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    duck_ynbt

    @duck_ynbt

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    duck_ynbt

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    レが百合子ちゃんになるために努力をする描写があります。完全見切り発車なので続くかは分かりません。

    おンなの子になりたいの人が近づくことを恐れる程の強さを手に入れさえすれば
    誰も傷つけずに済むと信じた、信じさせられた
    たとえひとりぼっちになっても、もう誰も傷つけずに済むならそれでよかった
    そのためなら、何人もの命を手ずから奪うことになっても仕方ない
    カケラほどしか残ってない良心や罪悪感のために、
    そんな悍ましい屁理屈を捏ねくり回していた

    でもそんなことは幻想だって、殴ってでも目覚めさせてくれた人間がいた
    能力の矛先が自分へ向くのを恐れた人間達は
    誰も向き合ってくれなかったのに、彼は違った



    朝陽は自然の目覚ましだ。
    寝惚け眼を擦りながら窓を開けて、外気を一気に吸い込む。
    メラトニンの作用を利用して、脳を徐々に覚醒させていく。
    頬を撫でる風は、時に武器にもなり得ることを身を以て識っている。
    風力の向きを制御してプラズマを生成する、なんてあの瞬間までは思い付かないことだった。
    追い詰められるところまで追い詰められると、普段機能しない脳の80%にも僅かばかりの危機感が訪れる。謂わば火事場の馬鹿力。
    自分が縊り殺してきてしまった人形、もとい彼女達の戦力不足をある種裏付けるものでもあったし、それ以上に計画立案時の樹形図の設計者の演算能力を疑わしく思ってしまう。
    残骸自体を自分で葬ってしまった以上、今更追及のしようもないが。

    ぬるま湯で洗顔しティッシュを軽く当てがい吸水した後、価格に0が沢山ついていると打ち止めが慄いた化粧水をコットンでパッティングしていく。元々反射が機能していたため肌の具合を特に気遣う必要はなかったが、MNWを利用するようになってからは万事反射に頼ることへの危機感を覚えるようになり、人並みの自己管理に手を出し始めた。
    美容液も染み込ませ乳液でフタをしてから、保湿時間を利用して歯を磨く。
    起き抜けの口内環境は雑菌まみれだ。潔癖症ではないが、万が一打ち止めに変な雑菌が入ったりしたら(罷り間違っても食器の共用や口移しなど勿論しないが)と思い、抗菌作用が程々に機能するペーストを利用している。舌まできっちり磨き切ると、最後に洗口液で口を濯ぐ。
    保湿が完了した肌にSPF30台の日焼け止めを薄く伸ばしていき、ルースパウダーを軽くはたく。
    最後に薄づきのリップで少しばかり血色を整えれば、顔面の手入れは完成する。

    軽くストレッチをしてから、前開きのパジャマのボタンを外していく。
    パジャマを裏表にしてハンガーにかけ、代わりにハンガーにかかっている制服を身につける。
    最後に髪にヘアオイルを少々あしらってから、サロンドライヤーで一気にブローして仕上げたら身支度は完了。

    通学している女子はこんなことまでしていたのか、と当初面倒臭がっていた彼は、世の女子が本当は顔面を補正するため更なる努力を重ねていることなど想像だについていないのであった。



    「おはよう、アナタ」
    「おはよォ」

    鞄も持って用意周到なアナタにミサカはミサカはご挨拶。
    ヨミカワのススメでとある高校に籍を置き、通学するようになった一方通行は研究者達に略奪された社会性を少しずつではあるものの、奪還しつつある。
    現にこうしてミサカにも挨拶するようになったし、何よりもちゃんと朝は起きるようになった。
    夕方には安全な時間に帰宅するし、ご飯も食べる。
    お風呂にも一緒に入ってくれるし、夜は翌日の生活のために就寝する。
    本当に一見すると人並みの生活を送れるようになってる。
    まだ生まれて半年も経たないミサカが言うのはおかしいかもしれないけど。

    でも、もっとおかしいのは
    何故か性別を偽って生活しているアナタだよね

    とミサカはミサカは声には出さず、そっと心の中で言い添える。

    でも、さらにおかしいのは
    それでもアナタが元気ならそれでもいいか

    と割り切ってしまうミサカ、そしてヨミカワとヨシカワ。

    若い女学生よろしく膝上から10cm以上は短いスカートから
    スラリと伸びた真っ白に眩しい両の脚、出っ張りの無い膝骨。
    三つ折りのソックスに隠れているけど、キュッと締まった足首に繋がっていることを察させる浮腫の無い柔らかそうな脹脛。

    それに以前は眉間に四六時中シワをよせ、険しくしていたのにすっかり柔らかくなった表情。

    正直性別を偽ってるなんて、言われなければ判らないレベルのぱっと見超絶美少女を前に
    いちいち「なんで男子学生として通学しないの」なんて訊くのは最早野暮な気さえしてしまう。

    「スズシナユリコ」

    と声に出しながら「鈴」「科」「百合」「子」と入学書類に記入していくアナタの姿に
    当初は流石に驚いてしまったけどね?

    「これはアナタの本名なの?」という三者三様の問いに一方通行が応えることは無かったけど。

    「もう、朝食べないと授業に身が入らないじゃん」
    「聞かなくてもテストで満点取れる程度の授業に必要な養分は無エの」
    「…それ、絶対月詠先生の前で言ったらだめじゃん」
    「言うわけねェ」

    そう言うとパンの一欠片も入っていない空っぽの胃袋にコーヒーを流し込む一方通行。
    どう考えても胃が荒れそうなものだけど、なんでいつも平気なんだろう。
    と、忘れるところだった。夕食の残り物を入れながら彩りにも気を配ったお弁当を"彼女"に渡す。

    「朝はしかたないけど、お昼はちゃんと食べてよねってミサカはミサカは保護者気取り」
    「ハイハイ、ちっちゃなお母さン」

    ポンポンと頭を撫でられ、お弁当袋を受け取られて思わず頬が緩む。
    いつもと変わらない、退屈でくだらない、そんなことの積み重ねが彼女の負債を返していく。
    ミサカもそんなふうに思ってる。
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