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    狭山くん

    @sunny_sayama

    腐海出身一次創作国雑食県現代日常郡死ネタ村カタルシス地区在住で年下攻の星に生まれたタイプの人間。だいたい何でも美味しく食べる文字書きです。

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    狭山くん

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    2022-07-06/夏の空閑汐♂祭も4日目になりました!夏の剣道部は死ぬ程暑いんですよね……大体防具のせい。剣部時代男子勢が稽古終わりに上脱ぎ捨てて非常扉の外で汗で濡れた道着を絞ってたのを思い出しました。

    ##空閑汐BL
    ##静かな海
    ##デイリー
    #文披31題
    wenPhi31Questions
    #BL

    文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day04「あっづい!」
     稽古が終わるや否や吠えるように叫んだ汐見は、開け放たれたままの非常扉から外へと駆け出していく。日の長いこの時期は、放課後の稽古が終わっても太陽の名残が空を淡く染めていた。防具をその場に置いたままで外に駆け出した汐見を追い、非常扉の前で顔を引き攣らせていたのは引退した筈の皆川で。
    「汐見先輩何やってるんですか! ソレ、夏休みの昼間にやるやつですよ!?」
     非常扉の前に置かれた共用サンダルを突っ掛け、水場へと一直線に走っていった汐見はそこに取り付けられたホースで頭から水を被っていた。小さく括れる程に伸びた髪も、彼が纏う剣道着すら水に浸されている様子に、思わず叫んでいた皆川の隣で空閑は笑う。
    「アマネはこういうとこ大雑把だから」
    「大雑把も限度って物が……うわ、目に毒」
     皆川は楽しげに笑い紡がれていく空閑の言葉に噛みつきながら、上半身にへばり付いてしまっていた上衣を脱ぎ出した汐見の姿に顔を顰める。彼の日に焼けていない白い肌には、幾つもの朱く小さな情事の痕跡が刻まれていた。
     肩口や胸元に刻まれた歯型や首筋や鎖骨に残された鬱血、生々しい性の気配を惜しげもなく晒す汐見はそんな事すら気にも留めない様子で、袴だけを腰に引っ掛けるように纏ったままで上衣を絞っている。
    「あ! あんたたちこっち来んな、今非常扉の外立ち入り禁止!」
     先輩相手に叫ぶ皆川の様子に、何が起こっているのかと非常扉へ近寄り始めた後輩たちへと叫ぶ彼女に空閑は遂に腹を抱えて笑い出し、その様子に気付いた汐見は不思議そうに首を傾げる。
     皆川の叫び声に不満そうな後輩たちが騒めいていたが、彼女は後輩達を叱り飛ばす。
    「こっちは今破廉恥区域だから! 性癖歪められたくなきゃ来んな!」
    「そんな事言われたら逆に気になるよねぇ」
    「先輩がそれ言います!?」
     皆川の言葉に空閑は後輩たちの肩を持つような言葉を口にしながらも、残されていたサンダルを履いて外で呆れたように笑う汐見の元へと向かう。
    「アマネの裸は性癖歪められるらしいよ」
    「何だよそれ。ていうか、最近皆川が篠原に見えてくんだけど」
     ぎゅう、と汐見の手元で絞られた上衣からは布が含んでいた水分がぼたぼたと滴り落ちる。彼の形良い頭蓋に沿うように張り付いた髪からも、ぽたぽたと水滴が落とされていて。
    「痕、沢山付けちゃったから」
     すっかり大きく育った胸元の飾りを囲むように刻まれた歯型を指先でなぞった空閑に、汐見は鼻にかかる息を小さく吐きながらも成程と頷く。
    「なんかもう、どうでもよくなって来たんだよな」
     肩を竦めて何処か清々しい笑みを浮かべた汐見に、空閑はその真意を図りかねて首を傾げた。そんな空閑の様子を面白そうに笑う汐見は言葉を重ねる。
    「お前以外の他の奴らにどうのこうの言われても、興味ないっていうか。性癖歪ませたいなら歪めればいいし、俺はヒロミ以外とどうこうするつもりもねぇし」
    「……あのさぁ、それって誘い文句?」
     低く耳元で囁いた空閑の声に、汐見はぴくりと肩を震わせる。何かを逃すように長く息を吐き出した汐見は「別にそんなつもりはなかったんだがな」と呆れたように笑う。
    「こんな所で誘われたら俺の身が持たないよ」
    「白々しい嘘をつくな、色ボケ野郎だろうが」
     今日はポジティブ野郎の方だな。と重ねられた言葉に「何それ」と空閑は汐見の濡れた髪を梳く。
    「お前、面倒臭い日とポジティブ野郎の日があるだろ」
    「え、ウソ、俺ってアマネにとって面倒臭い男?」
    「そこだけ拾うな。そういう日もあるだろって話だし、面倒臭いお前も嫌いじゃないから安心してポジティブ野郎しとけ」
     濡れた袴が足に張り付くのが不快であったのだろう、汐見は少しだけ眉を寄せて空閑の胸元を掴む。次の瞬間、ぐいと引き寄せられた空閑の唇には汐見の唇が触れた。
    「そこの二人! 乳繰り合ってんじゃないですよ!!」
    「……マジで篠原に似てきたな」
    「だねぇ」
     非常扉に規制線を張る皆川からの一喝が飛び、汐見と空閑は顔を見合わせて笑う。夜の冷えた空気を孕み始めた風が彼らを通り抜け、汐見はぶるりと身体を震わせた。
    「そのままじゃ風邪ひくよ、袴までびっしゃびしゃじゃん」
    「頭から水被ったからなぁ、流石にやりすぎた」
     水気を絞った上衣で雑に頭を拭きながら小さく笑った汐見へ、思い出したように声を上げた空閑は「流石に下は脱がないでよ、アマネいつも履かないんだから」と重ねる。
     そんな空閑の言葉にカラカラと笑い声を上げた汐見は、空閑にしか見せない夜の気配を孕んだ笑みを浮かべ彼にしか聞こえないような小さな声で囁いた。
    「今日は履いてるぞ、ヴィンから貰ったすけべなやつ」
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