ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第⑫話「茨の魔女の嘆き」 マレフィセントは、ローズを探してさまよい続けていた。
もうすぐ日が沈んでしまう。ローズは無事なのだろうか?
沈みゆく太陽の最後の光が荒野のヒースを燃え立たせ、森の木々の梢を照らしたとき、マレフィセントは異様な感覚に襲われ、胸を押さえてよろめきその場に膝をついた。
これは何……? まさか……、呪いが働いている?
マレフィセントは、弾かれたように顔を上げ、夕日を仰いだ。
落日は今まさに地平線へと消えようとしている。
「ロオオオオオオオオオオズ!! どこなの?」
声は虚しく荒野に響き、消えていった。
夕闇と共に、ひしひしと恐れと不安が押し寄せてくる。
ローズは? 彼女は無事なのか?
彼女は立ち上がり、恐ろしい気配のくる方へと走りだした。
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