その日ドクタケ領内の竹林に、気配を潜ませ徘徊する十の影があった。
その内の先頭を走る六人は深緑色の忍び装束を見に纏い、それに続くように前の六人より僅かに背丈の低い紫の忍び装束を纏った四人が忍び足で領内を進んでいく。
一人が竹に塞がれた空を見上げると、ドクタケ城の方から狼煙が上がったのが見え「止まれ」と後ろを走る者たちを静止する。
「先生方は無事侵入できたようだ。分かってるだろうなお前たち。今から俺たちの任務は」
「手分けしてこの領内への出入りを防いで【ふたり】を見つけ次第先生方や先輩方に連絡。ですよねー、わかってますって」
「…綾部…!俺の」
「アホハチロー!潮江先輩の言葉に被せるんじゃなぁい!」
「ははは!滝夜叉丸もバッチリ被せているぞ!」
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