これからも「ハッハッハッー!無様だなぁロナルドォ!」
「うるせえ!」
半田桃は、目の前の光景を見ながら大声を上げて笑っていた。楽しくて仕方が無いという表情を浮かべ、手に構えたカメラで何枚も写真を撮っている。そんな半田の被写体になっているのは、五、六歳位の少年だ。悔しそうに叫び、半田を睨みつけている。壮年の男性が少年を嘲り笑いながら撮影しているという警察沙汰になりそうな図だが、二人を知る人物から見ればいつもの事だと呆れられるだろう。それに赤い瞳と尖った耳を持つ二人は、見た目よりも大分長い年月を生きている立派な大人だった。吸血鬼としてはまだまだ若者の部類ではあるが。
『じゃあ俺も吸血鬼になるわ。今すぐにって訳にはいかないけど』
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