大切な・・・? ユーリスに好きだと言われて抱きしめられたとき、僕は抱きしめ返したのが答え。
「やっぱりお前、流されやすいタイプなんじゃね?」
「否定できない・・・」
夜な夜な、ユーリスのもとに訪れては気分が盛り上がれば一線超えてしまう日もある。
こんなはずでは!こんなはずでは!と思いながら、ユーリスの雰囲気作りの良さと生まれついてのあの顔の前ではアッシュの気持ちなんてないに等しい。
「あれ〜俺の下着どこやったっけ?」
「寝台の下にあるから!今、僕がとってあげるからちゃんと毛布被ってください!」
「なんだよ〜俺もお前も似たようなもんついてるんだから恥ずかしがること・・・っ!」
アッシュは寝台の下に無造作に散らかったユーリスの下着を彼の顔めがけて投げた。
「夜は寒いから、僕は君に風邪を引いてほしくないから言ってるんです!」
ユーリスはまあそういうことにしておくかと渋々と自分の下着を身に付け始める。
そのまま寝るには寒いと思ってアッシュは肌着の上に厚手の服を着る。ユーリスに至っては髪の毛の枝毛を発見してハサミでちょきんと切っていた。ハサミを化粧箱に入れて片付ける。
「ねえ・・・僕たちってどういう関係?」
「う〜ん?セフレ?・・・」
「もう真面目に考えてないでしょ」
「悪党の俺様を友達だからって守るって言ったじゃねえか。まあ、それは冗談だが恋人っていうのもロマンティックすぎる気がするし、愛人っていうには妖艶な雰囲気もないというか・・・」
「ロマンチックじゃないってどういうことですか!」
「まだまだ恋愛事がお子様なところ?でも俺様は初々しい純愛ものは嫌いじゃないぜ〜」
そう言ってユーリスはアッシュの頬にぶっちゅと接吻する。
もうディミトリの下で騎士としてちゃんと働いているのに、ユーリスからは今だに一人前の扱いを受けていないことに納得がいかない。
性行為がある友達?ってことなのか。多分ユーリスはそこまで深い意味がなく思いつきで言った言葉
だろうけど。
「それとも俺とこういうことするの嫌いか?アッシュ」
ユーリスがアッシュの耳元で囁くように言う。
「別に。嫌だったら君のところに来たりしないよ」
そういうとアッシュもユーリスもお互いの顔を見ながらニコッと笑う。
戦争の最中ではあったが温かな幸せを噛みしめながら、今こうして共に生きていることに女神様に感謝せずにはいられない。