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    sangatu_tt5

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    sangatu_tt5

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    こいぬちゃんぐさんの月蝕の元ネタだったやつ
    血族に売り飛ばされた🔮のるろ月(探占)

    #探占
    divination

    売られてなどいない。自分で来たのだと言い聞かせる。
    愛しいあの子よりも自分が犠牲になる方がマシだと脳の中で繰り返す。

    🔮の住む集落の近くには血族の住まう森があった。不干渉。互いに見て見ぬふりをすることで薄氷の上を歩くような危うい均衡を保っていた。
    しかし、それは血族の気まぐれによってあっさりと瓦解した。
    血族の要求は簡単だった。村の中から誰でもいい。男でも女でも構わない。ただ、若者の方が良いが、生贄を出せ。
    身体を作り替えて、餌として飼う。
    もし出さないようであれば、ここに住まうものを皆殺す。
    理不尽な要求に村人は頭を抱え、村で1番美人な娘という意見が出たが、その女は村で1番の権力をもつ者の娘だった。
    娘を出す訳には行かない父親は、娘の恋人に白羽を立てた。
    親族のいない🔮は都合が良かったのだ。誰もが同意し、🔮は着たことのないほど豪奢な、まるで花嫁衣装のような白い服を着せられ、追い出された。
    血族の餌になる恐怖と見捨てられた悲しみ。🔮は震える手を祈るように握りしめて、古く草臥れた館の中に入る。
    🔮「…ご、めん下さい。要求の通り、参りました。」
    震える声で呼びかけるが、しんっと静まり返った館から返事はない。
    恐る恐る進むが、生命が住んでいた形跡はあれど人はいない。煌々と館の中を月明かりが照らしている。
    思わず大きな窓から月を眺めていれば「だれ?」と声をかけられる。
    🔮はビクッと肩を震わせて、振り向けば若い男が立っていた。
    色素の落ちたくすんだ髪に血族であることを主張する血のような赤い瞳、鋭い牙を持つ男を目にし、🔮は一歩後ろに下がる。はぁ、はぁと呼吸が上手くできない。
    🔮「…ぁ、その、要求の通り参りました。どうか、どうか僕だけをお食べ下さい」
    だから、彼女を殺さないで……。
    最後の言葉は口には出さず、救いを求めるように🔮は頭を垂れる。
    🧲「………あぁ、そう、そっか……うん。分かったいいよ。じゃあ、契約しようか?」
    🧲は一瞬呆けた後に、直ぐに頷き、🔮の腕を掴みホコリの被ったソファへと突き飛ばす。
    🔮が目を白黒させていれば、🧲が上から覆いかぶさり、首元に牙を立てる。ブツっと肉が切れる音と共に痛みが走る。🔮が🧲の機嫌を損ねないように懸命に耐えれば、痛みは熱さへと変わり、快感へと変わっていく。
    🔮「へ?はぁ、……んぅ」
    🧲「餌を殺す訳にはいかないからね。血族の家畜になれば、捕食される時に痛みではなく快感を感じるようになるんだよ」
    🧲は笑って、口元の血を袖口で拭う。
    🔮の瞳は熱で浮かされ、焦点が合っておらず、身体を快感から守ろうと震わせている。
    楽しそうに🧲は笑いながら、🔮の服を脱がせる。
    初めて暴かられはずなのに🔮は1度も痛みを感じることなく、絶えず与えられる快楽に溺れていく。

    焦げ臭い。何かが焼ける匂いに目を覚ます。首には塞がることの無い穴が空き、身体は倦怠感によって動きが悪い。それなのに腹の奥にはまだ熱が篭っている。自分の口から思わず漏れた吐息があまりにも女のもので気持ちが悪い。
    🧲「……見ない方がいいと思うよ」
    隣で寝ていた🧲が🔮の腕を掴み、引き止めるが、🔮は警鐘のように脳に響く悪い予感が外れて欲しいと願い、その腕を払った。
    無駄に大きな窓から外を見れば、🔮が住んでいた集落が火にまみれている。夜が明けきっていない暗い世界に恐ろしいまでの赤が飛び込んでくる。
    🔮「な、んで……僕はここに、来たのに……なんで……村が……」
    愕然と窓に縋り着けば、🧲が後ろから🔮を抱きしめ、耳元で地獄を突きつける。
    🧲「それはそうだよ。生贄を要求した血族は僕じゃない。君は主人になるはずの男を間違えたんだ。だから、村は燃え落ちた。君が殺したんだよ、血族の契約は上書きも破棄もできない。ずっと僕と一緒にいようね」
    呪いのような言葉に🔮の喉が詰まる。
    ヒューヒューと浅い呼吸を繰り返しながら、後ろを振り向けば🧲が心底楽しそうに笑っていた。
    🧲「もう帰る場所すらないんだから、ね?」
    ここにいるでしょ?とソファへと誘ってくる。
    涙すら零れないまま、🔮はその誘いを断ることは出来なかった。
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    sangatu_tt5

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    🔮の住む集落の近くには血族の住まう森があった。不干渉。互いに見て見ぬふりをすることで薄氷の上を歩くような危うい均衡を保っていた。
    しかし、それは血族の気まぐれによってあっさりと瓦解した。
    血族の要求は簡単だった。村の中から誰でもいい。男でも女でも構わない。ただ、若者の方が良いが、生贄を出せ。
    身体を作り替えて、餌として飼う。
    もし出さないようであれば、ここに住まうものを皆殺す。
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    血族の餌になる恐怖と見捨てられた悲しみ。🔮は震える手を祈るように握りしめて、古く草臥れた館の中に入る。
    🔮「…ご、めん下さい。要求の通り、参りました。」
    震える声で呼びかけるが、しんっと 1738

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    sangatu_tt5

    MEMO騎🧲のために観🔮になった騎観/探占🧲と付き合っていて同棲もしてる🔮🧲のループを天眼によって理解したが、解決方法が分からない。🧲のレースが始まってから思い出すため、事前に忠告も出来なかった。
    そんな時に、「あなたの天眼があれば、この奇っ怪な現象をどうにかできる」「あなたが私たちの組織に入ってくれれば、彼を救える」と翻弄⚰️に言われ、組織に入ることに決める🔮
    🔮達の陰ながらの活躍もあり、🧲が久しく帰っていなかった家に帰ると違和感があった。
    一人暮らしにしては広い家、使ってもいないのに埃のかぶっていない部屋、自分しか写っていないのに飾られている写真。食器の足りない食器棚。
    一人で暮らしていたはずの家は何か足りなかった。謎の空白が自分の横に寄り添っている。それが大切なものだったことは分かるのに、それが何かも思い出せない。
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    それから、🧲は失った何かを求めて街を徘徊するようになる。レースが休みになるシーズンになれば隣町、さらにその隣町まで出向き、空白を求めた。
    宛先もなく、それがどんなものかも分からないまま🧲 2007

    kawauso_gtgt

    PROGRESSモグ束(おか束+モグ月前提&おか、月は故人)
    モグに惹かれてる事実とおかのことを自分だけは忘れちゃいけない罪悪感に苛まれて限界な束が爆発する話を書きたかった。拗らせすれ違い両片想いが好きすぎた。

    あとおかが死んだと頑なに認めない束に事実を突きつける土竜が書きたかったなどと供述しており…
    真っ暗な部屋が好きだった。
    此処にいれば誰にも痛いことをされたりしないし、理不尽に怒りをぶつけてくるような人もいない。点々と、少しだけ空いた隙間から差し込む光はまるで、いつか絵本の中で見たオホシサマのようで。閉ざされた世界を照らしてくれるそこは、いつだってイライの心の拠り所だった。
    冷たい床に転がって、暗い夜の海に意識を遊ばせていると、フードに覆い隠された耳がよく聞き慣れた足音を捉える。軽やかな足音は一歩、一歩と近づいてくると、イライのいる部屋の前でぴたりと止まった。かちゃりと開いた扉へと視線を投げると、何事もなかったかのようにイライはもう一度天井を眺める。
    扉が閉まると同時、近づいてきた影が上からイライを覗き込んで、それから数秒。地面に横になったイライの隣に、影が蹲み込む。鼓膜を震わせる声は、すっかり聞き慣れたあの子の声だった。
    「やっぱり此処にいた」
    「……どうして分かったの?」
    イライが首を傾げるのも当然のことだ。だって此処は院内の誰も知らない筈の場所。否、もしかすると気付いている人間もいるのかもしれないが少なくともイライが自らこの場所を誰かに明かしたことはない。誰も知らない、自 3152

    sangatu_tt5

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    震える声で呼びかけるが、しんっと 1738