ソファに座った途端、休め、と言われた。その言葉に甘えるように従って、光忠はゆったりと背を預けている。となりから伸びてきた手に触れられ、撫でられ、キスをするようにときどき噛みつかれるのが、くすぐったい。けして痛みを残しはしない強さで、肌の上を滑っていく。かし、と噛まれたのは眉の上辺りと、頬の輪郭、鼻先、口元には、ちゃんとキスと一緒に。最初は並んで座っていたはずが、いまは足を押さえるようにされていて動けなかった。捕まえられているようだと、いつも思う。
くしゃりと髪を撫でた手に、ピンが引っかかった。
「……、取れたな」
「こっちにもらうよ」
つう、と引っ張られたそれを受け取ったら、ついでのように後ろ髪を結っていたゴムも取られてしまう。まだ多少しっとりとしている髪にぐいと広げられた手のひらが通って、指先が大きく動かされた。くしゃりくしゃりと撫でられる感触に、光忠はくすくすと笑う。そうしたら、またあぐりと開いた口に目尻の辺りを噛まれた。