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    okeano413

    @okeano413

    別カプは別時空

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    甲操 春告鳥の戀ねがい
    春告鳥二作目

    ##甲操
    ##春告鳥
    ##パロディ

    2021.03.10

     再び春が来る。
     春日井の色男と呼ばれた青年、甲洋──彼が好んだ紅葉の音をもらい、塩の湖を思わせる名を持つ男──は、伴侶と決めた少年へ、一番に春を告げる事にした。
     遠くで楽しく跳ね回っているだろう、 小さな子を探す。二人の住処と定めた若木からよく見える場所で手足を楽しそうにぱたぱたと動かす男の子を見つけて、頬が緩む。未だ肌を冷やす空の下、あの子だけがいつも春の中にいるようだった。
    「操。こっちへおいで」
     呼ばれたことに気付いた子が、背よりもずいぶん大きな蒲公英を抱いて振り向いた。甲洋へ向けて、心を目一杯に込めて笑う。操。あの日、甲洋にふたつめの恋を与えた少年の名だ。あれからもう、一年が過ぎようとしている。
     甲洋の名はかつて他者に与えられたものだが、操は自らそう名乗った。あちこちに殻の名残りを付けっぱなしの晒したままの肌に濃紺の外套を掛けてやり、生まれたての少年を抱き上げ、服を着せてやらねばと逸る甲洋の袖をくいと引き、はくはくと空気を吸い、広げた口に音を乗せて、語る。
     僕には親がない。声無きものたちが甲洋に恋をして、そうした想いがいくつも集い、同じ心を持って生まれたから、操なのだと。様々なものが甲洋に触れたくて、生み出した指先が己だと。
     俄には信じ難いけれど、「春告鳥」と呼ばわれる自分たちとて不可思議な存在であるのだし、当人が納得して語るのなら、そうなのだろう。よくよく飲み込んでから、懸命に教えてくれてありがとうと伝えると、操は青白橡を細めて眠りに就いた。
     なんにせよ、二人は互いが互いに恋い慕い、支え合おうと願って、この先を共に生きると決めた。甲洋も、始まりがどうであれ、操自身が二人の道を望んでくれたのだから、それで充分だった。
    「春の告げ方はわかるか?」
     気の早い誰かが告げた春につられて咲いたらしい、華やかで瑞々しい蒲公英を木の根に寝かせて飛び付いてきた子の髪を梳いてやりながら、訊ねる。
     方法といっても、愛する心を込めて贈るだけの単純なものだ。殆どは春を与える同族につられて本能的に身につけるけれど、すべてに春が与えられてから生まれた子に手ほどきをしてやるのは、人間や動物でいう親にあたる者の役割だった。時々は、今の甲洋のように伴侶として教えてやる場合もあるそうだが、ごく僅かの事例しか残されていない。恋に生きるもの同士の内緒ごとを、明かしたがる者というのも稀だから。
    「甲洋が僕にしてくれたように、抱きしめてあげること?」
    「間違ってはないけど、行動だけじゃ春には届かない。俺が言っているのは、冬に見切りを付けて、温かい空気を与えてあげる方法だよ」
    「あげる……僕が……春を、甲洋に?あなたが、ぬくもりに包まれるように?」
    「そう。愛しているよ、あたたかな陽射しの中に生きて欲しいよ、うららかな陽気を感じて欲しいよ。そんな気持ちを精一杯に込めて、春を告げる。それが俺たち、春告鳥の生き方だ」
     遠い遠いいつの日か、伽話のような種族の始まりをもう少し詳しく説かれたような気もするが、甲洋は空を眺めるばかりでろくに話を聞かなかった。始まりがどうであれ、本能的で独善的な春告鳥の性質を嫌悪していたからだ。愛の名で誤魔化した独善を押し付けて、春を与えるとは。笑わせる。永い命など望まぬから、さっさと心を放棄して眠るつもりだった。そのくせ少女に恋をして、今は操といつまでも睦み合いたいと願っている。嫌った春告鳥の性質がそれを助けてくれるのだから、なにが心を動かすなど、結局出会ってみるまでは何一つもわからない。
    「それで甲洋は、僕に告げ方を教えて、どうさせたいの?」
    「俺の春を、操の手で与えられたいんだ」
     この先、ずっと。続きの言葉は飲み込んだ。
     春告鳥は、自らに春を与える事はできない。それ故に、存在の補完相手としてつがいを求める。特に冷え込む昨今は、つがいに与えられたぬくもりを連れて愛の相手へ春を告げるのが流行りだと、昨年操と出逢う前、おしゃべりな同族から聞かされていた。だから相手に自分を選べばどうだと余計な一言付きで。愛の相手に恋の匂いを連れて会いに行くなど、やはり群れの思考は甲洋の心には相容れない。離れて正解だと何百度目かの納得をした日に、訪ねた少女の決意を見たのだった。

    「そう、私ね、告白しようと思うの。ううん、するわ。するの。もう、約束を取り付けてあるから──」

     そこから先の言葉は覚えていない。聞けなかった。少女に真矢と呼び慕われていた橙髪の子よりもずっと遠くから、自らの恋を叶えに行く、恋した少女の背中を呆然と眺めていた。ますます小さくなる背中と入れ替わるように、見ないふりをし続けてきた冷たさが襲い来るような、そんな錯覚に煽られて、ぼんやりと空を見上げていた。
     甲洋はずっと、春を与えながらも冬の中にいた。寒さに震えていた少女が春の風に微笑む姿を見ては、自分も春を与えられていたような、そんなつもりで、これまでを生きてきた。この名と共に与えられた一度きりの春を繰り返し噛み締めては、太陽がぬるく光るまでを、自らを抱き締め、震えて過ごしていた。
     今は、違う。今は、操がいる。彼へ抱く恋心が、身体の芯に熱をともし、厳しい冬を乗り越えさせてくれた。平気なふりで自分まで騙していただけで、他者から与えられる春を求め続けていたのだと、もう、一人で震えなくともよいのだと、あのぬくもりが示している。だから甲洋は、ずっと求めていた自分だけの春を、操の手で与えられたかった。
    「手本を見せるから、まねをしてもいいし、それでなにか掴めたなら、操なりの方法を手探りでやってみてくれてもいい。時間はたっぷりあるから、失敗してもいいよ」
     失敗、の言葉に不安を隠さない青白橡に口付けを二度おとして、額を合わせる。こんなにも近くで春を与えるのは初めてだ。加減をしなくては。操が感覚を掴みやすいように、ゆっくりと与えなくては。そう思うのに、想いがあふれて止まらない。通じ合う相手に春を与えるのは、これが初めてだった。
    「……やり過ぎたかな」
    「だい、じょぶ、だけど」
     肌を合わせる時よりもよほど感じ入る顔をして──というのも癪ではあるが──身体を預けてきた操の顔を上げさせて、熱を引き受けようと唇を重ねた。ますます頬に赤みが差す。されるがままの操は、予想外の大熱に驚いたまま、生まれたてよりも頻度を上げて、どうにかはふはふと息をしている。
    「は、春って、こんなに熱いものなの……?」
    「俺も、つがった相手に与えるのは初めてだからわからないな。そんなに熱かった?」
    「夏の砂場に寝転んだときくらい、濃いのが来たよ。僕も……僕からも、甲洋にこんな熱をあげられるんだ」
     恍惚と、幸福と、清福と。なにもかもがない混ぜになった瞳に見上げられた甲洋は、受け止めてくれた喜びよりも強く「食われる」という本能的な恐怖に囚われた。最期はそれも、悪くはないけれど、今は。
    「それじゃあ、えっと、やってみるね」
    「ん。おいで」
     若木の根本に腰掛けて、迎え入れる為に腕を広げた。操はどんな熱を与えてくれるのだろう。肌越しに伝わる好ましいぬくもりか、身を焦がすほどの熱烈か。甲洋の膨らみきった期待を前に、慎重に鼓動を整えて、背中に腕を回してくる。
     抱き締める必要はないんだけど、まあいいか。倣って甲洋からも返してやると、緊張を少しは引き受けられたようだった。春になる前の風に冷たくされた髪に頬を預ける。お互いに、ぎゅう、と腕を強くした。
     いよいよだ。この日々を永遠にする為の春が甲洋に与えられる。声を潜める何者たちに見つめられているような気配がある。きっと、声無き操を生み出したものたちも、この瞬間を待っていた。もしかすると、甲洋よりも長い間、ずっと。
    「だいすきだよ。あたたかくなって……」
     言葉と共に注がれる春はたしかに熱い。冬の間一方的に感じていた恋よりも、もっと……願い求めて想像したぬくよりも激しい操の春が、肉体を、心を、焼いていく。息をつく、暇もなく。操の愛が、甲洋のすべてを焦がさんとしている、ような。
    「どう、かな……?」
    「………………、」
    「こうよう……?」
    「……ああ、悪い……春をもらうのなんて久し振りだから、驚いて。ちゃんと、俺にも春が来たよ」
    「!ほんとう?もう、すっかりあたたかい?」
     一瞬でも怯えられたなど露知らず、甲洋の言葉に、操は普段と変わらぬ笑顔を咲かせた。安堵を揺らがさぬよう、焙じられる感覚の残る胸を撫でることもできず、ただ、操を求める腕に力を込めた。
    「とてもね。とても暖かいよ。ありがとう、操」
    「どういたしまして!甲洋も、僕に春をくれてありがとう」
     あれは、春告鳥の告げる春じゃない。形式だけを似せた、まるで違う、別物だった。けれどもたしかに俺だけの春だ。俺だけに与えられる愛だ。俺以外の誰も何も知らなくていい、俺の、操の熱。
     世界が俺に恋をしてこの子を育んだのなら、心配はないだろうけれど。俺以外に春を届けたい相手を見つけられないように、ここへ閉じ込めてしまおうか。
     きっと、操がその気になれば、くだらない檻などあっという間に飛び出してしまうけど。手放されるのが恐ろしくて、そうならないよう願い続けた。
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    ·小一点的公主是【巴日和】,大一点的公主是【日和】


    简直是不能再糟了。

    被“自己”摸进雌穴,巴日和埋在涟纯的臂弯里如是想到。

    Fine最后一场的表演令他身心俱疲,他告别了乱凪砂,洗了个澡便上床休息。来不及整理杂乱的情绪,今天已经糟透了,他只想就这样直接睡觉,却不想迎来了初次的发情期。
    巴家是历史悠久的贵族,祖上是一位德高望重的魅魔,血脉流传下来,到了他们这代仍旧保留了魅魔的体质,这是巴家的秘密,现如今鲜有人知。
    魅魔初次发情时必须要喝到除自己之外的人的精液/淫水,否则身体会持续发热到一个无法承受的地步,最终血液和水分被蒸发干,就这样活活烧死。

    玫粉色的淫纹在他的小腹上出现,巴日和发出一声呻吟,虽然早就想过了发情期的到来,但没想到是这一天,难道所有坏事都要堆在这一天跟他作对吗?他的两个小穴都开始流水,性器也冒出丢人的先走汁。巴日和闭上眼睛,面上绯色的红晕衬得他无比性感,那双紫水晶般的眸子却如同宝石本身般冰冷。他撩起额前的卷发,保持着情潮初期的理智,他对自己的发情期早有准备,只需要将管家叫来,一直备好的体液就会送到他房门口,结束这次不大不小的事件。
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