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    irisbff14

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    irisbff14

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    夏のキネオンリー展示作品だったもの②です。剣盾三周年記念に上記公開に切り替えました。

    ・非常に短い文章二つ詰め合わせ
    ・プレイリストのシャッフルで出て来た曲に合わせてSSを書くという自分の中でのプチ企画
    ・すけべ成分は皆無ですが割と表現が直接的・倫理観がない最低な二人がいます(2本目)
    ・別軸の二人

    #kbnz

    【キネwebオンリー展示】 君に夢中/おれ、ワルいヤツなんでこの頃、何にでもネズを見出してしまう。
    というと何事かと思われそうだが、本当にそうなのだ。街角の化粧品の広告を見ればあの色はネズに似合うなと考えてしまうし、頬を撫でる風の心地よさにネズと一緒に散歩に来ようなどと思う。ネズの好きな場所。ネズの好きな色。ネズの好きな音楽。世界がネズで溢れていて、オレにとっては幸せで仕方ない。好きなもので溢れる世界が幸せでないはずがない。
    こんな事を言ったら冷ややかな目で見られるだろうと思っていたが、存外気に入ったらしい。お前もなかなか詩人ですね、まあおれってあたりが変な奴ですけど。恋人になったのにどこかまだオレの一番大切な人になったという自信のないネズの態度が少しもどかしい。
    華やかな女優とも可憐なモデルとも付き合って、真っ赤な口紅をべったりと首筋に着けられたり自他共にハンサムだと認める顔を腫らされたり、パパラッチの好みそうな事は一通りやった。それがいい年をして年上のパンクロッカーの男にティーンの読む漫画のような一途な恋をしている。ネズを見るだけで吹雪の日が晴れになる。天候を操るだなんて普段のオレがどこへやら。こっぱずかしくなるような口説き文句を囁き続けて、そしてオレの愛にとうとうネズが折れたのだ。
    ネズとは恋人なのでセックスをする。恋人になる前からおまえがやりたいならいいですけど等と言っていたが、オレは好きな相手は大事にしたい性分なのだ。前言撤回、ネズに恋してからそうなった。結局恋人になってからだって、夢中すぎて翌朝内容なんかまったく思い出せた試しがない。柔らかくない硬いからだ、細すぎて加減を間違えたら壊してしまいそうな骨格、オレの手に応えて上がる甘い声。そうなるともうオレはだめだ。夢心地になってしまって、ドラゴンストーム・キバナ様の仮面はどこかへ消え去る。そこに居るのは一人の恋する凡庸な男だ。こんな盲目でつまらない一途な恋、今時ロマンス小説だって描かない。
    ネズ、オマエのためならなんだって出来る、地の果てだって着いていく。そう伝えれば明らかに信じていない顔をする。じゃあおまえ、おれが別れたいと言ったら別れますか。別れたいのか?もしもの話ですよ。ネズがそう望むならオレはその場では素直に別れるだろう。でもオレは執念深いのだ。なんと言っても十やそこらの頃から一人の男を負かす事を目標にしていた奴なのだ。どんな手を使ってだって、オマエの進む先に立ち塞がってやる。



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    おれ、ワルいヤツなんで。
    「やんちゃ」をする度にネズは首元のチョーカートップをかちゃりと言わせながらそう言う。まるでそれだけがアイデンティティだと言うかのように。
    おまえは最低ですね。だから一緒に居てやるんですよ。おれ、ワルいヤツなんで。彼女を一回適当に抱いて帰らせた後のオレの家で、にっこりとほほ笑むネズ。さっきまで抱いていた女の顔なんか思い出せなくなる。ああ、そういえばお前の彼女、おれとおまえがセックスしてるの気付いてますよ。この前わざとおまえの香水付けて出たら、下で出くわしたんです。そりゃあもう、ギャラドスのような形相してやがった。あれで一か月は笑えますよ。
    慣れた手つきでオレに首輪をつけてネズが言う。おまえに生殺与奪の権利を握られてるのに興奮するんですよ。だからおれを、おまえのペットにして?やっている事と言っている事がちぐはぐだ。おまえそう言えばこの街のいい家の出身だったでしょう。おれみたいな田舎者の悪い男に誑かされてるなんて知ったらおまえの両親どんな顔をするんだろうね。
    ケラケラと笑うネズを机に押さえつけてスキニーパンツを剥ぎ取ればTバックの傍から目に痛い色のプラグが覗く。勢いのままに引き抜いてオレのものをブチ込むとわざとらしくあん、と甘く鳴いた。オレの首輪に繋がるリードに力が入る。首が締まる。にんまり、オレよりいくらか薄い色の瞳が黒い睫毛に縁取られて弧を描く。
    おれ、ワルいヤツなんで。それくらいしか取り柄がないもんですから。
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    irisbff14

    MAIKINGキネオンリー展示作品だったもの①です。おそらく来年夏に出すであろう次の本に入る予定の話のちら見せ。オンリー期間中のみ公開していたのですが、剣盾三周年記念に常時公開に変更します。
     気まぐれマイキャット/Thank God It's Friday気まぐれマイキャット

    ネズという人間は、最高にカッコいい。それは今では半同棲という言葉に置き換わったゆるいルームシェア生活の頃から…否、ネズという人間の魅力をオレが認識した時から常々思っていた事だった。強くしなやかで、しかして繊細な芯を持った男。ともすれば折れそうな細身の体に確かな意思を秘め、唯一試合が広く興行化されないジムながらガラルで二番目に強いジムリーダーの座を守り続けてきた男。タチフサグマのような反骨精神を、ズルズキンのような気性の荒さを、カラマネロのような聡明さを、スカタンクのような執念深さを、ストリンダーのような二面性を持った男。
    しかし、晴れて恋人の座を手に入れてから気づいた事がある。ネズは、カッコいいのと同じくらい可愛いのだ。元々ネズはあまり自己評価が高い方ではない。それは彼の歌の歌詞にも如実に表れていたし、付き合い始めてからも「おれがお前みたいな人気者の恋人だなんてお前のファンに刺されませんかね?」なんて真剣な顔で言う。むしろガラルのロックシーンを牽引するスターと付き合っているだなんて刺されるのはオレさまの方だと思う。懐に入れた人間には甘い男だというのは知っていたが、甘やかされるのは慣れていないと彼自身無意識に線を引いていた所があった。
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