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    藤 夜

    成人⬆️基本は夏五!書くのは夏五!!ほのぼのいちゃいちゃを日々妄想中^ ^

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    藤 夜

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    教師×教師if 
    野薔薇のウエディングドレス話から一年生組に外堀埋められていく五条先生。わいわい楽しく先生もいいよね。
    pixivにて展示した短編集より

    #夏五
    GeGo

    【緋色】 招待状「別に結婚したいワケじゃないけど、ウエディングドレスは着てみたいわよね」
    「そういうモンなの」
     とてもうっとりとは形容しがたい表情の野薔薇に、虎杖がよくわかんないと顔に書いて返事をしている。
    「あんな豪華なドレスなら一回とは言わず、何回も着てみたいじゃない」
    「何回もって、それ、あんまりいいことじゃないんじゃない」
     誰もが納得で同意してくれそうな突っ込みを受けた野薔薇は、コント見たいなやり取りをほぼ無表情で聞いていた伏黒に、矛先を向けてにやりと笑う。
    「あんたは、タキシードって言うより紋付きの方が似合いそうね」
    「どーでもいいし」
    「相手もいないのにって。別にそこがどうでもいいわよ」
     面倒そうに顔を顰める様子にばっさりと切って捨てた様子に、既に結婚式の要素はなくなりつつある。
    「なあ、俺は」
    「虎杖は、うーん、タキシード、より、紋付きかしらね。タキシード似合いそうなの、いないわね」
    「野薔薇、大事な人、忘れてない、ほら、ここにいるでしょ、タキシードが一番似合いそうな人」
     晴れているとは言え、梅雨の中休み、じっとりとした空気を吹き飛ばすような陽気よりは、能天気に近い嬉々とした声が、休み時間の教室に響いた。
    「あれ、先生。帰っていたの」
     負けず劣らず弾んだ声は虎杖で、後のふたりは湿度に馴染みそうな表情で担任を見上げた。
    「帰ってたよ~。僕、似合うよ、タキシード」
     伏黒の後ろに構ってもらうつもりで近寄ったところを、慣れたように身を躱して呆れたように言い返した。
    「アンタ、紋付きぐらい自分で着られるぐらい、着慣れてるでしょ」
    「えっそうなの」
    「俺、先生の着たとこ見たい」
     驚きの声に満更でもなく、そーだねぇなどと言いながら、でも、と続ける。
    「紋付きは傑の方がカッコいいんだよ」
     他人事なのに得意げな五条に、三者三様の表情を浮かべながらも、揃って納得したように頷いた。
    「確かに、夏油先生、似合いそうね。先生も結婚式は和装ね」
    「別に結婚の予定はないけど、ほら、僕はタキシードの方が似合うって」
     へらへらと調子よく口元を上げる様子を、瞳に僅かなイラつきを浮かべて確認するように、言葉を強くする。
    「でも、夏油先生は紋付きの方がカッコいいんでしょ」
    「傑はね」
    「でしょ。夏油先生のかっこいいトコ見たいんだったら、諦めるしかないんじゃない」
    「……。 どう言うこと」
    「結婚式で和装と洋装、バラバラで式するカップルなんていないわよ」
     今後こそ馬鹿にしたように言い切ると、両掌を空に向け、お手上げのポーズだ。
    「んっ? そうだろうね」
    「って事は、先生たち、和装になるんじゃない、結婚式」
    「誰と誰の」
     小首を傾げる様が、大男なのにかわいいとか、ありえないんだけど、と野薔薇が内心で罵倒しながらため息とともに指を突きつけた。
    「アンタと夏油先生に決まってるでしょ」
    「えっっ。えっ。はっぁっっ、何で」
     珍しく、と言うより初めて見た、慌てだした担任に、三人が慌てだした。気になりだしたら遠慮なく訊けてしまうのは、虎杖の長所でもあるので、問いかけはストレートだ。
    「何でって、付き合ってるんじゃないの、先生たち」
    「えっっ、違うし」
    「うっそぅぅ。だって、一緒に住んでるじゃん」
    「一緒に住むぐらい」
    「ごはんだって、作ったり、作って貰ったり。お弁当だって渡してたじゃない。アンタが弁当作るとか、衝撃過ぎたんだけど」
    「美味しい、って言ってくれたら、作りたくなるでしょ」
    「キングベッド一台しかないですよね、五条先生たちの寝室」
    「「はあぁぁぁ。えっ、伏黒、見たこと……」」
     何気なくぼそりと告げたひと言に、同級生ふたりが一斉に視線を向けたが、そのまま五条の返事に、くるりと頭ごと視線を向け直した。
    「傑、寝起き悪いから起こさなきゃいけないし、一緒に眠る方が安心するんだよ」
     寝顔を思い出したのか、やけに優しくやわらかな表情と、普段は聞かない、否、夏油絡み以外では聞かない、陽だまりのぬくもりのようなあたたかな声に、一瞬殺意を向けたくなった生徒たちがいた
    「喋る時だって、肩抱くは、腰抱くは、顔近付けてふたりだけで内緒話してくすくす笑ってるし」
    「うーんっ、まあ、そう、だね」
     黒い眼帯で見えない筈の瞳が、忙しなく左右に揺れるさまが、見えた気になる。
    「それに夏油先生、五条先生だけには、めちゃくちゃ甘いし」
    「そんなことないよ、みんなにだって優しいじゃない」
     そこはきちんと主張をしないといけないとばかりに、先生らしく、たんたんと事実を伝えるように落ち着いた声で語る。
    「俺たちには、まあ、優しくはありますけど、アンタには甘いんだって。アンタ用の菓子をいつも持ち歩いてるでしょ、夏油先生」
     それに対して、何を今更と言わんばかりに、常の淡々とした口調を損なうことなく真正面から、感じている思いを伝える。
    「ほら、僕ってさ」
    「わかってるわよ、でも、そんなの自分で持ち歩きなさいよ。おまけに、知らない人が先生に近付こうとしようものなら、背後で眼光鋭く睨みを利かせてるでしょ、夏油先生」
    「それ、ほんと」
    「嘘なんて言わないわよ、馬鹿らしい」
    「先生たち、ほんとに、付き合ってないの。俺たち、てっきり」
    「結婚するかと思ってたわよ」
    「あれで無自覚って。まあ、あんたはあり得ても、夏油先生が無意識はありえないだろ」
    「えっ、そうなの恵」
    「なんで自分のコトになった途端、誰よりわかっている夏油先生のこと、わからなくなるのか、わからないとは言い切りませんけど、もう少し、なんとかした方がいいですよ」
     長い付き合いの伏黒に、呆れたように言い切られ、えっ、それって、傑も、と、ほんのり首筋を赤く染め浮足立つ五条に、まあ、と思い出したように野薔薇が晴れやかに笑う。
    「ふたりでタキシード着てバージンロード歩いて、紋付きで披露宴やったらいいんじゃない。もちろん私たちも呼んで。おいしい料理食べさせて貰うから」

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    藤 夜

    DONE生徒たちのクリスマス会からの、ふたりだけで、一緒に過ごす、しあわせな時間。
    離反ifのクリスマス短編集、テーマはキスのひとりアンソロです(笑)
    キヨシキョシ 悟視点 
    【雪が融けるまで725秒】にあわせて支部に掲載したお話より再掲
    ◆五◆ 好き クリスマスケーキにシャンメリー、ケンタのチキンをメインにデリバリーのデリカが所狭しと並んでいる。悠仁と恵が飾り付けたのか、壁や天井に星を始めとした色とりどりのポップな装飾がなされ、楽しげな雰囲気満載だ。
    「先生も食べていけばいいのに」
     当然だと言わんばかりに声を掛けてくれるのは優しい悠仁ならではで、当然嬉しくもあるけれど、それはそれで少々困る時もある。
    「こういうのは学生だけの方が盛り上がるよ、ね、憂太」
    「ええっと、でも先生も」
    「気を遣うことないって。どうせこいつはさっさと帰りたいだけだろ」
     同じく優しさの塊と言いたいところではあるけれど言い切れない乙骨が、助けを乞うように視線を向け小首を傾げて微笑むと、隣にいた真希に、冷ややかな視線と共にばっさりと切り捨てられた。それでも目の奥が笑っているので、僕たちふたりの様子を見慣れた彼女たちは、またかと呆れているだけだろう。憂太に頷いて貰う前に角が立つことなく帰れるからいいけれど。
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    藤 夜

    DONE離反ifのクリスマス短編集、テーマはキスのひとりアンソロです(笑)
    教師if 伏黒視点 
    例年別々に過ごすイブを、珍しく伏黒姉弟と一緒にケーキ作りをする夏五のお話
    【雪が融けるまで725秒】にあわせて支部に掲載したお話より再掲
    ◆三◆ スカイブルー「それじゃ、僕と一緒に恵たちとケーキ作ろうぜ」
     故あって保護者の真似事のようなことをしている姉妹が私にはいて、毎年クリスマスには彼女たちと一緒にケーキを作ってささやかなクリスマス会をし、サンタクロースの真似事をしていた。それが今年は、
    「私たちだけで作ったケーキを夏油様に食べて貰いたいから準備ができるまで他所のお家で遊んできて」
     と言われてしまった。成長が喜ばしくもあり、寂しくもあり、ならば非常勤として働いている高専で事務仕事を片付けようと思っていた所に、悟に声を掛けられた。
     彼にも保護者と言うより後見人として面倒を見ている姉弟がいる。こちらはクリスマスに一緒にいても鋭い目つきで邪険にされるそうだが、それは表面上だけで、それなりに楽しんでくれているみたいだから、と毎年ケーキやらプレゼントやらを携えていそいそと出掛けていく。紆余曲折があった上でクリスマスは一緒に過ごしたい間柄になったにも関わらず、優先すべき相手がいることに互いに不満を言うことはない。私はそんな悟だからこそ大切だし、悟だって私のことは承知している。それでも世の浮かれたカップルを見れば羨ましくなるのは当然で、イブじゃなくてクリスマスに一緒に過ごすようになった。
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    藤 夜

    DONE離反ifのクリスマス短編集、テーマはキスのひとりアンソロです(笑)
    教師×教師 虎杖視点 
    クリスマスプレゼントにまつわる惚気のひと幕

    【雪が融けるまで725秒】の開催、おめでとうございます&ありがとうございます♪
    ひと足先にサンプルがわりに第1話を掲載します^^
    ◆一◆ 久遠「しょうがない、伏黒が迎えに来るまではここで寝てなよ」
     そう言って家入は空いているベッドを指差した。申し訳なさに仕事は、と問えば、
    「仕事納めはまだ先だから、私のことは気にしなくてもいいよ」
     積み上がった書類の奥で目元を細めて頷かれた。閉じたカーテンの向こう側にあるベッドに寝転ぶと、冷えたシーツが火照った肌に心地よく、横たわれば楽になった体に、疲れていたのだと実感した。
     クリスマス明け、最後の任務に出掛けたところでやけに暑いと感じたら、伏黒に思いっきりどやされた。どうやら珍しく風邪を引いたらしい。ただ、風邪なのか、呪霊に中てられたのか、イマイチ判断がつきかねるからと、怒鳴った伏黒に連れられてやってきた医務室で様子見と相成った。まあ、伏黒が俺の代わりにまとめて報告書を作成して、提出してくるまでの間、寝て待っていろ。と言うのが正しいのだろう。年末だから年内に提出しとけって言うなら、こんな年の瀬に駆り出さなくてもと思わなくもないけれど、年の瀬だからこそ、刈り取れる危険は摘んでおけと言う理屈も当然理解はできる。猶予があるからとクリスマスに予定を入れられなかっただけで、御の字なのだろう。
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