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    31huji_tou

    @31huji_tou

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    31huji_tou

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    だしたいやつ

    「きみの気を引こうとしてるんだろう」
    「―――、え、っ、あ、」
     がた、と湯呑みが倒れそうになった。慌てて掴んだ指にすこしだけお茶がかかってしまう。もう熱いと感じるほどじゃなくてよかった。もしこれでやけどなんてしてしまったら、大倶利伽羅が気にするだろう。
    「……え?」
    「なんだどうした、なに惚けてる」
    「ま、まって鶴丸さん、あの、」
    「あぁ、話はだいたい聞いてるぞ」
    「えっ、あ、」
    「んー?」
     落ち着け、と笑って湯呑みを取られてしまった。きみは動揺するとおもしろいなと笑う顔は、本当に楽しそうだ。待って、と繰り返して、光忠はゆっくりと両手で顔を覆った。そのまま頭を下げて、いっそ抱えてしまいたい気分だった。
     話は聞いている、と言われた。なんのことだろう、なんて、思えたらよかったのだが、あいにくすぐにわかってしまった。それよりも、そうだ、その前に鶴丸はなんて言った。きを、ひこうとしてる、と――
    「まって、あの、待ってね鶴丸さん、いま整理してるから」
    「おー、待つぞ」
     そう言われてとにかく落ち着こうと深呼吸をしたのに、鶴丸はお菓子でもつまむように口を開ける。
    「わからない、って返したらしいな」
    「っ、」
    「これはただの勘だから聞き流してくれていいが、きみ、そのときもそうやって口を押さえて言葉を選んだんじゃないか?」
    「まっ、て、鶴丸さん」
    「おぉ、すまん。五分待とう」
     ごと、とテーブルにスマートフォンが置かれた。わざわざタイマーを起動させてセットしたようだ。五分、とそれを眺めて、光忠は努めてゆっくり息を吐く。
     鶴丸は、笑っている。楽しそうに、それにうれしそうに、三人でいるときに鶴丸がよく見せる笑顔だ。この五分は本当に待ってくれるようで、その口元は笑ったまま動かない。だから光忠は、今度こそ深呼吸を何度か繰り返して、胸いっぱいに空気を入れた。
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    31huji_tou

    MEMO壁打ちをちょっとととのえたやつ
     ・

    となりのカレー一人ぐらし大倶利伽羅くんが簡単なご飯済ませて休憩がてら本読んでたらめっちゃカレーの匂いしてきて思わず窓のほう眺めて目すがめて閉めるか…って立ち上がるんだけど、窓に近寄ったらスパイスのきいた香りがもっとしてくるのにぐううって眉寄せて、……この匂いでメシが食べれそうだな、て思ってしまってふと我に返っておかしくなるし、
    まあいいか、て窓は開けたまま過ごした翌朝、仕事行くのにマンションのエレベーター乗ったところで廊下の向こうのドアが開いて、顔を出した男があっ!て反応したのがわかったから溜め息吐いて開ボタン押して待つんだけど、よくよく見れば奥から二つ目のそれは自分の部屋の隣で、そうと気づいたら昨日のカレーの匂い思い出してしまって顔顰めてたらエレベーターに乗り込んできた長身の男が、すみません、待ってくれてありがとうございますって謝ってきたのに手を振って返し、べつに、って答える大倶利伽羅くん。でもうっかり頭の中がカレーの匂いでいっぱいだったので、「カレーが、」て口にしてしまうし「えっ」て驚いた男がじっとこっち見るのに面倒なことをしたかと大倶利伽羅くんが目逸らす直前に、「あっ、えっ、カレーのにおい、するかい??」って大きな声で続けた男がぱたぱた手であおぐようにするのに大倶利伽羅くんもちょっとびっくりするし、
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