隣の不二子が力尽きて意識を失って落ちる。兵部の方にかしいだ体を腕に抱き止める。
全く世話の焼ける…
彼女を支えるのに回す念動力はない。重い。
もう視界もぼやけて不明瞭。薫の光だけがある。神々しい光。拡散する光。
吸収される力。
ぷつりと糸が切れたように力が抜ける。急激に暗くなる視界。三半規管が落下を告げる。あーあ。ま、本望だ。薄く笑う。
姉の重さだけが腕にある。
海の冷たさ。
沈む体。手を伸ばしても届かない海面。
せめて共に逝こうか。姉さん。
部隊のみんなの幻影。そこにいくから。
目を閉じる。
暗転。
目が覚めると知らない天井。
きょとん。生きてる…? となりのベッドに不二子が座ってる。
「おはよう、愚弟」