銀河鉄道の夜と朝 たたたん、たたたん、たたん。
狭い鉄の箱、その壁を超えて、規則的な音が響く。時折混ざる低く重い音は衝撃となって車両を揺らし、そのどれもが中で眠る私にとっては子守唄のようだった。カーテンを閉ざした後では星の光も月の輝きも、室内に満ちる闇を払うことは出来ない。ここにあるのは、一際濃度の高い夜だ。毛布のように暖かく、そして真綿のように首を絞め上げる安らぎに目を閉じて身を委ねようとした時に、先程までとは異なる振動が響いた。振動は次第に大きくなり、どうやらこちらへと近づいてくるようだった。うるさいな、と閉じかけていた目を開ける。こんなところまで、一体何だろうか。
その疑問に答えるように、突然扉が開いた。
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