賛辞夜の世界を生きる吸血鬼達を相手にする退治人にとって、夜明けの瞬間を見るのはそこまで珍しい事では無い。月の輝きが薄れ、東の空が紫とオレンジが入り混じった色に染まっていくのを見てロナルドはホッと息を吐いた。
「おいロナルド」
低い声のする方へ顔を向けると、先程まで一緒に下等吸血鬼の退治をしていた半田が刀を鞘に納めている所だった。その顔には疲労が濃く浮かんでおり、そしてそれは自分も同じだろうとロナルドは思っていた。
「先程上司から連絡があった。大量発生していた吸血アブラムシはほぼ回収、駆除が完了したそうだ」
「良かった……今回は退治してもいいって事だったからまだ楽だったな」
そう言うロナルドの口からは乾いた笑いが漏れる。何故か定期的に大量発生する吸血アブラムシの存在には慣れたが、その労力が変わる事は無い。銃を懐にしまい、その場にしゃがみこんだロナルドは呻き声を上げた。
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