魏嬰? いや、なにも」
     と言いかけたところで、江澄はスウェットのポケットからスマートホンを取り出した。
     そういえば昨晩から放置していた。今、何時かも確認していない。
     ホーム画面には十四時とある。それから着信とメッセージの通知が大量に表示されていた。
    「あ……」
     慌ててアプリを開くと、義兄からのメッセージが流れていく。
     —— 1731

    sgm

    DONE江澄誕としてTwitterに上げていた江澄誕生日おめでとう話
    江澄誕 2021 藍曦臣が蓮花塢の岬に降り立つと蓮花塢周辺は祭りかのように賑わっていた。
     常日頃から活気に溢れ賑やかな場所ではあるのだが、至るところに店が出され山査子飴に飴細工。湯気を出す饅頭に甘豆羹。藍曦臣が食べたことのない物を売っている店もある。一体何の祝い事なのだろうか。今日訪ねると連絡を入れた時、江澄からは特に何も言われていない。忙しくないと良いのだけれどと思いながら周囲の景色を楽しみつつゆっくりと蓮花塢へと歩みを進めた。
     商人の一団が江氏への売り込みのためにか荷台に荷を積んだ馬車を曳いて大門を通っていくのが目に見えた。商人以外にも住民たちだろうか。何やら荷物を手に抱えて大門を通っていく。さらに藍曦臣の横を両手に花や果物を抱えた子どもたちと野菜が入った籠を口に銜えた犬が通りすぎて、やはり大門へと吸い込まれていった。きゃっきゃと随分楽しげな様子だ。駆けていく子どもたちの背を見送りながら彼らに続いてゆっくりと藍曦臣も大門を通った。大門の先、修練場には長蛇の列が出来ていた。先ほどの子どもたちもその列の最後尾に並んでいる。皆が皆、手に何かを抱えていた。列の先には江澄の姿が見える。江澄に手にしていたものを渡し一言二言会話をしてその場を立ち去るようだった。江澄は受け取った物を後ろに控えた門弟に渡し、門弟の隣に立っている主管は何やら帳簿を付けていた。
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