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    シアン

    @siansian1079

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    シアン

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    リオノル
    まだエフラム達がグラドに来る前。
    全部私の幻覚だけどそれでもいい人向け
    続けばエイリークルートになるはず
    ・・・続くといいな。

    無題ー嫌なら嫌と断ってもらっても構わない。そして断ったとしてもこれから先のきみの処遇が変わることはけっしてない。

    未熟な果実でもこんなに口を酸っぱくするほど言われたことはなかった。それでも、もう大人といってもいいこの国の皇子の夜の寝室に訪れたのは紛れもなく自分の意志だった。

    真夜中の廊下をひとり、足音をできるだけ消して歩いた廊下。皇子の部屋の扉が開いて自分の視界が明るくなって、気まずいながらもはにかんだ笑顔で迎え入れられた時の胸の高鳴り。今でも鮮明な記憶として覚えている。
     こういったことには無縁の人生だったはず。闇魔導士だからと避けられることもあったのでなおのことである。だからといって同業者の闇魔導士だからいいものでもない、この方はこの国の皇子だ。
     いずれ王妃を迎えられる身の上で、自分はちょうどいい練習台にということを彼の丁寧かつ慇懃な説明を受けて強要もしないしそれでもいいなら・・・。数日返答を置いてそれで承諾したのだ。
    返答を待たせておいたのにその間考えていたのは同性との性行為のことへの嫌悪があるかないかではなく、なぜ自分なのかという問いかけだった。結局自分の中で答えが見つからず、暗い夜道を歩きながらも思案し続けていた。
     
     「引き受けてくれると、思わなかったんだ」

    毎日リオンが寝ているのであろう寝室のベットをこの目でみた時ことの重大さに気がついて血の気が引いてきた。

    「あのリオン様」
    声が裏返った。その声に自分でも驚いた。

    「え?」

    多分その声で彼も驚いている。

    「い、嫌ならいいんだよ?まだ・・・そう大丈夫だから!」

    きっとこれは自分以上に緊張しているのではないか、リオンの声色もおかしい。いやいつもは穏やか口調で話すのに焦りや戸惑いが見え隠れしている。

    「いえその・・・ここに来るまでもずっと考えておりまして・・・なぜ私のような人間を選んだのでしょうか」

    「・・・それは。うん、そう思うのは自然なことだと思う。僕の周りには女中さんだっているし、おかしいよね・・・?」

    一国の皇子の周りなら、護衛のものもいれば身の回りの世話をしてくれる人もいる。自分は・・・周りにいる人間の一人かもしれないが関わっているものは魔道研究だ。もっと相応しい人間もいると思う。

    「多分、話せばみんないい人だろうけど。ぼくも自分のことなのによくわからないけどでも言葉として言えることはきみが今のぼくにとって心の近しい人なんだと思う」

    「近しい・・?」

    「ぼくはまだ人を好きになったりしたことがないからわからないけど、でも一番身近な人っていったら納得出来るかな。あの、やっぱり納得いかないならこのまま・・・」

    帰ってもいいんだよってリオンの口から溢れ落ちた時、今まで悶々と考えていた自分がどこかに消えて気がつくとリオンを抱きしめていた。

    「ノール?」

    急に抱きしめられて何が起こったのかわからなくなった。

    「リオン様は同じ闇魔導士として、魔道研究者として、そしてこの国の皇子として、人としても尊敬しています。そのような方のためになるなら私は・・・」

    「ぼくはまだ全然ダメだよ。だってまだ何もやり遂げてることなんて何一つもないし・・・」

    ノールは何かを言いかけようとして口を開きかけても何も言葉が思いつかなかなった。ただ黙っているだけでリオンを抱きしめる強さだけが強くなるだけだった。

    「人の身体ってあったかいんだね・・・」

    リオンもそういってノールの体を抱きしめ返した。
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