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    seven84273501

    脳内を抽出する。
    #創作
    @seven84273501
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    seven84273501

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    クーデター後、元・ドラコルル長官殿が、宇宙を気ままに放浪する話です。
    副官も、しつこく食らいついて行きます。

    #ドラコルル
    dracol

    ドラコルルの奇妙な冒険「『世界は美しい。戦う価値がある。』後半部分には賛成だ」

    と、『武人』は言った。



    無限に続く暗黒の中、チカチカまたたく無数の星、星々。

    一面に散りばめられた、光の砂粒の中、赤々と輝く星の灯があった。

    銀河系のへんぴな地域に位置するその星に、『男』は流れ着いた。


    宇宙空港の連絡船から、長身の男……ドラコルルが降り立つ。

    黒いサングラス、黒いマントのような外套、黒いベレー帽。

    暗い、陰りに身を包み、賑やで雑多な人波を、止まないアナウンスの喧騒の中を、影のように歩む。

    「ようこそ遊星ヒノトへ!良い1日を!」

    職員の女たちが配る造花を、片手で断り、小規模ながら、未来的なターミナルを出た。

    バス、自動運転タクシー、空中車などが、停留所や路肩にずらりと集まる。

    それらを捕まえようと躍起な人々、順番待ちの長蛇の列で、その一角はごった返していた。


    「赤い空……か」

    午前の真っ昼間だのに、空は透き通るような赤色だ。

    新規に発見されたレアメタルで満ちた大地、地表に届く長い波長の光で、星全体が赤に包まれている。

    星の民も、赤を伝統・日常的に重んじ、旗、移動機器、織物、小物に至るまで、朱色、橙色、桃色など、レッド系統の鮮やかな色彩を用いていた。


    「赤に染められた星か……珍奇なものだ。独り、風の吹くままさすらうには丁度いい」

    手を後ろに組み、1人ごちるように言う。

    「だのに、何故お前がくっついて来る?」

    腰をひねり、ジロリと目を向けた。

    「お気になさらずッ!!」

    「気にするわ。派手な夜逃げかお前は」

    エキゾチックなポンチョに首を通し、ベレー帽を被り、背中にも、腰にも荷物を抱えた大柄の青年……副官に、呆れ返った目をくれた。

    まるで開拓地へのおのぼりのガンマンか、ガンマンのコスプレの行商人である。

    「長官殿ッ!言いました通り、お供させて頂きます!勝手な事とは存じますが、すでに長期休暇を申請済みです!引き継ぎもしておりますので、どうかお気になさらず!」

    「違う。何故お前がついて来るのかと聞いている。二重の意味で」

    向き直り、正面から見据える。

    「私は辞表を提出した。もうピシア長官でも、軍人でも無い。だが、お前は恩赦を賜り、いまだ責任ある立場に在るだろう?たかが一般人であり、犯罪者ごときの為に、こんな辺境の星に居て良いとでも?」

    サングラスの奥、暗く鋭い目から、副官はさりげなく目をそらす。

    (このお方の目……何か怖いんだよなぁ……)

    「えっと……。い、いけませんでしょうか……」

    窮した副官は、困った顔で伺う。

    「……フン。まあ良い」

    ドラコルルは、副官から目線を外す。

    「遊星ヒノトは、ごく数年前に新種のレアメタルが発掘され、開拓が進んだ新興星だ。知っているか?」

    「あ、はいッ。確か、宇宙を股にかける大企業や、採掘家たち、もうけ話や、職を求めた流れ者たちが集まったのですよね?」

    今や、星は資源・貿易・観光など、さらなる発展と開拓が望める『フロンティア』となっていた。

    だが、本来は、古代からの伝統を重んじる民族星だった。

    伝統を切り捨て、開発の波に乗るのを推進する革新派。

    歴史と文化の死を懸念し、開発の手を拒む保守派。

    どちらも選ばず、世の流れを様子見し続ける中立派。

    星の人々の、今日の平和は、不安定な薄氷の上に立たされていた。

    「首都であり、聖地の『ヤタロ』。その中心地のヤタロ遺跡の地下には、件のレアメタルが、山と埋まっていると聞く。どこぞの星の大企業が、遺跡を解体して、鉱石を掘り出さんと企んでいるだの、反対派の住民との間で小競り合いがあっただの、面倒な事になっているらしい」

    「あッ、もしや、その大企業から派遣された責任者に会いに行かれるのですかッ?なるほどッ!彼らとのコネさえあれば、ピリカの利益にも繋がりますからね!」

    この星に元・上官が降り立った理由を聞いていない副官は、『やっと合点がいった』とポンと手を打った。

    「くだらん。どうでも良い」

    「でェッ!?ち、違うのですかッ!?」

    が、あっさり否定され、ズッコケる。

    「じゃ、じゃあどうして、わざわざこんなヘンピな星に?」

    思わず崩れた口調のまま、尋ねる。

    「赤が嫌いだからだ」

    無感動に言い、ドラコルルは懐に手を入れる。

    「それと、『ホテル・インター・ステラ・ヤタロ』でスイーツビュッフェが開催中だからだ」

    ニヤリと笑う(?)ドラコルル。

    ホテルの洒落たロゴが印刷された、紙媒体のチラシには、上品で華やかなスイーツの数々が載っている。

    「えぇぇぇ…………?この人こんなキャラだっけ……?」

    副官はガックリと呆れ返る。

    元々、酒も、甘いものも嗜む人だったが、最近はやたら滅多らと悪化してる気がする。

    「お前は帰って良いぞ。元々、独り旅のつもりだった」

    ドラコルルはぞんざいに言い、さっさと歩き出す。

    「いいえッ!!お供させて頂きますッ!!」

    「お前もしつこいな」

    副官は半ばムキになり、競歩でドラコルルの後を追った。


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