田丸くん片倉さんの『そっくりさん』────どんよりと暗い曇天の下。
ドォォォォンッ!!
寒々しい、廃墟になった高層ビル街から、すさまじい爆炎があがった。
「ギャァアアアアアア────ッ!?!?」
情けない悲鳴をあげて、メガネで小柄な青年────田丸は廃墟のなかを全力疾走した。
「なんですかアレなんですかアレなんですかアレぇえええええッ!?聞いてたサイズと違うじゃん!!データにあった大型の基準値よりめっっっちゃデカイじゃぁぁぁぁんッ!?」
とかなんとか叫びながら、とにかく逃げ回った。
ビュゥゥンッ!!
「どわぁああッ!?」
と、疾風のような人影が跳び込み、田丸は雑に抱えられて宙を跳んだ。
「あッ、片倉さんッ!」
すらりとした長身の男────片倉は涼しい顔で、ひと1人抱えて高所を風のように舞った。
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