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    okeano413

    @okeano413

    別カプは別時空

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    藍燐 共夢歩き

    #藍燐
    bluePhosphorus

    2024.04.11

    「あ〜いちゃん」
     すやすや。くうくう。平和な寝息が燐音の胸をくすぐっている。
    「おおい。マジで寝ちまったの?」
     囁きかけながら、まるっこくなった背中を撫でる。普段よりずいぶんあたたかい。すっかり寝入っているようだ。幼い頃に共寝した一彩はもっと熱かったような。あれは今も平熱の高い子だから、比較対象にはならないだろうか。
    「……ね、せんぱぃ……」
    「ん、起きた?」
    「んぅゥう」
    「あァ、寝言ね。ハイ」
     呻きながら、静かにしろと言いたげにぐりぐりと頭をこすり付けてくる。あまりにも無防備であどけない。恋人になってしばらく経つが、こうして身を預けてもらえるというのは、なんともくすぐったいものだ。今は物理的にも。
    「んん……」
    「ふ。コラ、やぁめろって」
     夢裡に落ちた藍良の休息を妨げまいと好きにさせていると、顔をぴたりと胸にくっつけてきた。心音が落ち着くのだろう。柔らかな頬がつぶれまんじゅうみたいになって、少々ぶさいくになっている。こっそり撮ったら怒るだろうのを承知しつつ、サイレントカメラに収める。もちろん、燐音が自分だけで楽しむためにだ。あやすように髪を撫でてやると、藍良はまた意味を成さない寝言をむにゃむにゃとこぼした。
    「起きねえなら、もう一枚撮ってやろっかな〜」
     もちろんもう、その気はない。それよりは体温を感じていたい気分だった。切り替えというものは、なにごとにも重要なファクターだ。
     藍良にもないしょのオフショットフォルダは、機会が限られているのもあってまだ六枚しか埋められていない。七枚目にも保護をかけ、ヘアバンドとスマートフォンをヘッドボードへ預ける。
     燐音の自画自賛だけれど、少しずつ手慣れてきたように思う。思い出を残してみようと期した最初の日は、シャッター音で藍良に気づかれ、普通のアイドル用オフショットをSNSにアップロードさせられたっけ。
     空中庭園でのレッスン休憩中のツーショットに、星奏館中庭で出くわしたとただ並んだ姿。一彩やニキを交えて、コラボカフェに協力した時なんかの写真も、軽口を添えて出したものだ。ファンの目に届ける頻度はそう多くないけれど、ユニットを跨いだ組み合わせは意外にも需要があるらしく、今でも度々ブックマークの通知が入る。
     副所長からは、SNSはきりがないのだからすべてに目を通す必要はないとたしなめられてはいるが、ファンからの直接の声にはなるべく触れていたい。たとえタップひとつの行為だとしても、わざわざプライベートの写真に触れてくれているのだ。それに、燐音お気に入りの少年との写真を気に留めてもらえるなら、普段と別の意味で反響を伺ってしまうのも仕様がないことだった。
    「な、藍ちゃん。何時までお夕寝すんの?」
     何度目かの問いかけをしても、腕の中の少年はまだすやすやと気持ちよさそうに眠りこけている。つられて、燐音のまぶたもそろそろ重くなり始めていた。
     藍良が燐音の袖を引いたのは少し前のこと。毎度試験間近に泣きついてくるのだから、今回は早めの助力をしてやろうかと部屋を訪れると、顔を合わせるなり室内へ引きずり込まれた。咄嗟に後ろ手で鍵をかけたのは、我ながらいい判断だったと言えよう。
    『もォだめ、ねむい、だきまくらになって』
     呂律の怪しい声でそんなようなことを言う子に従って、あれよあれよとベッドまで。かろうじてブランケットをかけてやった頃には、藍良は既に寝息を立てていた。今週はなにやら慌ただしくしていたし、燐音を見て安心でもして、一気に疲れを自覚したのだろうか。だとすると、過怠だが喜ばしい。
     とどめの欠伸をしながら、藍良の頭を抱き込む。同室の二人が帰ったら、課題挑戦前に仮眠を取らせたとでも言い訳しよう。その前に藍良が起きたなら、責任取れよ、なんてからかってみようか。
    「おやすみ、藍良」
     当人には聞こえないだろうほんの、ほんの小さな囁きと、ついでに髪へキスをひとつ。汗のにおいが濃いし、どうやらシャワーも浴びていない。
     まあ、面倒は後回しにして。どうせならば浮かれた夢を見たいなと考えながら、燐音も眠りに落ちた。
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