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    okeano413

    @okeano413

    別カプは別時空

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    okeano413

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    操一 アイボリーカンバス
    お誕生日おめでとうテキスト

    2021.09.14

    「一騎の好物を教えてよ」
    「俺の?」
     知ってなにか得をするんだろうか。ロゴを貼り付けた窓のそばに座った来主が俺の動きを追う。首と顔をこちらに向けながら、不思議な感触を知りたいと言うので用意したメロンソーダの表面を指で撫で、なにかの道を作っている。
    「そう。君達の情報は皆城総士に与えてもらったけれど、一騎はなにを気に入っているかを彼は知らなかったから。だったら俺が聞いてもいいんじゃないかと思ってさ」
    「食べ物でないといけないのか」
    「うーん。一騎カレーをもらったから、せっかくなら同系統の好奇心を満たしてみたいじゃない?」
     そういうものか。頷きで閉じた瞼を開くと、片肘を付いた来主の前に移動していた。ちょうど、総士と話した時と逆の格好になっている。
    「なんでも食うようにしてたから、あんまり、得意とか苦手とか、今はないかな」
    「一人の食事も?」
    「一人……で食べる想像が、できない」
    「もしかして、一騎だけで食べるって、ないの?」
    「学校ではクラスメイトがいるし、家でも、朝晩父さんと食卓についてるから……」
     窓の向こうから差し込む光が、水だけを入れたグラスの影を不思議な色で満たす。虹色、というほど濃くもない、水で溶かしたような色の中で、唯一俺と来主だけが鮮やかでいる。
     夢だ。これは。だって来主と直接話したとき、俺の目にはこいつの髪の色さえうつらなかった。薄茶色のような、グラウンドのすみに生えた雑草よりもあいまいな色だって、ようやく。
    「そっか。そういう当たり前の中に、君は生きているんだね」
     言って、立ち上がる。メロンソーダはすっかり空だ。迎えを見つけたのか、ガラス向こうを見上げる瞳からは、もう、真正面から睨んだ時の迷いは消えている。
    「もう、いいのか」
    「まだまだ知りたいから行くんだよ。答え合わせは次の子に残してあげないと」
     立ち上がって、隣に行こうとする俺を制するように手のひらを向けられる。あからさまな拒絶に、別れの時間が近付いているのだと悟った。この夢から覚めれば、もう二度と会えないのだろう。
    「ねえ、俺がしてみたいこと、見つかったよ。聞く?」
    「ああ」
    「一騎に、一緒に食べると楽しいって思ってもらえる相手になること」
     だと言うのに「次に会うまでに」と言い残した男が、今目の前にいる。そうして再び消えようとしている。
     歩こうとしても足が重い。薄まった楽園が形をなくしていく。覚める。夢が。俺はどこで眠っていたんだっけ。
    「今度会えたら、一緒に食事をしようね」
     もちろんだ。頷いたのだけれど、彼に届いていただろうか。
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