only a paper moon これは兎、これは猫、これは犬、これは虎。
では、このうねうねと動いているものは。
「……蛇ですか?」
「龍だよ。どこからどう見ても龍だろ」
およそ一ヶ月ぶりにロドスを訪れたリーは、執務室の一角に置かれているクッキー缶に目を留めた。前回の訪問時にはなかったものだ。蓋はされておらず、まさか食べかけのまま放置しているのかと中を覗けば、しかしそこに入っていたのは焼き菓子ではなく紙細工だった。
折り紙である。しかしただの折り紙ではない。実際の生き物さながらに、ちよちよと動いている。クッキー缶の中は、小さな動物園のようになっていた。
「最近本艦にやってきたオペレーターが面白いアーツの使い手でね。紙を動かすことができるんだ」
2561