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    #リー博

    leeExpo

    はるち

    DONE甘いものの過剰供給に限界を感じる博のお話。
    囁くあなたの甘い舌 ラテラーノは確かに楽園だった。滞在三日目までは。
    「もう向こう半世紀は甘いものを見たくない」
     ソファに崩れ落ちるように座り込んだドクターの台詞に、リーは苦笑した。
     ラテラーノ人の甘いもの好きについては知っていたが、まさかここまでとは。路地には甘味を販売する露店が立ち並び、三歩と行かない内に別の甘いものに行き当たり、アイスクリームを売り歩くワゴンとすれ違う。極めつけはジェラート供給所だ。何故あんなものが街中に常設されているのだ。
    「ドクターだって甘いものは好きでしょう」
    「限度があるよ、限度が」
     確かに仕事で疲れている時は自分だって甘いものが恋しくなる。しかし連日のようにそれを口に来続ければ話は別だ。朝食にフレンチトースト、昼食と夕食にはデザートがつき、任務の合間に街へ行こうとせがむオペレーター達を連れて三時のおやつを食べに行く。それだけならまだやりようもあったのかもしれないが、甘いものに合わせる飲み物さえも甘いのだ。一体何が悲しくてザッハトルテと一緒に蜂蜜がたっぷり使われたカフェラテを飲まなければならないのか。無闇矢鱈と砂糖を使った暴力的な甘さではなく、繊細な味わいのする上品なスイーツだからこそ今日まで耐えられたが、しかしそれもそろそろ限界だ。ニェンが振る舞う火鍋が恋しい。
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