秘密のかけら「ああ、なくした過去っていうのはやっぱり重たいよな、俺の知らない動きをするから。いちいち糾弾されているような気分だよ。土台を持っていないお前なんかぐらついた、幻想みたいなものなんだってな」
「だから昔からの知り合いとか、過去からの繋がりがあるヤツにとっては、今の俺よりあいつの方が意味も価値もあるように映る、と思う。……正直に話して、吹っ切れたつもりなんだけどな。形だけは許してもらったとは言っても、それが本当の本当に本心なのかなんて誰にもこうだって言えないだろ。怖いんだよ、俺は。大事な人から失望されるのがさ」
自分を変えた存在に、その程度のことで自己を卑下してほしくなかった。
そんなエゴでしかなかったと思う。
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